目次
■カローラクロスの日常性を探る!
クルマは前に向かって走るだけではなく、後ろに向かっても走ります。バックでドライブするひとはおらず、シフトをRに入れるのは、多くは駐車場操作のとき…今回は、クルマ雑誌や自動車サイトでは語られず、ディーラー試乗車でもじっくり試すことのできない車庫入れ性を筆頭に、カローラクロスの日常性について検証してみます。
●後方視界と車庫入れのしやすさ
まず、ここで見るのは視界についてです。前方視界については、このカローラクロス試乗で過去3回に渡って触れてきました。今回は後方視界に重点を置き、車庫入れ性能を見ていきます。
登場するのは、同じことを前にフィットで行ったときに用いたうちの車庫。ここに車幅1825mm、ドアミラー間距離2118mmのカローラクロスを入れようとするとどうなるか?
結局は5ナンバーサイズ枠(全長4700mm以下、全幅1700mm以下、全高2000mm以下)用の車庫寸法ですから、入れにくいというのが感想です(やる前からわかっていた)。
実際に様子を写真に撮ったのでごらんください。
車庫入れ時の後方視界は写真のとおり。各ピラーが太いことに加え、前に述べた、ウエストラインが高いことと、そのウエストラインに下端を合わせたリヤガラス上下寸も短いため、斜め後方も真後ろ視界も把握はしにくい部類です。せめてサイド、リヤとももう少しガラス下端が下にあれば…
何だかJAF MATEのユーザーテストみたいになってきますが、これくらいの車幅になると運転席ドアの開口角は小さくなるため、助手席の乗降はハナっからあきらめ、クルマは車庫の左に寄せるのが得策です。
というわけで、カローラクロスに限りませんが、庶民的サイズの車庫を有するひとは、バックはいっそボディ左後ろあたりを入口左にぶつけるくらいの気分で動き出すのがいいでしょう。
車庫やカーポート、車両全長の関係にもよりますが、バック途中、敷地外に残るのがフロントオーバーハングになった頃に気を使わなければならなくなるのが助手席側ドアミラー。なにしろカローラクロスはドアミラー間距離が2118mmもあるので、窓から顔を出したり、ミラーを通してボディと車庫サイドの間隔に気を取られている間に、ドアミラーそのものの存在をきれいに忘れ、ポート支柱に助手席ドアミラーを接触しかねません。
後ろの車両と適当な距離を開けて駐車完了したのがこの写真。ボディ左後ろをぶつけるようにと書きましたが、それでもそのままバックしての駐車位置は車庫中央でした。この車庫幅では乗降が困難なため、いったん切り替えしをしてクルマをいくらか車庫左に寄せています。自分のクルマならスレスレにするところですが、借りたクルマなら大それたこともできず、この程度にとどめていますが、車庫幅が限定的なサイズの方は、このような工夫が必要でしょう。
筆者が昨今のクルマに対して懸念しているのは、対衝突対応の要請によるピラーの極太化とサイズの肥大化で、狭い都市のうら道、住宅街での取りまわし性のほか、車庫入れ性も著しく低下することです。クルマは5~6年に1度モデルチェンジしてサイズが大きくなっても、道路や車庫、駐車場は5~6年に1度モデルチェンジして幅が拡がるわけではありません。1966(昭和41)年の初代カローラの根底には、「高嶺の花であるクルマを、誰にでも買え、扱いやすく、親しまれるものに」という思想が流れていました。カローラクロスは、「カローラ」を冠するクルマとしてはサイズ、特に幅が大きすぎ、やはり理想は1700mm幅、せめて現行セダン/ツーリングの1745mmに収めてほしかったと再認識した部分です。それがいやならヤリスクロスをどうぞということなのでしょうが…カローラクロスを検討中の方は、車庫サイズともじっくり相談することをお忘れなく。
●バックモニター/パノラミックモニター&フロントビューモニター
外形スタイリング優先でガラス面積を小さくするのはともかく、最近の各社の新型車全般を見ると、年々強化する対衝突要件対応でピラーを太くし、キャビン変形を抑える高剛性ボディを構築するためには有効実視界縮小もやむなしと決め打ちし、視界の不足分はカメラでカバーしようとしているフシがあります。それを証明するかのように、各新型車とも、標準、オプションの違いはあれど、ボディ外側にはこれでもかといわんばかりの数のカメラが…
カローラクロスもその例に漏れず、ガソリン車、ハイブリッド車問わず、後退時に車両後方を映し出すバックガイドモニターがG”X“を除く全車に標準装備。車両周囲を映し出すパノラミックビューモニターがSとZに2万7500円の工場オプションながら用意されています。
バックモニターのみの場合、カメラがバックドアに1つ。パノラミックビューモニター装着車は、フロントナンバープレート直上に1つ、左右ドアミラーにひとつずつが加わって計4つとなると同時に、標準でぶらさがっている助手席側ドアミラー下の補助確認装置がなくなります。ということは、Toyota Safety Sense用のフロントガラス上部のカメラを入れると、カローラクロスのカメラ総数たるや5つ! そのうち車両真上や床下路面を映すべく、ルーフやフロア下排気管あたりにもカメラがつくようになるのではと疑いたくもなってきます。
●バックビューモニター
それはさておき、車庫入れ時の車両後方の様子は、計器盤センターの9インチディスプレイ(オプション品。標準では7インチ)に生中継されます。
表示は通常の「バックビュー」「ワイドバックビュー」の2つが用意されます。ここではバックビュー画面にて説明します。
何やらいろいろな線も映っていますが、これはガイド線で、バック駐車の進路…というより退路と言うかもしれませんが、とにかくバックする際の退路ルートをアシスト表示するものです。表示モードは次の2とおり。
<予想進路線表示モード>
名のとおり、ハンドル操作に応じて画面内の黄色い車幅延長線が右に左に移動し、予想される移動軌跡の目安を表示するモード。
<駐車ガイド線表示モード>
説明書の文句をそのまま引用すると「ハンドルの切り返し点(駐車ガイド線)が表示されます。予想進路線表示を必要とせずに駐車できる、車両感覚に慣れた方におすすめします。」というモード。
要するに前者は車庫入れヘタクソ用、後者はうまいヤツ用というわけです。
両者に共通する表示は、「車幅延長線」「距離目安線」「車両中央線」の3つ。
「車幅延長線」はクルマをまっすぐ後退させたときの進路の目安を表示。「距離目安線」は、予想進路線表示モード内では2種あり、ひとつは予想進路線に含まれる距離目安線で、予想進路線と連動、バンパー後端の中心位置から約0.5m後方(赤色)、約1m後方(黄色)を示します。もうひとつはバンパー後端から約0.5m後方を教える青色で固定表示される線で、この線は駐車ガイド線表示モードでは赤色で示されます。
「予想進路線表示モード」「駐車ガイド線表示モード」、いずれのときでも、線が目に煩わしい場合は、赤線1本の「距離目安線表示モード」にすることができます。
書いていてそろそろややこしくなってきましたが、百聞は一見にしかず。写真を見るほうがわかりやすいと思いますのでご覧ください。
アイデアだなと思ったのは車両中央線。車幅延長線の中心位置を示す水色の線で、何でいままで思いつかなかったのだろうと思ったラインでした。
逆に何でどこも思いつかないのかと常々考えているのは、「バックドア開閉可能限界線」とでもいうべきラインの表示。バックする際、バンパーから50cm、1mと、後ろの壁との間隔を距離で決めて停める人はおらず、実際には壁スレスレにまで寄せるか、バックドアが開くスペース、またはひとが通れる間隔を残して停めるかのどれかでしょう。ましてや画面に「0.5m」「1m」の表示があるわけじゃなし。ならばバックドア開閉可能限界線を1本入れてくれたほうが有用性は高まると思います。
この写真は、後ろにクルマがあるときの、バックドアを開けられる、わざとらしくない自然な車間距離を残して撮ったものです。このときの車間距離、筆者実測で386mm。ならばこの386mm線を数字ではなく、「Back Door」の文字で示す。このほうがよっぽど役に立つと思うけどなァ。
●パノラミックビューモニター&フロントビューモニター
クルマ周囲に取り付けた4つのカメラ映像を合成し、車両を上から見たときの絵を9インチディスプレイに映し出す仕掛けです。といってもどこのメーカーも、クルマそのもののは実写ではなく、ただのイラストでしかないことに注意が必要です。あくまでも合成であり、本当の意味で周囲の物体とクルマの位置関係を画面に映し出しているわけではないからです。全面的に信用せず、初めからズレがあることを念頭に入れておいたほうがいいでしょう。
スイッチは運転席右下、オートハイビームスイッチ左に備えられている「VIEW」ボタンがそれです。
VIEWボタンを押すたびに表示が切り替わり、シフトがP、D、Nにあるとき、ナビないしオーディオ画面から、上面視のパノラミックビューとフロントカメラからのフロントビューの2画面が、そして左右ドアミラーからの左右フロントフェンダー付近を映し出す両サイドビューと切り替わります。
リバース時のパノラミックビュー&フロントビュー画面のときにVIEWを押すとパノラミックビュー&バックビューまたはバックビューに。両者は右下のスイッチで切り替えられます。
車両上方視を映し出す手法は、日産が2代目エルグランドの途中で起用したのが最初でしたが(2007年・世界初)、これもだいぶ広まりました。以降、各車から同類技術が出てしばらくは、上面視車両4つ角から伸びる、4つのカメラ画像の境目の黒エリアがあったものですが、「これは消えないのか?」という筆者の問いに、どこのメーカーも「理論上は消すことができないものだ」と返答してきたものでした。「そうはいってもいずれ消えるだろう」と思っていたところ、技術は進むもので、いつのころからかうまく合成できるように。カローラクロスのそれもボディまわり360度をうまく映し出しています。といっても4つのカメラ設置箇所はボディ中腹なので、上面視画像とて、クルマ周囲の絵はボディ下半身高さまでのもの。その意味では不自然なのですが、ピラーが太く、ウエストラインが高いために直接視界が不足気味なクルマだけに、いったん使ったら手放せなくなるひともいるでしょう。
SとZに工場オプションでつけられる、このパノラミックビュー&フロントビューモニターの価格は2万7500円。考え方しだいですが、予算があるなら1種の保険だと思って選んでおいたほうがいいと思います。というのも、うっかりミスでボディのどこかを損傷した場合、例えそれが点のような傷だったとしても、その板金・塗装補修費が2万7500円を下ることはないはずだからです。カメラ3つ(と正確には画像合成技術)の追加で、おそらく3~4万超の出費が防げるかも知れないなら、2万7500円は高くはありません。
●オーソドックスな使い勝手のトランクルーム
荷室容量は、車両寸法相応といったところ。日常下、これで不満に思う人はいないでしょう。荷台床高さも高すぎず低すぎず。前に述べたように、リヤシートは背もたれが倒れるのみで、スライド機構がないので、後席使用時の荷室拡大はできません。ダブルフォールディングもないので、背もたれを倒したときは段差が残りますが、どうしてもフラットにして使いたい人には「ラゲージアクティブBOX」なる、手前フロアを二重底にして嵩上げする用品オプションを選ぶといいでしょう。
世の中の自動車雑誌には、背高の荷も積めるので、荷室床は低いほどいいと書いているものが多いのですが、筆者はそれも良し悪しだと思っています。確かに、特に重い荷物を積む際には「よっこらせ」となるでしょうが、降ろすときは高い位置から取り出すことになるため、かえって楽なのです。人間が乗り降りするためのフロアは低いほうが楽ですが、トランクはそうとばかりはいえない…そもそもぎっくり腰になるのは、重い荷物を床から持ち上げるときでしょ?
バックドア開口寸法、荷室サイズは写真のとおり。
尺度として、誰の部屋にでも転がっている、400枚200組ティッシュペーパーとたばこの箱を使いました。この記事を見ているひとが、部屋にいながらにして荷室寸法を擬似体感できるようにするためです。
ティッシュペーパーの箱サイズはどれもこれも似たようなもの。写真を見ながら床にティッシュ箱をあてがい、カローラクロスの荷室サイズを簡単につかんでみてください。
バックドアを開けたときに見える部分すべてが荷室フロアなのではなく、両脇は1段下がったもの入れになっています。また、床下は三角表示板やパンク修理キットを収めるスペースとなっていました。
●ハンズフリーパワーバックドア
荷室に格別大きな工夫はないのですが、バックドアの開閉機構には至れり尽くせりのロジックが投入されています。ハンズフリーバックドア。
バックドアを電気モーターで開閉するのは昨今大してめずらしいものではなくなり、最近ではさらなる工夫を採り入れたクルマが増えてきています。
カローラクロスのZに標準装備、Sに7万7000円で工場オプションとなる「ハンズフリーパワーバックドア」の開閉方法は次のとおりです。
<リモコンで>
リモコンのスイッチを約1秒長押しすると電動で開き、開閉中に再度スイッチを押すと途中停止。このときふたたびスイッチを1秒長押しすると反転します。
<車内から>
バックドアがアンロック時、運転席右下にあるETCユニットのさらに下のスイッチを約1秒長押しすると、ブザー吹鳴とともに開閉(ロック中は作動せず。)。リモコンの場合と同じく、開閉中に再度スイッチを押すと途中停止。このときふたたびスイッチを1秒長押しすると反転作動します。
<車外から>
車外からの操作方法が多彩です。
バックドアがアンロック時はバックドアオープンスイッチを押す、ロック時は、リモコン携帯でのオープンスイッチ長押しで、いずれもブザー吹鳴とともに開きます。開作動途中でスイッチを押すと停止。
バックドア底部のロックストライカー右にはグリップがありますが、ここに手を入れてぐっと下げるとそこから先はモーターの力でバックドア閉となります。
ロックストライカー左にはスイッチが2つ並んでいます。
左のバックドア開マークのスイッチを押すと閉じる。クローズ中にスイッチを押すと途中停止し、このときふたたびスイッチを押しすると逆転してオープン。
最初わからなかった、マーク横に南京錠マークのある右側スイッチは「クローズ&ロック機能」のスイッチで、押すと自動クローズ後に全ドアのロックまでしてくれるというもの。異なる音のブザー吹鳴とともに閉じた後、全ドアロック&アンサーバック…ロック操作をするのに閉じるまで待つ必要がなくなるわけです。閉まる途中でスイッチを押すといったん停止、再度押すと反転…ではなく、クローズを続行して自動クローズ。
ここから先は、ハンズフリーたるゆえんの機能説明。
リモコンを携帯し、スマートキー検知エリア内の、バンパーから60~70cm以内の位置で、リヤバンパー下に足をかざすとブザーが鳴り、バックドアが自動開閉するというものです。
リヤバンパー下にキックセンサーを設置。足をリヤバンパーから10cmの位置で、1秒以内に近づけて引くとブザー吹鳴とともにバックドアが自動開閉。具体的には、キックセンサーが、足を「引いた」を検知した時点で作動開始します。
ただ、この操作はコツが要るように思いました。1秒以内の足の往復の感覚がつかみにくいのと、見た目にはキックセンサーの検知エリアがわからないからです。棒1本でいいので、「このあたりよ」と教えてくれる刻印をリヤバンパー該当部に入れるか、いっそ地面を照明し、ユーザーにはその光を遮断するキック操作をさせるほうがわかりやすいのではないでしょうか。慣れるまでは手さぐりならぬ足さぐりでの操作でした。
さあ、バックドア開閉の工夫はまだありますよ!
従来のパワーバックドアはただ全開して全閉するというものでしたが、最近はバックドアの開度を調整できるクルマが増えています。SUBARUが最初だったように記憶していますが、このカローラクロスは、バックドアの開度を5段階+ユーザー設定の計6種から選べるようになっていました。
設定はメーター内のマルチインフォメーションディスプレイの「車両設定」で可能。
できれば普段、自宅の車庫では開度「3」、出先の広い駐車場では全開と、スイッチの押し様で選べるようになればいいと思うのはしつこいか! 現状では開度変更はわざわざ「車両設定」を引っ張り出さなければできないというのがちょいと億劫。ひとつの提案です。
ここではユーザー設定を除く、各5段階のバックドア開度の写真を撮っておきましたので参考にしてください。
●空調性能
室内の収納詳細は次回まわしにすることにして、ここでは空調性能について見ていきます。
カローラクロスの空調は全機種オートエアコンで、Zと中間のSは、風の温度を運転席・助手席とで独立調整できるのと、前席集中モード(S-FLOW)、後席用の吹出口がコンソールボックス後ろに与えられます。ハイブリッド車のコンプレッサーは電動インバーター式です。
コントロール部は写真のとおり。
ここではカタログでもメディアでも紹介されていない機能2つについて、解説していきます。
・エコ空調モード
燃費低減を優先し、クーラーやヒーターの働きを抑え気味にするというものです。エンジン回転数やコンプレッサーの制御をエコノミーに寄せ、冷暖房の働きを抑制して燃料消費を抑制。「AUTO」使用時にはファン風量も控えめにします。うかつにも筆者は気づかなかったのですが、後で調べたら、ドライブモードを「エコ」にすると、空調もエコ空調モードになるという連携ぶりでした。
ただし、筆者がこのクルマを借りた4月上旬は気候が穏やかで暑くも寒くもない時期だったので、乗っている間はただただ外気導入での送風がほとんど。効果はわかりませんでしたが、夏冬の冷暖房ガンガンの季節に使えば、その抑制ぶりが実感できるかもわかりません。
・フロント席集中送風モード(S-FLOW)
これは空調の送風をフロント席に優先させ、送風を自動で制御するものです。助手席シートベルト警告のセンサーを使っているのか、なんとまあ、助手席にひとがいない場合は、風送りは運転席だけにするというキメの細かさ。送風を「上半身」モードにした状態でこのボタンを押し、後席吹出口に手をかざしてみたら風がなくなったので、どうやらファン風量だけではなく、裏で吹出口制御も行っているフシがありました。
●トヨタ車らしい、豊かな外気導入量
お話変わって、走行風圧(ラム圧)による外気導入量について。筆者は経験から、トヨタ車は総じて走行風圧による風の導入量は他社の他車に比べて大きめだと思っているのですが、このカローラクロスも例外ではありませんでした。
外気導入量を見るといっても自動車メーカー実験部並みのことはできず、あくまでも素人技に過ぎませんが、空調コントロールを「上半身送風」「外気導入」「ファンOFF」にし、100km/h時の風の入り込みを見てみると、ファン風量全7段階のうち、1相当の風が入ってきました。他社のクルマだと、せいぜい0.5~0.7あたりがいいところ。ここに運転席ドアガラスのみ10mm下げたらファン2、助手席ドアガラスのみでやはり2相当の風が、両方の10mm下げで、感覚的にファン2.2相当の風が入ってきました。
いまのクルマの空調は、吹出口には風といっしょに枯れ葉まで入ってくるほどだった昔のクルマと違って、冷気と暖気を混合して使う「エアコン」になったため、外気の流路の途中にエバポレーターが鎮座、1990年代後半あたりから導入されるようになったエアコンフィルターの影響もあって、なおのこと走行圧で風が自然に通過しにくい構造になっています。つまりいまは風の通りを妨げるものが2つあるわけです。という条件を思うと、カローラクロスのファン1相当の自然風は、小さくないといってもよさそうです。
同じ実験を、あなたのクルマででも行ってみてください。
空調関連で注文がいくつか。
空調スイッチが下に1列ずらりと並んでいるだけでひとつひとつが小さく、扱いにくいものでした。機能別にまとめ、特に「OFF」だけは大きくしてほしいのがひとつ。
もうひとつは、デフロスター(フロントガラスのくもり止め)だけは、足元送風と同時に使えるモードはあるにしても、「上半身」「上半身+足元」「足元」とは独立して使えるようにしてほしいことです。そのデフロスターも、外気と内気の温度差が大きいと、クーラー使用の夏はガラス外側が、ヒーターを使う冬は内側がくもるため、デフロスター風は外気温と近似した温度で出せないか? 左右独立温度調整にもうひと系統加えればできないことではないように思うのですが、外野の無責任な意見かなあ? もともと素性のいい空調ですから、もうひとひねり、ふたひねり加えればなかなか快適な空間を作ってくれるものになると思います。
今回はここまで。
次回は内外の詳細について、新登場のモデルさん入りで解説していきます。
(文/写真:山口尚志)
【試乗車主要諸元】
■トヨタ・カローラ クロス ハイブリッドZ(6AA-ZVG11-KHXEB型・2021(令和3)年型・2WD・電気式自動無段変速機・プラチナホワイトパールマイカ)
・メーカーオプション:プラチナホワイトパールマイカ(3万3000円)、イルミネーテッドエントリーシステム(フロントカップホルダーランプ、フロントドアトリムショルダーランプ、フロントコンソールトレイランプ・11000円)、ディスプレイオーディオ(9インチ・2万8600円)、アクセサリーコンセント(4万4000円)、ブラインドスポットモニター+パーキングサポートブレーキ(4万4000円)、パノラミックビューモニター(2万7500円)、おくだけ充電(1万3200円)、パノラマルーフ(電動サンシェード&挟み込み防止機能付き・11万円)
・ディーラーオプション:ラゲージトレイ(1万5400円)、ETC2.0ユニットナビキット連動タイプ(光ビーコン機能付き・3万3000円)、カメラ別体型ドライブレコーダー(6万3250円)、フロアマット(ラグジュアリータイプ・2万8600円)
●全長×全幅×全高:4490×1825×1620mm ●ホイールベース:2640mm ●トレッド 前/後:1560/1570mm ●最低地上高:160mm ●車両重量:1430kg ●乗車定員:5名 ●最小回転半径:5.2m ●タイヤサイズ:225/50R18 ●エンジン:2ZR-FXE(水冷直列4気筒DOHC) ●総排気量:1797cc ●圧縮比:- ●最高出力:98ps/5200rpm ●最大トルク:14.5kgm/3600rpm ●燃料供給装置:EFI(電子制御燃料噴射) ●燃料タンク容量:36L(無鉛レギュラー) ●モーター:1NM(交流同期電動機) ●最高出力:72ps ●最大トルク:16.6kgm ●動力用主電池(種類/容量):リチウムイオン電池/3.6Ah ●WLTC燃料消費率(総合/市街地モード/郊外モード/高速道路モード):26.2/25.9/28.9/24.7km/L ●JC08燃料消費率:- ●サスペンション 前/後:マクファーソンストラット式/トーションビーム式 ●ブレーキ 前/後:ベンチレーテッドディスク/ディスク ●車両本体価格:299.0万円(消費税込み・除くメーカー/ディーラーオプション)
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