最大19万2500円の価格ダウンで、より手軽に買えるようになった日産リーフの秘密とは?【週刊クルマのミライ】

■40kWh車で一律11万6000円のプライスダウン

日本車を代表する電気自動車(BEV)であり、いろいろな意味でスタンダードになっている日産リーフが商品改良を実施しました。

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外観では、イルミネーション付きブランドエンブレムやグリル部分の改良が変更点だ

外観ではアルミホイールの意匠変更、イルミネーション付きブランドエンブレムの採用などが目立ちますが、なによりもポイントなのは価格が大幅に下がっていることです。

新型コロナウイルスや半導体不足、さらにはロシアによるウクライナ侵攻などの世界情勢によって、自動車の部品は値上がり傾向にあり、一部のメーカーでは車両価格を大幅に引き上げるといった施策をとっていますが、日産は逆に大幅値下げに踏み切りました。

新しいリーフの価格帯は、40kWhバッテリー車で370万9200円~394万6800円(NISMO除く)、60kWhバッテリー車で422万5100円~480万5900円となっています。

これは従来型の同等グレードと比べて、40kWh車で一律11万6600円の値下げ、60kWh車では19万2500円の値下げとなっています。

さらにBEVへの補助金は最大85万円が期待できる状況ですから、もっとも手頃なグレードの実質購入価格は293万円と、300万円を切るほどになっています。エントリーグレードであっても、9インチナビやプロパイロット(先進運転支援システム)は標準装備ですから、今回のプライスダウンはリーフの魅力を高めたといえるでしょう。

●60kWh車はバッテリーも減らして19万2500円安に

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アルミホイールは新意匠となり2タイプが設定される

ただし、従来型のリーフについて知識のある方は、新型リーフ・ロングレンジ版のバッテリーが60kWhという数字になっていることに気付いているかもしれません。そうです、商品改良前のリーフにおいてロングレンジ版のバッテリー総電力量は62kWhとなっていました。単純にバッテリーを減らしたのか、それともバッテリーセル自体を変更したのか、リサーチ中なので断言できませんが、いずれにしてもバッテリーを減らすことで価格を下げたといえそうです。

では、BEVの性能として気になる一充電航続距離はどうなったのかといえば、たしかに商品改良前よりも短くなっています。

以前の62kWhリーフではWLTCモード一充電航続距離が458kmだったの対して、新しい60kWhリーフは450kmとなっています。とはいえ、短くなったのはカタログ値でわずか8km、実質的には航続距離は変わっていないといえるくらいの違いでしかないのでした。

●最高出力などパフォーマンスは従来通り

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インテリアには大きな変更点はなく、従来通りの使いやすいコクピットとなっている

バッテリーのスペックが変わったということで気になるのはモーターのパフォーマンスですが、そこについては変わっていません。新型リーフのモータースペックは以下に示すよう従来通りです。

●60kWhリーフ
最高出力:160kW
最大トルク:340Nm

●40kWhリーフ
最高出力:110kW
最大トルク;320Nm

もともとリーフのロングレンジ版については航続距離と価格のバランスから、もっともコスパのよいBEVという評価がありました。

続々と登場する新型BEVの中で、ついつい忘れられがちなリーフですが、今回の商品改良によって、そうしたコスパのよさを向上したことで国産BEVとして再注目すべきモデルになったといえるかもしれません。

自動車コラムニスト・山本晋也

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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