■セリアル番号を見れば作られた年と製造週が分かる
タイヤというもの、銘柄や走り方により差はあっても、走れば走るほど摩耗するのは自明の理。残りの溝が1.6mmを切ってスリップサインの現れたタイヤは法令違反となり、もちろん車検を通過させることもできません。ただし安全性能を考えると、1.6mmまで持ちこたえさせることなく交換したいものです。
しかもタイヤは走らなくても徐々に劣化することを忘れてはいけません。タイヤはゴムやコードなど様々な材料でできていて、走行中にタイヤへかかるストレスをもちろん、たとえ走らせなくても、紫外線や洗剤など常に外敵にさらされています。新品時には充分な弾力があったタイヤでも、時が経つごとに硬化して弾力がなくなり、次第にひび割れが発生していくのは、もし経験がなくても想像に難くありません。
タイヤの寿命は環境によって大きく異なるので一概に決めつけることはできません。しかし走行距離と同じように大事な指標として、製造からの経過時間が挙げられます。食品のようにわかりやすく製造年月日がアピールされているわけではないので、つい知らずに過ごしがちですが、実はユーザーでもちゃんと確認することができるのをご存知ですか? タイヤのサイドウォールには刻印されているセリアル番号がそれです。
セリアル番号は工場番号を示すアルファベットの後に続く4ケタの数字。後ろの2ケタが製造された年を、その前の2ケタがその年の何週目かを示します。写真のように「4414」と刻印されていれば、2014年の第44週目(10月末)に製造されたということですね。
●最新スタッドレスは劣化にも強くなっている
特に冬場に数回しか走らせないような都心部のスタッドレスタイヤユーザーは、摩耗寿命よりも経年劣化が心配になるでしょう。充分にヤマはあるからといって、5年10年と経ったスタッドレスタイヤは、間違いなく性能が低下していることを忘れてはいけません。こんな時、見た目の状態や、いつ購入したかという記憶とともに、セリアルもひとつの目安となるでしょう。
しかし、スタッドレスに限らずタイヤを交換する際、セリアルで判別できる生産年月が新しいほうがいいとはいえ、神経質なくらい出来たてホヤホヤじゃなきゃダメということもありません。メーカーやタイヤ販売店が厳格に管理している新品であれば、些細な時間は気にしなくてもいいという結果もあります。
たとえば過去のクリッカーでも取り上げましたが、タイヤ公正取引協議会では、2018年12月〜2019年2月にかけて、2018年、2017年、2016年に製造された5社のスタッドレスタイヤをアイスリンクでテストして結果を公表し、2018年製、2017製では100%、2016年製で99%の性能を保持していると発表しました。その記事では横浜ゴムのスタッドレスタイヤ「アイスガード6」についても、新品と4年経過相当品の性能を比べており、スタート時のトラクション、ブレーキング時の減速G、制動距離、スラロームの反応……すべてが新品との区別が付かなかったという評価もあります。
これは商品自体、徹底した品質管理をおこなっており、また万全の保管体制を敷いている結果でもあります。また、メーカーだけでなくタイヤ販売店側も、雨風はもちろん紫外線対策としてラップフィルムを巻いて守っているところもあります。耐摩耗性とは別次元にある、時間軸という意味での耐久性もまたタイヤ性能に求められる重要な要素であり、タイヤメーカーはこうした開発にも全力で取り組んでいてタイヤ販売店側も工夫しているわけですね。
(クリッカー編集部)
※この記事は2022年7月19日に再編集しました。
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