■成長市場への投資、ライフサイクル全体におけるカーボンニュートラルを目指す
●ロボティクス事業所の生産能力の拡大、パワートレイン技術の研究・開発設備を増設
ヤマハ発動機は、2022年2月10日、新たに事業規模拡大、収益力強化策を発表しました。
まず、浜松ロボティクス事業所の生産能力の拡大が図られます。
同事業所は、表面実装機や産業用ロボットの開発、製造、販売を受け持っています。2016年末に静岡県浜松市北区豊岡町に建設された建屋が増改築されます。2023年1月に着工され、2024年6月にすべての工事が完了する予定。
今回、発表された増改築により、事業所建屋の延床面積は、現在の約1.6倍の約82,000平方メートルに達し、生産面積が1.8倍に拡充。さらに、表面実装機の生産能力は、約2倍に増強されるそうです。
開発エリアも拡充され、評価や実験室などの環境整備により、さらに着実な製品開発が進められるようになります。
加えて、スマートショールームの設置やカーボンニュートラル対応による次世代事業所の実現も想定されており、新たな環境下で、製造、販売、技術、サービスの体制強化を図る構えです。
この増改築による拠点強化は、ヤマハ発動機が掲げる新中期経営計画(2022年~2024年)における成長事業への戦略的投資の一環。
同社のロボティクス事業の強みである顧客現場に寄り添う技術、営業やサービスの体制がさらに強化され、成長市場での事業規模と領域を拡大し、収益力強化を図るのが狙いです。
また、電動モーターや水素エンジンなどカーボンニュートラルを実現するためのパワートレイン技術の研究、開発設備の増設もアナウンスされています。
今回の増設は、2021年に本社内に完成した建屋(32号館)に、モーターベンチや水素供給装置、カーボンニュートラル燃料対応タンクなどの設備が順次設置されるものです。
完成後は、ヤマハ発動機の製品全般の環境対応を牽引する役割を担う施設になるそうです。
本社の建屋(32号館)に設置されるこの新設備は「ヤマハ発動機グループ環境計画2050」に基づくもので、2050年までに事業活動を含む製品ライフサイクル全体のカーボンニュートラルを目指す目標に対応する設備になります。
なかでも特筆点は、2050年までに「スコープ3(主に製品使用時など)」におけるCO2排出量を2010年比90%の削減を目標に掲げています。
今回の研究、開発設備の増設は、新エネルギー系の開発を強化し推進していくのを狙いとしています。
ヤマハ発動機では、今後も効率の良い動力源、よりCO2排出量の少ない動力源に切り替え、CO2排出量の少ない小型モビリティの活用推進によりカーボンニュートラル社会の実現を目指す、としています。
(塚田勝弘)