■実質第1弾となるバッテリーEVでもトヨタらしい抜かりのない広さ、使い勝手を確保
2022年の年央に発売される予定のトヨタbZ4X。プロトタイプのプレス試乗会が袖ケ浦フォレストレースウェイで開催されました。
「トヨタ」ブランドでは、本格的な量産バッテリーEVとしては初のモデルで、バッテリーEV専用プラットフォームが採用されています。
スバル・SOLTERRA(ソルテラ)との共同開発で、両社の知見が活かされて開発されています。
トヨタbZ4Xのボディサイズは、RAV4よりも95mm長く、全幅は20mmワイド、全高は逆に60mmも低くなっています。
全高を下げたことで、空力性能向上による電費改善はもちろん、床下にバッテリーを積むことで低重心化を実現。
さらに、パッケージングの面で目を惹くのが、RAV4よりも160mmもロングホイールベース化されている点です。ロングホイールベース化と共にリヤオーバーハングを65mmも短くし、フロントフードは50mm低くなっています。
大径タイヤが四隅に配された堂々たるシルエットも印象的です。
モーターとトランスアクスル、インバーターを完全一体化することで、フロントユニットはボンネット内に収まり、リヤユニットも後席後方(荷室床下奥)にコンパクトに収まっています。これにより、荷室床下にもスペースが確保されています。
ロングホイールベース化により、RAV4と比べるとタンデムディスタンス(前後席距離間)は、55mmも拡大。
後席のフットスペースのゆとりが印象的で、1クラス上の余裕が感じられます。身長180cmの人が前後席にそれぞれ座っても、膝まわりには十分な余裕が残るはず。
一方で、ヘッドクリアランスは全高が低くなったこともあり、15mm低く(小さく)なっています。
床下にバッテリーを積むことで、多少フロアが高くなっている印象を受けるものの、過大な「上げ底」感はなく、フロアがフラットなのも美点。
乗車姿勢で特徴的なのが、RAV4のようなSUVらしいアップライトにならない点。RAV4と比べると、前席のヒール段差(フロアからシート座面先端までの高さ)は55mm、リヤも40mm低くなっています。
つまり、床から座面までの高さが抑えられています。これにより、乗降時の腰の上下動が抑えられる利点がある一方で、後席は身長171cmの筆者には少し低く感じられました。
SUVでありながらも多少セダンライク(セダンほどはもちろん低くはありませんが)方向に振られています。
ヒール段差が低くなったのは、床下のバッテリーの存在によるもので、操縦安定性や電費を考えると全高を高めることも得策ではないため、こうしたパッケージングになったようです。
とはいえ、大人4人がゆったり座れる居住性が確保されています。もちろん、長時間でなければ後席3人掛けの5人乗車も十分に許容できるはず。
なお、スバルとの共同開発ということで気になるのが、最低地上高の確保。現時点で数値は非公表とのことでしたが、200mm前後は確保されている模様です。
ラゲッジスペースは、床下にバッテリーを積むEVであること、低全高化とリヤのショートオーバーハング化により、RAV4の荷室容量(VDA)は当然下回るはず(数値は非公表)。
それでも、先述したように、床下収納を備えるなど、荷室の広さも含めて十分に実用になるラゲッジスペースになっています。
●ボディサイズ:全長4690×全幅1860×全高1600mm、ホイールベース2850mm
(文:塚田 勝弘/写真:井上 誠)