■ちょっとヤバいかも
ボクが「アバルト595」を愛車にしている理由は、運転が楽しいからだ。
アバルト595は「フィアット500」をベースにしたスポーツモデルで、ボディは同じだから見た目は似ている。だけど走りは全くと言っていいほど違う。
何が違うかといえば刺激。
フィアット500の走りは、クセの強い「ツインエア」エンジンを積んだモデルでない限りはいたってフツーだ。味わい深いけれど、刺激はない。
だけどアバルトとなり、サソリの毒が注入されると話が変わってくる。この小さいボディに、ミニマムでも135ps、最高峰モデルとなれば180psのエンジンを搭載。走りが楽しくないわけがない。
でも、アバルト595の楽しさはむしろ数字じゃなくて数字に表れない部分。レコードモンツァというマフラーによる、まるでV8エンジンみたいに盛大に響く排気音(この音量で車検に通るのが信じられないほど)、まるで「もっとアクセルを踏んでくれ!」と誘うかのように、回転が上がるほどに炸裂するパワー感、そして勢いで強引に曲がるようなハンドリング。どれも運転を楽しくしてくれる要素だ。
「こいつちょっとヤバいかも」って思わせるような暴れ馬というか、やんちゃな感じが楽しい。この調律はさすがアバルトだ。
●ウィークポイントを超えて
クルマとして考えると、ドライビングポジション(ミニバンのように着座位置が高い)やペダルレイアウト(全体に左に寄っている)はヘンだし、ボクの愛車が「コンペティツィオーネ」だからなのかもしれないけれど、乗り心地は悪いし、あまり評価は高くないのかもしれない。
でも、そんなことは全然気にならない。だって、それを超える楽しさがあるのだから。
大切だからもう一度繰り返しておこう。楽しければいい。人生楽しんだもの勝ちだ。
アバルト595には、ウィークポイントを超える楽しさがある。だからボクはこのクルマを選んだのだ。
「乗り心地? 慣れるかなと思ったけど、ちょっとしんどいね。でも、ドライブが楽しいから気にならないな。見た目の雰囲気は気に入っているよ」
彼女も、どうやらサソリの毒にやられてしまったらしい。無事を祈る。