ヤマハの大型ストリートスポーツ「MT-10/SP」の2022年モデルが国内販売。価格は192万5000円から

■パワーや電子制御機能をアップ、新デザインも採用

ヤマハ発動機(以下、ヤマハ)の1000ccネイキッドスポーツ「MT-10 ABS」と上級モデル「MT-10SP ABS」の2022年モデルがついに国内に登場しました。

ヤマハMT-10/SPの2022年モデルが国内発売
MT-10のブルー

欧州など海外で先行発売されていた最新型は、エンジン最高出力を6psアップの166psとしたほか、IMU搭載により各種の電子制御システムもアップデート。走行中に奏でるサウンドをチューニングしたり、外観デザインをより精悍にしたことなどが特徴。

まさにストリートを俊敏に走るヤマハMTシリーズの最高峰モデルにふさわしい改良が施されました。

●野獣系フロントマスクを持つストリートマシン

MT-10は、ストリートファイターというジャンルに属する1000ccのネイキッドモデルです。

ヤマハのフラッグシップ、スーパースポーツ「YZF-R1」のネイキッド版ともいえるのがこのモデル。元々は200psを誇るYZF-R1系エンジンをストリート向けに調律し、アップライトなハンドル、強烈な個性を放つ野獣系のフロントマスクなどを採用したマシンです。

ヤマハMT-10/SPの2022年モデルが国内発売
MT-10のブルー(サイドビュー)

兄弟車には、900ccの「MT-09」や700ccの「MT-07」、250ccの「MT-25」もラインアップ。シリーズ最高峰の1000ccマシンです。

●最新の排ガス規制に対応しながら166psを実現

最新型の開発コンセプトは「MT-king’s Dignity」。「MTシリーズに君臨する王の尊厳」といった意味で、まさにMTシリーズ最高峰モデルらしい、さらなる品格を備えるためのアップデートが施されています。

ヤマハMT-10/SPの2022年モデルが国内発売
MT-10のエンジン(写真は海外仕様)

主な特徴は、まず、997cc・直列4気筒エンジンの改良。サイレンサー通路径の最適化など吸排気系を見直すことで、平成32年排出ガス規制に適合すると同時に出力をアップ。最高出力は従来モデルの160psから、166ps/1万1500rpmに向上させています。

また、FIセッティングの最適化によって、4000〜8000rpm付近でリニアなトルク特性も実現するなどで、市街地からワインディングなど、幅広いシーンで俊敏な走りが楽しめます。

新型は、官能的な走行サウンドを演出したこともトピックスです。四輪車のパワートレインサウンド開発に用いられたサウンドデバイスで、エンジン回転数や車速に合わせて電子音を合成再生する「αlive AD」を応用しています。

ヤマハMT-10/SPの2022年モデルが国内発売
MT-10のマットダークグレー

より具体的には、新開発のエアクリーナーボックスに3本の吸気ダクトを採用。各ダクトは断面積と長さの異なることで吸気音がそれぞれ違い、それらを各周波数帯で共鳴させると共に、それぞれのダクトから出る音圧のバランスもチューニング。

これらにより、4000〜8000rpmゾーンで官能的なサウンドを発生させることを実現し、加速時やコーナー立ち上がり時などで、エンジンのトルク感に加え、サウンドでも走る悦びを感じられる演出が施されています。

さらに、タンクカバー上面の左右には、音の響きを強調するアコースティック・アンプリファイア・グリルを設置。これにより、吸気ダクトからの音に加えて、吸気ダクト自体の振動である「ダクトの鳴り」をライダーに向けて発生させ、ヤマハ製4気筒エンジンならではの心地よく伸びのあるサウンドを奏でます。

●IMU搭載でさまざまな電子制御が可能に

新型MT-10には、新たに6軸「IMU」を搭載したことで、よりライダーの運転操作を支援する各種電子制御システムも充実しています。

ヤマハMT-10/SPの2022年モデルが国内発売
MT-10のグレー(サイドビュー)

バンクの深さも反映する「トラクションコントロールシステム」「スライドコントロールシステム」「リフトコントロールシステム」「エンジンブレーキマネージメント」「ブレーキコントロール」などを採用。

また、クラッチ操作なしで変速操作ができる「クイックシフター」は、ギヤのアップ操作だけでなくダウン操作にも対応しています。

これら各種電子制御は、相互に連動することでライダーの運転操作を支援し、マシンのポテンシャルを効率よく引き出すことができます。なお、各システムは介入レベルの調整が可能なほか、システムによってはオン/オフの切り替えもできます。

加えて、ユーザーが最高速度を設定できる「YVSL(Yamaha variable speed limiter、矢ヤマハ・バリアブル・スピードリミッター)」も新採用。設定した車速を超過しないよう車速を制御することで、ユーザーのアクセル操作による負担軽減に貢献します。

●フルカラーメーターを全車に採用

スタイリングでは、ヘッドランプまわりの意匠を刷新し、シンプルな外装としてコンポーネントそのものの迫力をアップ。モーターサイクルの力強さと凄みを強調したほか、MTシリーズの頂点としての威厳も追求しています。

ヤマハMT-10/SPの2022年モデルが国内発売
MT-10SPのシルバー

メーター系では、従来はSPモデルだけだったフルカラー4.2インチTFTメーターをスタンダードモデルにも搭載。介入項目を組み合わせて走行モードを選択できる「YRC(ヤマハ・ライド・コントロール)」も全モデルに採用されています。

また、上級モデルのMT-10 SPには、オイル流路の切り替えをスムーズに行えるスプールバルブ内蔵のオーリンズ製電子制御サスペンションを2輪車で初装備。アンダーカウルなどの装備により、外装もよりアグレッシブな雰囲気となっています。

カラーラインアップは、スタンダード仕様にグレー、ブルー、マットダークグレーの3色、SPモデルにはヤマハフラッグシップの「YZF-R1M」を彷彿とさせるシルバーを採用。

価格(税込)は、MT-10が192万5000円、MT-10 SPが218万9000円で、発売日は2022年10月26日です。

(文:平塚直樹

この記事の著者

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平塚 直樹

自動車系の出版社3社を渡り歩き、流れ流れて今に至る「漂流」系フリーライター。実は、クリッカー運営母体の三栄にも在籍経験があり、10年前のクリッカー「創刊」時は、ちょっとエロい(?)カスタムカー雑誌の編集長をやっておりました。
現在は、WEBメディアをメインに紙媒体を少々、車選びやお役立ち情報、自動運転などの最新テクノロジーなどを中心に執筆しています。元々好きなバイクや最近気になるドローンなどにも進出中!
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