■欧州ナンバーワン
「もうずっと欧州におけるトップセラーで、2021年も欧州でいちばん売れたクルマなんだ、ゴルフは」
ボクがそう説明しても、どうやら彼女にはその偉大さが届いていないようだ。
欧州で販売ランキングナンバーワンになる、そしてそれを継続することはとんでもない偉業である。クルマの実力、ブランド力、そしてコストパフォーマンス。どれが欠けても達成できないだろう。
「人気があるから“いいクルマ”とは限らないんじゃないの?」
そんな彼女の一言は、言われてみれば確かにそうかもしれない。
でも、新型ゴルフはよくできていると思う。居住空間や荷室の広さといった、ゴルフの伝統的な美点であるパッケージングのよさは健在だし、乗り心地、そしてハンドリングは期待を裏切らない。
ハンドルを回すときのフィーリングまで澄んだ水のようにナチュラルなのだから素敵だ。
●新たなチャームポイント
上級グレードになれば、運転席と助手席だけでなく、後席も独立して温度設定ができる3ゾーン式のエアコンを奢るのも、このクラスでは珍しい。
価格は295万円から、装備が充実する「Active」では317万円と、“ベーシックカー”というには高価だ。
しかし、先進の安全装備や運転アシスト機能まで考えると、このくらいの価格になるのは仕方がないだろう。そしてこの価格は“本国ドイツよりも控えめ”という事実に、いろんな意味で驚く。
「私は、ちょっと垂れ目のヘッドライトが好きよ」
そんな彼女の意見は…わからなくもない。ボクも初めて見たときは違和感があったけれど、今は馴染めたどころかチャームポイントに思える。