日産から2代目プレサージュが登場。広く快適な室内でライバルのオデッセイに対抗【今日は何の日?7月24日】

■プラットフォームを刷新して広く快適な上級ミニバンに変貌

2003(平成15)年7月24日、日産自動車のミニバン「プレサージュ」が初めてのフルモデルチェンジを行い、2代目に移行しました。初代の弱点を解消するためプラットフォームを変更して、低床化によって多彩なシートアレンジや快適な車室内空間を実現しました。

2003年に登場した2代目プレサージュ (C)Creative Commons
2003年に登場した2代目プレサージュ (C)Creative Commons

●オデッセイの対抗馬として日産が放った初代プレサージュ

1998年日産は、圧倒的な人気でミニバンを牽引していたホンダの「オッデセイ」の対抗馬として、初代「プレサージュ」を投入します。

1998年に登場した初代プレサージュ
1998年に登場した初代プレサージュ
1999年にデビューした2代目オデッセイ
1999年にデビューした2代目オデッセイ

オデッセイに近いボディサイズでしたが、全長は5mm増しで全高は75mm増しと、やや大き目でした。サイドドアはスライド式でなく、オデッセイと同じヒンジ式。豪華な装備で落ち着いた雰囲気のミニバンとしての評価を受けていきます。しかしライバルのオデッセイは全高を抑えた乗用車感覚の室内と運転フィールで大人気。いっぽう全高が高いプレサージュには多くの人が新しい時代の新鮮味のようなものを感じなかったのでしょうか。初代プレサージュは高床パッケージングでもあったため、室内空間もオデッセイに対抗する快適さとは言えませんでした。

●クラストップの室内空間で登場

2代目プレサージュは、初代の弱点であった高床パッケージングを解消するために、まず新世代”FF-Lプラットフォーム”を採用し、低床化パッケージングを実現。これにより、車高を抑えながら室内高を拡大し、さらにホイールベースを伸ばすことでクラストップの室内空間を誇りました。また、「簡単、楽々シートアレンジ」と呼ばれた多彩なシートアレンジも、大きなセールスポイントでした。

多彩なシートアレンジも魅力のひとつであった2代目プレサージュ
多彩なシートアレンジも魅力のひとつであった2代目プレサージュ

スタイリングは、低床化によって流れるようなダイナミックなフォルムに変貌し、横線基調のメッキグリルやシャープなラインで構成されたウィンドウ、縦長のコンビランプを上部に配するなど上級感をアピール。エンジンは先代と同じ2.5L直4DOHCに3.5L V6DOHCが加えられ、力強い走りとともに燃費も改良されました。駆動方式はFFと4WDが設定されました。

当時のミニバン市場は、「オッデセイ」と「エスティマ」の2強の他、他社からもライバルが続々登場し、競合ひしめく激戦区でした。2代目プレサージュは、当初は堅調に売れましたが、その後の販売は期待通りには伸びませんでした。

●かつて市場を席巻したミニバンも今や人気が低迷

1990年にデビューした初代エスティマ
1990年にデビューした初代エスティマ

2代目プレサージュは、2009年8月に生産を終了、プレサージュの車名はこれをもって日産のラインナップから消えました。2010年前後に生産を終了したのはプレサージュだけでなく、ミニバンブームで人気を博したトヨタの「ウィッシュ」や「イプサム」、ホンダの「ストリーム」、マツダ「プレマシー」、三菱「グランディス」なども同じ道をたどっています。そのほとんどが、オデッセイが開拓した比較的車高の低いミニバンです。

2010年以降、軽のハイトワゴンやコンパクトなトールワゴン、3列シートのSUVなど、選択肢が広がったことでミニバンの人気が低迷し、なかでもファミリーユースには訴求しにくい背の低いミニバンは勢いを失ったのです。


かつてミニバンの2強であった「エスティマ」も2019年、「オデッセイ」は2021年をもって生産を終えました。現在、ミニバンといえばアルファードやノア/ヴォクシーが絶好調ですが、まさしくミニバンの栄枯盛衰を見る思いですね。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかも知れません。

Mr.ソラン

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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