ホンダの燃料電池車「FCX」が米国政府の認定を取得。年末には日米でリース販売を開始【今日は何の日?7月25日】

■世界初の米国政府の認定によってFCXの米国での販売が認許

2002(平成14)年7月25日、ホンダ燃料電池車「FCX」が、燃料電池車(FCV)として初めて米国環境保護庁(EPA)とカリフォルニア州大気資源局(CARB)の認定を取得しました。これにより、米国での販売が認許されたことになり、FCVの実用化に向けた新たな扉が開きました。

2002年米国「EPS」と「CARB」の認定を取得した燃料電池車FCX
2002年米国「EPS」と「CARB」の認定を取得した燃料電池車FCX

●究極のエコカーと呼ばれるFCV

燃料電池車は、車載タンクに充填した水素と大気中の酸素を反応させて発電する燃料電池の電力を使って、モーターで走行します。EVの2次電池の代わりに燃料電池を搭載したシステムで、通常のガソリン車がガソリンを補給するように、水素を補給します。

燃料電池車は、原理的には発生するのは水のみで有害な排出ガスが出ない、エネルギー効率がガソリンエンジンの約2倍と高い、水素を製造するために天然ガスやエタノールなど石油以外の多様な燃料が利用可能、1回の水素補給でガソリン車並みの航続距離が確保できるといったメリットがあり、究極のエコカーと呼ばれています。

電気を発生する燃料電池スタックは、発電する燃料電池セルを、数百枚ほど直列接続して1ユニットにまとめたもの。また高圧水素タンクには、通常70MPa(FCXは、35MPa)の高圧水素が充填されており、耐圧強度を確保するために炭素強化繊維プラスチックなどで構成されています。

●4人乗りコンパクトカーのFCX

FCXカットモデル、床下に燃料電池スタック、フロントにはモーターなどパワートレイン、後部は高圧水素タンクを搭載
FCXカットモデル、床下に燃料電池スタック、フロントにはモーターなどパワートレイン、後部は高圧水素タンクを搭載

ホンダは、1990年代から燃料電池車の開発を積極的に始め、1999年にはFCXのベースとなる燃料電池車「FCX-V1」と「FCX-V2」を発表。その後、「FCX-V3」、「FCX-V4」と進化させ、燃料電池スタックの高出力化や蓄電システムに自社開発のウルトラキャパシタを採用するなどの改良を加えます。米国と日本の公道試験で実用化に向けた実証試験を行い、走行データから課題などを洗い出して開発のためのフィードバックを行ってきました。

完成したFCXは、4人乗りのコンパクトカーで、出力78kW(106PS)、水素ボンベは35MPaの156.6L、モーター出力は60kWで最高速度150km/h、1回の水素充填による航続距離は355kmの性能を誇りました。

FCVの心臓部である燃料電池スタックは、バラード社製のPEFC(固体高分子膜型)。PEFCは、作動温度が広く出力密度が高いため、自動車用としてほとんどのメーカーが採用しています。

●日米でリース販売を開始、成果はクラリティ・フューエルセルへ繋がる

2002年12月3日、内閣府に1号車納車(小泉総理への納車式)
2002年12月3日、内閣府に1号車納車(小泉総理への納車式)
2016年リース販売を始めた「クラリティ・フューエルセル - コピー
2016年リース販売を始めた「クラリティ・フューエルセル – コピー

ホンダは、2002年12日2日にFCXを米国カリフォルニア州のロサンジェルス市庁と日本の中央官庁に納車しました。その後、日米ともリース販売先を拡大し、2004年には箱根駅伝や様々なプロジェクトなどに参加して、その環境性能と実用性の高さをアピール。2005年には、米国カリフォルニア州で個人向けのリース販売も開始しました。

そして、FCXの成果は2008年からリース販売を始めた新型燃料電池車「FCXクラリティ」、2016年の「クラリティ・フューエルセル」と繋がりますが、クラリティ・フューエルセルは2021年8月に生産を終了しました。


究極のエコカーと呼ばれても、コストが下がる目途付けがないと、開発リソースを投入するのは難しいですね。ホンダのFCV「クラリティ」は一時的に姿を消しましたが、大幅なコスト低減をして2023年頃再登場することになりそうです。一方のトヨタのFCV「ミライ」は、2020年12月にモデルチェンジして進化を続けています。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかも知れません。

Mr.ソラン

この記事の著者

Mr. ソラン

Mr. ソラン 近影
某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きなクルマで、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。