2022年注目!トヨタディーラーは急速充電インフラを整備するか?【週刊クルマのミライ】

■トヨタは電気自動車にも力を注ぐと発表したが、充電インフラには言及なし

世界中の自動車メーカーが電動化に前のめりになる中で、それまでBEV(電気自動車)には一定の距離を置いていたように見えていたトヨタが、いよいよBEVを本格展開するという発表をしたことはインパクトがありました。

日産急速充電
日本の急速充電網において頼りになるのが日産ディーラーなのは事実。トヨタもそのインフラに乗っかるのだろうか

2021年12月に開催されたBEVについての説明会では、2030年までに30車種のBEVを発売、同じく2030年には350万台のBEVを販売、さらに2035年までにはレクサスは100%BEVのブランドに進化する(グローバルで!)ということを、豊田章男社長が明言したのですから、それはもう驚きです。

しかも口だけで目標を掲げるのではなく、発表会場にはレクサス含めて16台ものBEVを並べて見せたのです。間違いなくトヨタは本気です。

BEVコンセプト・プロトタイプを精査すると、市販目前といえるものから、まだまだモックアップ段階に見えるものまで様々で、どれもすぐにデビューするということではないでしょうが、それでもトヨタがBEVに注力を始めたということは、たとえアンチトヨタ派であっても日本のBEVユーザーにとっては大いに注目すべきです。

●日本の急速充電網を支えるCHAdeMO協議会にしっかりコミットするか?

トヨタ電気自動車集合
2030年までに30車種のBEV(電気自動車)をローンチすると発表したトヨタ。現時点でも17モデルの姿を披露できるほど、その歩みは進んでいる。売って終わりというわけにはいかないはずだ

なぜなら、BEVというのは売りっぱなしというわけにはいかない商品といえるからです。

今回、東京オリンピックで運用した自動運転バスを含めて17台の電気自動車を並べてみせたトヨタですが、もしこれだけのモデルをトヨタのスケール感で日本でも売るとなれば、急速充電インフラが足りなくなることは明らかです。

たとえマイカーの運用では、家庭や職場での普通充電が基本になるといってもです。

実際問題、日本のBEVユーザーが頼りにしているのは、日産が全国のディーラーに整備した急速充電インフラというのは偽らざる事実でしょう。

輸入車(BEV)オーナーであっても日産ディーラーの急速充電網を利用していることはよく知られています。独自の充電ケーブル規格を推しているようなメーカーであっても、日本で普及しているCHAdeMO規格とつながるアダプターを用意しているほどです。

とはいえ、CHAdeMO規格の急速充電網を推し進めるCHAdeMO協議会について、これまでトヨタは本腰を入れているとは言えない状況でした。むしろ、その辺りの背景や流れに通じている人からすると、トヨタに配慮(遠慮?)していたことでCHAdeMOの普及が遅れたという印象すらあるのではないでしょうか。

●欧州・中国・北米はBEVを展開。日本国内は内燃機関?

もし、トヨタが2022年以降、日本市場でも多くのBEVを売ろうというのであれば、自社のディーラーなどに急速充電インフラを整備する必要があります。まさか、日産が整備したインフラに乗っかることを前提のビジネスモデルを考えているとは思えません。

そして、日産が整備した急速充電インフラの特徴は、多くのディーラーにおいて24時間利用できるようなレイアウトにしている点です。

もしトヨタがディーラーに急速充電インフラを整備したとしても、営業時間内にしか利用できないようにすると、結局ユーザーは日産ディーラー頼みということになります。はたして、トヨタはこれまで以上にCHAdeMO協議会にコミットすることがあるのか、また急速充電インフラを本気で整備する気はあるのか、要注目です。

トヨタディーラーが日産ディーラー同様にCHAdeMO急速充電インフラを整備することになって、共通の会員サービスで充電できるようになれば、日本におけるBEVの利便性は格段にあがること間違いありません。

大量のBEVを売ろうというのであれば、そうした部分での変化も重要といえますが、はたしてどうなるのでしょうか。

欧州や中国、そして北米ではBEVにシフトする一方で、雇用を守るために日本では従来通りに内燃機関中心のラインナップでしばらく売っていくという話になるとは思えませんが……。

自動車コラムニスト・山本 晋也