大西洋越しの無線通信が成功/スズキ・アルトが国内販売500万台達成/日産の個性派SUVラシーン登場!【今日は何の日?12月12日】

■マルコーニが大西洋横断無線通信に成功

電波塔
電波塔

1901(明治34)年12月12日、イタリアの電気技術者G.マルコーニの通信実験で、英国から発信された電波が、約3500km離れたカナダ・ニューファンドランド島で無事受信されました。電波は、高さ45mの2本の柱に150本の導線を張ったアンテナから発射され、120mまで上げられた凧に180mの導線を吊るしたアンテナで受信されました。送られた信号は、モールス信号のSを表す「・・・」でした。当時は、地球は丸いので受信側が水平線の下に隠れるような長距離の無線通信は不可能とされていたため、実験を疑う声も多かったそうです。その後、大気の上の電離層が発見され、電波がこの層で反射されて水平線の向こうまで届くことが明らかになり、実験の正当性が実証されたのでした。

さて、クルマ界の今日は何があったのでしょう?

●スズキのアルトが発売37年で国内販売500万台を達成

1979年にデビューした初代アルト、「軽ボンネットバン」と呼ばれた新しい軽のジャンルを開拓して大ヒット
1979年にデビューした初代アルト、「軽ボンネットバン」と呼ばれた新しい軽のジャンルを開拓して大ヒット

2016(平成28)年のこの日、スズキアルトの国内販売台数が500万台を達成しました。アルトは1979年にデビューし、物品税がかからない商用車でありながら乗用車スタイルの「軽ボンネットバン」という新しいジャンルを開拓して大ヒット。その後もスズキの軽ラインナップの中核として、現在まで売れ続けている人気モデルです。単一車種での国内累計販売台数500万台達成したのは、スズキとしてはこれが初めてでした。

●個性的なボクシーなSUV、日産のラシーンがデビュー!

1994(平成6)年のこの日、日産のSUV「ラシーン」がデビューしました。1990年代初頭は、本格オフロード4WDの三菱パジェロ」に代表されるRV(リクリエーション・ビークル)ブームが起こり、メーカーはRVを続々と市場に投入していました。

1994年にデビューしたラシーン。ボクシーフォルムとグリルガードが特徴
1994年にデビューしたラシーン。ボクシーフォルムとグリルガードが特徴

そのような中、登場したのがラシーンでした。ただし、ラシーンは本格オフロード車ではなく、「都市から自然の中まで生活空間を広げる4WDプライベートビークル」のキャッチフレーズで、今でいうクロスオーバーSUVに近いモデルでした。

エクステリアは、コンパクトな直線基調のボクシーフォルムを採用し、グリルガード、背面にはスペアタイヤを装備していますが、他のオフローダーよりはソフトな雰囲気が特徴でした。パワートレインは、1.5L直4DOHCエンジン(のちに1.8Lが追加)と4速ATおよび5速MTの組み合わせ。駆動方式はビスカスカップリング付フルタイム4WDでした。

シンプルで視認性の良い運転席周り
シンプルで視認性の良い運転席周り

個性的なデザインで注目されたラシーンでしたが、販売は期待通りには伸びず、1代限りで終わってしまいました。当時はまだクロスオーバーSUVの概念がなく、RVブームの中では本格派でないと評価されたことが、人気低迷の理由でした。

皮肉なことに、最近ラシーンの中古車の人気が上昇していると聞きます。SUV人気が高まり、サイズも手頃でキュートなボクシーなデザインが再評価されているようです。ラシーンの登場は、早すぎたのかもしれませんね。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかも知れません。

Mr.ソラン

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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