日産・ノート4WDに氷上試乗してみたら、加速だけじゃなくブレーキも人間ワザより凄かった!

●加速するだけじゃなく、曲がるのもブレーキもスゴかった!

●ノートe-POWER 4WDの雪上性能に感動

めちゃめちゃ安心感が違う! これは凄い!

日産・新型「ノート」の4WDモデルで超絶滑りやすい氷の上を走ってみたところ、そのスゴさと言ったらまるで新しい世界に足を踏み入れたかのような気分になりました。

ノート4WD
凍った湖の上を走る新型ノート4WD

ここまで実力が高いとは、完全に予想の上をいきすぎて、運転している自分自身は頭の中が混乱しそうな勢いです。

信じられないほど力強くスムーズに加速し、ハンドルの修正が驚くほど少なく済み、コーナーもしっかり曲がる。

もちろん人も歩くのに苦労するほど滑りやすい氷の上なので、旋回中の絶対速度は低いという前提の下ではあるのですが、ツルツル滑りやすいだけでなく、狭いコースにもかかわらず、加速に関してはゼロ発進から70km/hオーバーまでスルスルと加速。

その力強さとハンドル修正の少なさ(一般的に、雪がある路面で強い加速をすると、左右輪の滑りやすさの違いにタイヤがとられてハンドルが暴れるのを抑えこむ必要がある)は驚きを飛び越えて感動ですよ、感動。氷の上にも関わらず、こんなにスッキリ走るなんて!

とにもかくにも、新型ノート4WDの走行性能の高さには、ただただ驚くしかありません。新型ノートで雪道を走るユーザーが4WDを買うメリットがあるかといえば、迷わず瞬時に「ある!」と断言できます。

何を隠そう、先代のノートe-POWERでも後期モデルは4WDがラインナップされていたんですよね。前輪だけでなく後輪もモーターで駆動する電動4WDです。

ただし先代は、後輪用のモーターが小型で出力も作動上限速度も低く、発進をアシストする程度の働きにすぎませんでした。

新型ではモーターを高出力化(なんと14倍!)すると同時に、作動速度領域も「全車速域」へとアップ。そう考えただけで今まで以上にメリットがあるのは容易にイメージできるわけですが、実際に運転してみるともはや脱帽。金棒を得た鬼くらい心強いのですよ。

●ドリフト走行も楽々、可!

走りが気持ちいい新型ノート4WD

もうひとつ報告せねばならないのが、曲がり方。

新型ノートの4WDは旋回状況にあわせて前後の荷重まで計算したうえで、前後駆動力配分を綿密にシームレスにコントロールするのだとか。力強いモーターに加えて、そのおかげもあるんでしょう、とにかくよく曲がるのです。

まさに「グイグイ曲がる」って感じで、単にFFに比べて旋回速度が高いだけでなく、(無理をしない限りは)アンダーステアがでて外へはらむことがなく、滑りやすい路面でも加速しながら曲がれちゃう。そしてドライバーの腕さえあればドリフト状態にだって持ち込めます。なんという安心感、そして愉しさ!

コーナー進入時は「ちょっと速すぎたかな」と思ってアクセルを戻すと、スッっと車体がイン側を向くのが助かりますね。

●ワンペダルの恩恵にあらためてビックリ!

グイグイ曲がる新型ノート4WD

ブレーキだって驚きましたよ。

ノートにはアクセルオフで強めに回生ブレーキを利かせることで、ドライバーがブレーキペダルを踏まなくても減速する機能がついているんですが、これ凄い。なんと、氷の上など滑りやすい路面では、ドライバーがブレーキペダルを踏んで操作するよりも強く減速できるんです。

……というと「ちょっと何言っているんだかわからないよ!」と感じた人も多いかもしれませんが、これは眉唾でも錯覚でも何でもなく事実。

その理由は回生ブレーキの減速の制御にあります。

ちょっと想像してみてください。滑りやすい路面で人間がブレーキを踏む際は、タイヤがロックしないように慎重にブレーキペダルを操作しますよね。だから、よほど卓越したドライバーでない限りはスリップ限界ぎりぎりのブレーキングなんてできません。

でも、モーターで抵抗を作る回生ブレーキでアクセルオフ時の減速を制御するノートのシステムは、どんなハイレベルなドライバーだとしても人間には絶対に真似できない緻密さでタイヤのロックを制御。それを4輪で行い、常にタイヤが滑る紙一重のギリギリのところで減速するから、ドライバーよりも高い減速Gが出せるというわけです。これは衝撃的でした。

滑りやすい路面での減速は神経を使うもの。でも、新型ノートならコーナー手前で減速する際はアクセルをオフにするだけでいいのですから、疲れないんですよね。

新型ノート4WDは減速する能力も凄い

というわけで、加速も旋回も、そしてコーナリングもめちゃめちゃスゴいノートの4WD。当然ながら雪道を走る人には絶対にお勧めです。路面を選ばず安心感が違いますよ。

●対FFでの価格高とラゲッジルームの縮小は…しょうがない

ただ、正直に話すとウィークポイントもないわけではありません。

ノートe-POWER 4WD

ひとつは価格。FF車にはないメカニズムが追加されるので仕方がないことですが、「ノート」も上位車種の「ノートオーラ」も4WDはFFモデルに対して25万8500円高い設定です。

もうひとつは荷室の広さで、モーターなど後輪を駆動するユニットが搭載される都合で荷室の床が高くなってしまうのです。

その影響で、荷室容量はFFが340L(クラストップ!)なのに対して4WDは260Lと控えめ。荷室の床の深さは購入時にチェックし忘れそうになるポイント(実際に購入するのは4WDでも販売店で実車チェックするための展示車はFFで気が付かないこともある)なので、ノートの4WDを買う際、そこを忘れずに見ておきたいところです。

4WDのトラクションがいいのは当たり前。でも、それだけじゃなかった!

とはいっても、雪道を走るのであれば絶対に4WDを買ったほうがいいと断言できます。

ツルツルの氷の上でFFと4WDを乗り比べて、それがよくわかりました。控えめにいって、ノートの4WDはかなり能力が高いです。

工藤 貴宏

この記事の著者

工藤貴宏 近影

工藤貴宏

1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに執筆している。現在の愛車はルノー・ルーテシアR.S.トロフィーとディーゼルエンジンのマツダCX-5。
AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。
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