■最新のポルシェやゴルフにも対応した高性能ショックアブソーバー
レース用ショックアブソーバー&スプリングの代名詞ともいえるオーリンズ。
2輪用を起源とするスウェーデンのブランドですが、2002年に投入したTTXという技術が、ショックアブソーバーに生じるキャビテーション(減衰用オイルが泡立ってしまう現象)やフリクション(摩擦抵抗)の減少に優れた効果をあげ、以来スーパーGTやスーパーフォーミュラ、スーパー耐久といった4輪モータースポーツの分野でも、優れた実績を残してきました。
もちろん、その技術力はストリート用にも活かされています。
中でもDFV(デュアル・フロー・バルブ)という技術は、高い減衰力と微小入力への応答性という相反する要素を高いレベルで両立させており、「締まった足回りなのにゴツゴツしない」という魔法のような乗り味を実現させているのです。
そんなオーリンズは、東京オートサロン2022の中エリア・ホール6にブースを構えています。
ブース内には同社のショックアブソーバーを採用したスーパーフォーミュラ・マシンやポルシェ・ケイマン、トヨタGR86などが展示され、全体に高品質&スポーティな雰囲気。
壁面にずらりと並んだショックアブソーバーのラインナップを見てみると、ホンダ・シビックやスズキ・スイフトスポーツ、マツダ・ロードスターといった国産スポーツに並んで、MINIやBMW、ポルシェ、アウディといった欧州車用が多く見て取れることに気づきました。
日本でのオーリンズ躍進の原動力ともなってきたラボ・カロッツェリアの下窪洋さんに話をうかがうと、確かに今年は欧州車のラインナップ充実に力を入れていること。
意外だったのですが、オーリンズはこれまで日本車を中心に対応車種を増やしてきたとのことで、スウェーデンのブランドでありながら、欧州車への対応は比較的新しい取り組みなのだそうです。
これはオーリンズがオートバイ用ショックアブソーバーから発展したことと関係あるようで、ヨーロッパでは現在でも二輪に相当力が入れられているのだとか。
逆に言えば、そんなオーリンズが多くの日本車が対応しているのは、30年に渡ってパートナーを務めてきたラボ・カロッツェリアの熱意と努力のたまものといえるのかもしれませんね。
具体的な欧州車へのマッチングですが、最新モデルへの対応が進んだようです。
アウディではB9型A4/S4/RS4、8Y型A3、BMWではG20/G21型3シリーズ、G29型Z4(兄弟車のGRスープラにも適合)、ポルシェでは992型911、VWがCD型ゴルフ、MINIがF55/56/57型といった具合。
個人的には新型ゴルフのオーリンズの足回りが試してみたくなりました。
オーリンズのショックアブソーバーといえば、きちんとオーバーホールできることでも有名ですよね。
この領域でも、ラボ・カロッツェリアはオーリンズ本社から高い評価を得ているようで、オーリンズ社のアップデートセミナーを常に受講している専門スタッフが万全のオーバーホールを行ってくれるそうです。
オーリンズの足回りは高級品ですが、長く使えるということを考えると納得できる買い物といえそうです。
(文と写真:角田伸幸)