初代スバル「BRZ」が受注終了。翌年の新型BRZにバトンタッチ【今日は何の日?7月20日】

■トヨタとの共同開発で誕生した初代BRZが終焉を迎える

スバルの初代「BRZ」は、トヨタとの共同開発で2012年3月にデビューし、ライトウェイトスポーツとして長く人気を博していました。そのBRZも9年を迎えた2020年7月20日のこの日、国内向けの受注を終え、11月30日に販売を終えていきました。ちなみに兄弟車の「トヨタ86」の販売は、翌年2021年10月に販売を終えました。

2012年にデビューしたBRZ。トヨタとの共同開発で誕生
2012年にデビューしたBRZ。トヨタとの共同開発で誕生

●トヨタとの提携の目玉として誕生したBRZ

トヨタとスバルの協業は、2005年の業務提携に向けた基本合意から始まりました。これを機に、両社の開発、生産に関わる経営資源の活用や、技術面の補完を図ることを目標に検討を開始。最初のコラボは、2007年スバルの米国生産拠点での「カムリ」の受託生産でした。

2008年には、ダイハツも含めてより強固な協力関係を築くことに合意。この中で、小型FRスポーツモデルをトヨタとスバルが共同開発し、両社で市場展開することが取り決められました。小型FRスポーツは、スバルのコア技術である水平対向エンジンを搭載した新しいプラットフォームをベースに、運転の楽しさを新たに提案するクルマを目指し開発を進め、2011年末の市場投入を目指すという具体的な目標が掲げられました。

●スバルとトヨタの連携が生んだ名車も、誕生から8年でその役目を終える

企画をトヨタ、開発と生産をスバルが担当する共同開発によって進められた小型FRスポーツは、スバルBRZが2012年3月28日、兄弟車のトヨタ86は同年4月6日から発売が始まりました。

BRZに搭載された2L DOHC水平対向エンジン
BRZに搭載された2L DOHC水平対向エンジン
BRZの兄弟車トヨタ86
BRZの兄弟車トヨタ86

スポーツカーらしい典型的なロングノーズの流線型フォルムのボディに、スバル自慢の2L水平対向(ボクサー)DOHCエンジンを搭載。これに、トヨタが開発したガソリン直噴「D-4S」システムを組み合わせ、NA(無過給)ながら200PSを発揮し、組み合わせるトランスミッションは、6速のMTとATが用意されました。低重心で軽量コンパクトのボクサーエンジンの特性を生かし、さらにFRによって高性能で俊敏な走りが実現。スバルとトヨタの技術を結集したモデルだからこそ完成度は高く、当初の受注台数は3500台を超えました。

その後も、継続的な改良によって進化を続けましたが、さすがに5年を経過する頃から販売数は弱まり、次期車のデビューが決まって販売を終えたのです。

●排気量を拡大してブラッシュアップした新型BRZが登場

小型FRスポーツの灯を消すなとばかりに、2代目BRZは2021年7月に9年振りのフルモデルチェンジによって登場しました。

2021年に登場した2代目BRZ
2021年に登場した2代目BRZ

新型BRZのスタイリングは、初代をベースにしながらも全体的にボディの張りが強調され、躍動感にあふれたフォルムに変貌。プラットフォームは、コストを重視してキャリオーバーですが、ハイテン鋼などの採用によってボディ剛性を高めて、ワンランク上の軽快なハンドリング性と操縦安定性を実現しています。さらに、水平対向エンジンの排気量が2.0L(FA20型)から2.4L(FA24型)に拡大したことで、全域のトルクが向上し、扱いやすいパワフルな走りとなったことも、大きな特徴です。

2代目BRZは、半年経過時点で5000台近い販売台数を記録、順調に滑り出しました。


スポーツモデル冬の時代と言われますが、速さでなく走る楽しさを追求した、比較的安価で庶民が手にしやすいライトウェイトスポーツは、一定の需要があります。その代表であるBRZ、GR86、ロードスターの今後の進化に期待したいですね。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかも知れません。

Mr.ソラン

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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