こんなに種類があるの?費用の差も大きい!自動車ユーザーの義務「車検」について学ぶ【2022年最新版】

■車検は公道を走るクルマの「義務」!正しく選んで、しっかり守る

車検は、公道を走行する全ての車が受けなければならないものです。車検切れのクルマで公道を走れば重罰が科せられます。自動車ユーザーにとって、車検は納税などと同じ「義務」ということはご存知ですよね。

しかし、費用が高く、クルマを預ける時間も長い車検。ユーザーとしても億劫になってしまいます。

そこで今回は、車検で損をしないように、種類や費用相場を学びながら、車検を受ける場所の選び方を解説していきます。

●車検とは一体何?点検とどう違うのか?

車検
車検と点検は似て非なるもの。その違いを理解して、クルマに適切な整備を行いましょう。

クルマの検査には車検と法定点検があります。この2つを混同している人が少なくありません。似ているようで、この2つのは別ものです。

「車検」は法律で定められた「検査」です。道路運送車両法で定められており、正式名称は「自動車検査登録制度」といいます。

安全走行、環境基準、乗車定員、車の構造、車の装置が法律に定められた基準に適合しているかを調べます。乗用車は、新車登録後3年、それ以降は2年毎に車検が行われ、検査に合格すれば自動車検査証へ次回の満了日が更新され、公道を走ることが可能です。

プラグ交換
健康チェックと検査は人間でも若干ニュアンスが変わります。クルマも検査と点検では、主として「診る」ところが変わるんです。

対して「法定点検」は法律で定められた「点検」です。

クルマが安全に走行するために定期的に実施するもので、車検とは異なり、クルマのメンテナンスを重点的に行います。点検には、12か月点検、24か月点検(3か月点検、6カ月点検)があり、車検と一緒に行われることが多いのが24ヶ月点検です。

平たくいうと、「法定点検」は健康診断と健康指導であり、「車検」は基準を満たしているかのチェック。車検に通ったからと言って、クルマの健康が確約されるわけではないのです。

●車検とひと口にいっても検査には種類がある

「車検」といえば、「継続検査」と認識している人は多くいます。しかし、継続検査の他にも「新規検査」「予備検査」「構造変更検査」と、車検にはいくつかの種類があるのです。

「継続検査」は最も受ける機会が多い車検です。車検満了日の1ヶ月前から受ける車検のことで、新車登録後3年、その後は2年毎に受けます。

「新規検査」は、新車が公道を走るために最初に受ける検査のことです。また登録抹消した車が、再び公道を走行するために受ける検査を「中古新規検査」といいます。

「予備検査」は、ナンバープレートのついていない車が検査を受け、クルマが検査に合格することを証明するものです。このとき車検証は発行されません。かわりに、自動車予備検査証が交付され、後日、名義変更等の手続きを完了させて車検証が交付されます。

「構造変更検査」は、乗車定員を変更する、車高を規定範囲より高くするなど、車検証に記載されている寸法や仕様を変更するときに受ける検査です。車種によって定められた基準を超えてカスタマイズしたクルマは、構造変更検査を受けなければ違法改造車となり、公道は走行できません。

これらすべての総称が「車検」であることを覚えておきましょう。

●車検はどこに頼めばいい?受ける場所で費用も結構差がある

見積り
点検整備には費用がかかるもの。何をどこまでやるのか、ユーザーが判断することも大切です。

「継続車検」はディーラーや整備工場、車検専門店、カー用品店、ガソリンスタンドなどに依頼できます。

車検を受ける際、重量税と自賠責保険、検査印紙の支払いが必要です。重量税と自賠責保険は車種によって決まっており、どこで受けても金額は変わりません。ただし検査印紙は普通車の場合、指定工場で1,600円、指定工場以外では3ナンバー2,200円、5ナンバー2,100円と違いがあります。

どこで受けるかによって車検費用が違うのは、整備や交換部品にかかる費用がそれぞれ違うからです。それでは、場所別に車検費用の相場と特徴を見ていきましょう。

ディーラーの場合、車検費用は軽自動車で8万円、1500㏄クラスのコンパクトカーでは12万円程度です。

交換される部品は純正品で調達も早く、質の高い整備が期待できます。不具合があった場合には、保証を最大限に利用しての修理も可能です。ただし、推奨される部品交換などが多く、費用は他と比べると高めとなります。

一般の整備工場では、軽自動車で6万円、コンパクトカーでは8万円程度の車検費用に抑えられます。

整備士歴が長いがゆえの熟練技が光る整備士も多く、高価な部品はリビルドを利用するなど、修理代も安く抑えるよう努力してくれるでしょう。メーカーを問わず整備してくれるのも魅力のひとつですが、部品や整備の内容によっては、ディーラーよりも納期が長くなることもあります。

車検チラシ
郊外に増えている車検専門店。特別キャンペーンなどの割引が大きいのが魅力です。(写真はイメージです。)

最近増えてきた車検専門店では軽自動車が4万円、コンパクトカーが6万円程度で車検を通すことができるのが魅力です。カー用品店では5万円~7万円程度、ガソリンスタンドでも車検を受けることはでき、費用は6万円~8万円程度です。

安価であることに加えて、数時間から半日のようなスピード仕上げができることもあります。特典やキャンペーンも多く、さらに費用を抑えられることもあるでしょう。

ただし、修理箇所が多くなると、他よりも割高になることもあるため、愛車の状態によっては選ばない方が得になることも。

このように、受ける場所により費用は2万円〜4万円と差があります。

自分のクルマには何が必要なのか、どこまでの整備が必要なのかを相談しながら車検整備を行ってくれるところへ、クルマを預けられるといいでしょう。いつもクルマの状況を見てくれていて、これまでの点検整備記録などが残っているところの方が、最適な提案を受けられる可能性は高まります。

金額だけでなく、対応や内容を総合的に判断し、大切な車検を任せる場所を選びたいですね。

(文:佐々木 亘

この記事の著者

佐々木亘 近影

佐々木亘

大学卒業後、銀行員になるも3年で退職し、大好きだった車の世界へ足を踏み入れました。自動車ディーラー営業マンへ転職し、レクサス・セールスコンサルタントとして自動車販売の現場に7年間従事します。
現在はフリーライターとして独立し、金融業と自動車ディーラーでの経験を活かして活動中です。車にまつわる金融・保険・法規などの、小難しいテーマを噛み砕き、わかりやすい情報へと変換して発信することを心がけています。常にエンドユーザーの目線に立った、役立つ情報を届けていきたいと思います。
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