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■大雪でクルマが立ち往生したらどうする?
●対処法は? 暖房はつけてもよいが、注意が必要!
毎年冬になると、雪道での事故がニュースとなりますが、最近では大雪によるクルマの立ち往生も目立っているようです。実際、2020年12月には関越道で、2021年には北陸自動車道で、1,000台以上のクルマが巻き込まれる大規模な立ち往生が発生しており、深刻な渋滞や通行止めが引き起こされました。
こうした背景には、地球温暖化による異常気象も関連しており、今後首都圏であっても想定外の大雪による被害が増えるかもしれません。
では、もしクルマの運転中に雪による立ち往生に巻き込まれてしまったら、どうすればよいのでしょう?
まず、車内で救助を待つ場合は、無闇にエンジンをかけ続けない方がベターです。2021年の関越道の事例を見ると、立ち往生の解消までに60時間以上かかった箇所もありました。燃料の残量によってはガス欠の恐れもあります。
その上で、エンジンをかけ暖房を入れる場合には、マフラー付近をこまめに除雪することを忘れてはいけません。クルマが雪に埋まった状態でエンジンをかけ続けると、排気ガスが行き場を失い、車内に一酸化炭素が充満してしまいます。過去には、死亡例もあるので、ある程度暖まったらエンジンを止めましょう。あわせて、換気も忘れず行う必要があります。一酸化炭素は臭いがないため、こまめな「マフラー周辺の除雪、換気、エンジンOFF」を心がけることが重要です。
また、クルマが雪に覆われてしまうような大雪の場合は、車内に閉じ込められないためにも、ドアが開くかどうかをこまめにチェックした方が良いでしょう。
●電気自動車の場合は?
一方で、近年普及が進みつつある電気自動車(EV)の場合は事情が異なります。EVはそもそも排気ガスを出さないため、暖房をONにし続けても一酸化炭素中毒になることはありません。
しかし、EVの場合はバッテリー残量に注意しなければなりません。現在販売されているEVの多くは、満充電でもヒーターを掛けた状態では24時間〜48時間程度しかバッテリーが持たないとされています。また、エンジンの熱を取り入れて室内を暖める仕組みのガソリン車やディーゼル車と異なり、EVでは発熱装置を電気で動かす方式が一般的です。したがって、暖房を使用することによるバッテリーの消費量は相当なものになります。
そのため、EVの場合はバッテリー残量を常に注視しておく必要があり、現時点では立ち往生の際にはガソリン車やディーゼル車より精神的にも不安が大きいようです。
実際に、豪雪地帯でEVを利用する人はほとんどおらず、2020年の関越道での立ち往生でも、EVは皆無であったとされています。
●やっぱり事前対策が重要
時に命の危険にも繋がる大雪による立ち往生ですが、一度巻き込まれると中々抜け出せません。では、どんな事前対策ができるのでしょうか?
立ち往生が発生する原因は様々ありますが、道路によっては、自力走行が不可能な車両が1台発生するするだけでも長時間の通行止めや渋滞に繋がる場合があります。
積雪・凍結路では、必ず適切な冬用タイヤを装着するとともに、チェーンの携行、早めの装着を心掛けましょう。
また、大雪などの悪天候の日は、計画的な給油・充電や休憩も忘れてはいけません。
ほかにも、万が一の時に備えて、カイロや防寒着、防水仕様の手袋、毛布、簡易トイレ、除雪用のスコップや長靴などの道具、牽引ロープ、食べ物や飲み物等をクルマに積んでおくことも事前にできる対策です。
とはいえ、一番確実な対処法は、天気予報をしっかり確認し、大雪や吹雪が予想される日の外出を避けるということです。目的地を変更したり、移動手段をクルマ以外にしても良いかもしれません。悪天候の日に運転する際は、「1台の立ち往生が数千台に影響を及ぼすかもしれない」ということを忘れず、しっかり準備してから出掛けましょう。
それでも運転中に危険を感じたら、無理をせずに最寄りのガソリンスタンドや道の駅、コンビニエンスストアなど安全な場所へクルマを止めて、天候の回復を待つのが肝要です。
もしも地吹雪やホワイトアウトの状態に巻き込まれた場合は、ハザードランプを点灯して停車し、直ちに道路緊急ダイヤル(#9910)や、JAFに救援(#8139)を求め、状況によっては警察に通報しましょう。救援を待つ間は、以下のことに注意しながら、車内で毛布などを使って適切な防寒対策を行うよう心がけてください。
・一酸化炭素中毒防止(マフラー周辺の除雪、換気、エンジンOFF)
・ドアが開くかどうかの定期的な確認
・ハザードランプの点灯
(梅村 ゆき)
※2021年11月29日の記事を2022年12月21日に追記・再編集しました。