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■「安心・安全」に関わる機能は初度登録後10年無料
まったく新しいFRプラットフォームを採用したCX-60の予約を開始するなど、ラインナップを拡充しているマツダが、コネクティッドサービスについても大胆な改革を発表しました。
コネクティッドサービスというのは、事故や急病など緊急時の自動通報機能に代表される”つながる”機能です。そのほか、ソフトウェアアップデートなどもコネクティッド機能に含まれますし、スマートフォンにインストールした専用アプリを介して、リモートでドアロックできます。
スマートフォンで目的地を見つけて、ナビに送信するという便利な機能もコネクティッドのひとつです。
そんなマツダ独自のコネクティッドサービスについて、これまでは初度登録から3年間無料で4年目から有料となっていましたが、安心・安全に直結する機能については10年間無料にするというのです。
快適性や利便性につながる機能については、モノによっては3年間無料で4年目から有料。さらに最初から有料のプランを設定するなどサービスの内容も充実させています。
具体的に10年間無料となるのは以下のサービスになります。
・マツダエマージェンシーコール
・マツダアドバイスコール
・コンディションモニター
・バッテリーケア
・バーグラアラーム通知
・ソフトウェアアップデート
・リコール通知
事故やトラブルの助けとなるマツダエマージェンシーコールやマツダアドバイスコールといった機能は、利用したユーザーからの評判もよく、また事故被害を抑えることが期待できるため、無料期間を10年に延長することでマツダ車ユーザーの安心・安全に寄与したいということです。
●コネクティッドサービスは車両に紐付けられる
最近ではスマートフォンのアプリに課金することに抵抗がない人も増えていますが、まだまだ自動車ユーザーが「最初は無料だったサービスが有料化すると継続利用したくなる」という気分になるのも理解できます。
とはいえ、エマージェンシーコールなどの機能はいつ何時必要になるかわかりません。使い続けていることがユーザー自身の安全につながります。
マツダが無料期間を10年に設定したというのは、平均的な車齢に近い期間とすることで、クルマが使われている間はコネクティッドサービスによる安心・安全を提供したいと考えたからといいます。
ですから、既存ユーザーもあらためて申し込むことで、無料期間を延長することができるような仕組みとなっています。現時点ではコネクティッドサービスの搭載車種は限られますが、将来的にはすべてのマツダ車において10年無料のコネクティッドサービスが搭載されるということになることが期待できます。
有料サービス部分についてもユーザーの負担を軽くするように工夫されています。たとえば、9月にローンチがはじまるCX-60についてはスマートフォンアプリを利用してエンジンをかけることのできる「リモートエンジンスタート」という便利な機能が搭載されるということですが、これは年間2420円もしくは任意の月だけ220円で加入することができるようなっています。もし冬季のリモコンエンジンスタートだけ利用したいと思えば、4か月だけ加入するといったことも可能なのです。
なにより注目したいのは、安心・安全に関する部分の10年無料というサービスについては、所有者ではなく車両に紐づけられるということです。
●中古で購入しても無料期間が続くのは嬉しい
初度登録から10年ということは、ファーストオーナーが乗り続けるとは限りません。5年くらい乗ったところで乗り換えるという人もいるでしょう。
そうして中古車市場に流れたマツダのコネクティッドサービス搭載車を購入したときに有料になる……ということはありません。中古車を買ったオーナーも申し込むことで、初度登録から数えて残っている無料期間についてはタダでコネクティッドサービスを利用することができるのです。
新車で購入したオーナーを優遇しがちな自動車業界としては異例の対応ともいえますが、マツダ車による死亡事故を減らそうという強い思いが、こうした英断につながったのでしょう。
さらにいえば、コネクティッドサービスの無料期間が十分に残っているということは中古車市場におけるセールスポイントになり得ます。つまりマツダ車のリセールバリューが上がっていくことが期待できるのです。リセールバリューの上昇は新車で購入したオーナーにとっても買取・下取り価格が上がるという話ですからメリットです。
今回のコネクティッドサービスに関するマツダの施策がリセールバリューを爆上げするようなことがあれば、他社も追随してくることでしょう。そうなるとマツダとしては差別化できなくなるかもしれませんが、ユーザー的には嬉しい状況ともいえます。
将来的には、ある程度のまとまった期間については、コネクティッドサービスの利用料を気にしなくていいという時代になるかもしれません。それはコネクティッドサービスの普及にもつながるはずで、新しい自動車社会の広がりを予感させるのです。