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■米国ZEVを念頭にクラリティシリーズ(FCV、EV、PHEV)の2番手として登場
2017(平成29)年8月2日、ホンダの米国法人であるアメリカンホンダが、新型の電気自動車「クラリティ・エレクトリック」の米国でのリース販売を開始したことを発表しました。当時ホンダは、2030年までに世界で販売するクルマの2/3を電動化する目標を掲げ、その急先鋒として同一プラットフォームのクラリティシリーズ(FCV、EV、PHEV)の展開を図っていました。
●クラリティシリーズの第1弾は、FCVのFCXクラリティ
クラリティシリーズの第1弾は、2016年にリース販売が始まった「クラリティFCV」です。当初は、自治体や企業中心のリース販売でしたが、2020年6月からは個人向けのリース販売も始まりました。
FCVは、車載タンクに充填した水素と大気中の酸素を反応させて発電する燃料電池の電力を使って、モーターで走行します。EVの2次電池の代わりに燃料電池を搭載したシステムで、通常のガソリン車がガソリンを補給するように、水素を補給します。走行時にCO2などの環境負荷物質を排出しないので、「究極のエコカー」と呼ばれています。
FCXクラリティは、2014年に登場したトヨタ「ミライ」との対抗でもあり、2016年時点でFCXクラリティの販売価格は766万円、ミライの723.6万円よりやや高い設定になっていました。
●クラリティシリーズの第2弾は、EVのクラリティ・エレクトリック
2017年、クラリティ・エレクトリックの米国でのリース販売が始まりました。米国でリースを始めたのは、米国ZEV(ゼロエミッションビークル)規制を意識したものです。ZEV規制は、メーカーに一定の割合でEVおよびFCVの販売を課すもので、守らないとペナルティが発生する制度です。
駆動モーターは、最大出力161PS/最大トルク30.6kgmで、25.5kWhのリチウムイオン電池を搭載し、満充電の航続距離は143kmです。また、先進のEVにふさわしいコネクテッドカー技術を搭載。スマホ連携ができる「ホンダリンク」をはじめ、音声認識や交通情報、充電ステーション情報など、豊富な機能をもつナビシステムも特徴です。
3年リース契約の販売で、月々のリース料は269ドル(約3万2000円)。フルバッテリーの「日産リーフ」が2017年に航続距離を400kmに伸ばしていることを考えると、クラリティの143kmは実用的とは言えませんね。
●2018年、第3弾のPHEVが登場
そして2018年には、PHEVの「クラリティPHEV」が発売されました。
クラリティPHEVは、すでに「アコード」や「オデッセイ」で採用している2モーターのハイブリッド「SPORT HYBRID i-MMD」を採用。特徴は、エンジンドライブモードとEVドライブモード、ハイブリッドドライブモードの3つのドライブモードによって、燃費と走りの両立を実現していることです。駆動バッテリーは容量17kWhのリチウムイオンバッテリーで、満充電時のEV航続距離は三菱のアウトランダーPHEVの65.0kmを大きく上回る114.6km(JC08モード)。ただし、価格は、廉価仕様で588万円(アウトランダーは、383万円)と非常に高い価格設定になっています。
これでクラリティシリーズの3兄弟は揃いましたが、現在はいずれも販売を終了しています。
いずれも価格設定は高く、目標販売台数も少ないことから、クラリティシリーズは電動化に対するホンダの姿勢をアピールするためのイメージリーダーとして投入されたのでしょう。とはいえ価格と性能が折り合わなかった感は否めませんでしたね。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかも知れません。
(Mr.ソラン)