ホンダが中国でヴェゼルEVを発売開始。航続距離510kmでお値段330万円から

■東風Hondaの「e:NS1(イーエヌエスワン)」が発売

中国における「ホンダ」ブランド初となる電気自動車「e:NS1」が、ついに発売開始です。

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最先端の中国の電動化・知能化技術を融合し開発した「e:N(イーエヌ)」シリーズの第1弾となるのがe:NS1だ。

中国での四輪車生産販売合弁会社である東風本田汽車有限公司(東風ホンダ)が2022年4月26日に発売を開始したのです。

ホンダが中国向けに開発した電気自動車のサブブランドといえるのが『e:N』シリーズで、e:NS1はその第一弾モデルとなります。

見ての通り、日本ではヴェゼルとして知られるコンパクトSUVのボディを利用したバッテリーEVですが、ホンダによれば、専用のボディ骨格などで構築される「e:N Architecture F(イーエヌ アーキテクチャー エフ)」を採用しているということです。

気になる航続距離は420km~510km(中国CLTC基準)ということで、ファーストカーとして十分に実用的なスペックといえそう。

さらに現地での販売価格は17万5000人民元(約330万円)と、非常に魅力的な価格になっています。

●15.1インチの大型ディスプレイオーディオを標準装備する

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インテリアはヴェゼルのままに近いイメージだが、中央に15.1インチの巨大なディスプレイが装備される(東風ホンダ・ホームページより)。

インテリアでも、ヴェゼルの特徴的な装備である「そよ風アウトレット」が確認できるなど面影を残していますが、インパネ中央には縦型15.1インチのディスプレイオーディオが設置され、多機能なインフォテイメントシステムを実現しているのはe:NS1の特徴です。この大型ディスプレイは標準装備というのも電気自動車らしいところといえるでしょう。

このディスプレイでは、中国で展開する最新のコネクティビティーとしてEV専用の新世代コネクテッド技術「Honda CONNECT 3.0(ホンダ コネクト)」が利用できるとも発表されています。

さらに、ドライバーのわき見などの危険行為や眠気などを検知し、安全運転を支援するドライバーモニタリングカメラ(DMC)を設定しているというのもニュース。e:NS1はグローバルに見ても、ホンダにおける最先端のデジタルコクピットになっているといっても過言ではありません。

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フロントグリル部分に当たる部分が充電リッドとなっている(東風ホンダ・ホームページより)。

実際の使い勝手で気になる充電リッドの位置について、東風ホンダのホームページで確認したところ、フロントグリル部分に置かれていることがわかりました。充電コネクターについては、普通充電と急速充電を備えているようです。

販売体制についてですが、東風ホンダでは既存の全店舗で「e:Nブランドコーナー」を展開するということですから、次期主力モデルとしてかなり力の入ったニューモデルということがいえるでしょう。

さらに電気自動車らしく、オンライン店舗も本格展開するといいます。ネット販売というと味気ないイメージもありますが、一対一のダイレクト対話などにより検討から注文までを一括で対応するサービスを構築するということです。

●姉妹車として広汽Hondaの「e:NP1(イーエヌピーワン)」もあり

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リヤにはHマークではなく「Honda」のロゴが与えられているのが新しい(画像は広汽Hondaの「e:NP1(イーエヌピーワン)」)。

中国で展開するe:Nシリーズには、もう一台あります。それが広汽本田汽車有限公司(広汽ホンダ)の「e:NP1(イーエヌピーワン)」です。

見ての通り、同じボディを与えられた姉妹車で、性能面でも同様といえるモデルです。こちらは2022年5月より予約開始というスケジュールになっています。

中国におけるホンダの電気自動車はこれで終わりではありません。2027年までに10車種のe:Nシリーズを投入するとともに、販売、生産などバリューチェーン全体で電動化の取り組みを加速させることもアナウンスされました。

ところで、2台のe:Nシリーズに共通しているのは、フロントに発光する「Hマーク」エンブレムを置いていることで、いかにも電気自動車らしい演出です。

そしてオールドファンにとって懐かしく感じるのは、リヤに「Honda」の文字が並んでいること。ホンダ四輪車の原点ともいえる「S500/S600/S800」を思わせるテールゲートのHondaエンブレムは、e:Nシリーズが持つスポーツ性を示しているのでしょうか。

自動車コラムニスト・山本 晋也

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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