■空気圧は高すぎても低すぎてもダメ
いかに優れた設計を持っていても、これが不充分では宝の持ち腐れ。本来の性能を存分に発揮できないばかりか、ともすれば著しく安全性を損なうことも……というのがタイヤの空気圧です。空気圧は低すぎても高すぎてもいけません。
空気圧が不足していると、タイヤが発熱し過ぎてヒートセパレーションを起こしたり、ショルダー部分(トレッド面の両端)の偏摩耗が進むなど、タイヤを傷めることになります。ハイドロプレーニングが起こりやすくなったり、燃費が悪くなるといった弊害も生みます。
逆に空気圧が高すぎると、今度はトレッド面の中央付近が偏摩耗したり、コード切れやバーストを誘発したり。やはり最適な空気圧を維持することが、安全なドライブとタイヤのロングライフにつながるわけです。
最適な空気圧とは、すなわち「指定空気圧」。タイヤ銘柄に依存するのではなく、クルマのモデルごとに自動車メーカーが導き出した指定空気圧が存在します。たいていのクルマはドア開口部に記載されていますね。クルマによっては、ひとり(ふたり)乗車の場合と、多人数乗車の場合で指定空気圧が異なる場合があり、基本は多人数乗車のほうが、すなわち車両重量が重いほうが空気圧は高くなる傾向にあります。
空気圧は最低でも1ヶ月に一度はチェックするべき、というのが各方面で謳われています。距離を走る人はもっと頻度を多く、逆に一ヶ月に一度もクルマを動かさなかったという方も、空気圧はぜひともチェックしたい項目です。
●安全の範囲内で空気圧を変更させてみる
サーキット走行などを楽しむ人にとっては、安全の範囲内で「空気圧をセッティングツールとして使う」ことができます。サーキットユーザーなら常識の空気圧管理。空気は温度が上がれば膨張しますので、走ってタイヤが発熱すれば空気圧は上昇します。サーキットを走る際は上昇する温度に合わせて冷間時(走り出し)の空気圧を低く設定し、走っている時にベストな性能を引き出せるよう調節することが多いでしょう。イコールコンディションのワンメイクレースでは、空気圧設定が勝敗を分けることさえあります。
自走でサーキットを往復する際に注意すべきなのは、走り終えた後、そのまま帰宅してしまわないようにすること。ストリートに比べてタイヤ温度が著しく上がるサーキットを見越した空気圧のままだと、タイヤが冷えたら空気圧が極端に低い状態となるからです。実際、これを忘れて帰路につき、コンビニの縁石でバーストさせた人を知っています。サーキット施設にある設備を使って、速やかに指定空気圧へと戻して帰るのを忘れずに。
たとえサーキットではなくても、夏と冬、あるいは高速で長距離とか、近所のお買い物だけというようなクルマの使い方によって、空気圧を変更させるのもいいかも。ただし、安全上の観点から絶対指定空気圧を下回らせることなく、上限は10%程度に止めましょう。先のサーキットは、クローズドコースでの自己責任ということで、皆、走り出しを下げています。
ちなみにこうしたモータースポーツの現場に精通したグッドイヤーは、ラインアップするほとんどの銘柄のサイドウォールに「AIR OK?」という分かりやすい文字が記載されています。いかに空気圧が大事かをユーザーに伝えるさりげない配慮とでも言うのでしょうか。これなら洗車している際も、あらためて確認したいと思わせてくれます。
なお、インチアップ等で純正とは異なるサイズのタイヤ&ホイールを装着する場合は、信頼できるタイヤ販売店に相談しましょう。
(クリッカー編集部)
※この記事は2022年7月1日に再編集しました。
【関連リンク】
JATMA(日本自動車タイヤ協会空気圧ページ)
http://www.jatma.or.jp/tyreday/spring_10/
日本グッドイヤー株式会社「タイヤの知識・空気圧」
https://www.goodyear.co.jp/knowledge/air.html
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