■48Vマイルドハイブリッドに加えて、2022年後半にストロングハイブリッドも設定
空前のSUVブームの中、クロスオーバータイプのコンパクトSUVの人気が高まっています。コンパクトクラスも従来のハッチバックやセダン、ステーションワゴンに変わる存在として定番化しているといえるでしょう。
スズキは、2021年11月25日(木)、クロスオーバーSUVの「SX4 S-CROSS」をフルモデルチェンジしたSUVの新型「S-CROSS(エスクロス)」をワールドプレミアしました。先代の「SX4 S-CROSS」と同様に、ハンガリー子会社のマジャールスズキ社で生産され、2021年末より欧州での販売を皮切りに中南米、大洋州、アジアにも輸出するとしています。
先代「SX4 S-CROSS」は、2015年2月に日本でも発売(輸入車扱い)され、2020年12月で販売を終了。「SX4 S-CROSS」は、2013年の発売以来、乗用車とSUVを融合させたクロスオーバー車として、欧州を中心に好評を得てきました。
初代は「SX4」という車名で、5ドア、セダンを設定していました。フルモデルチェンジにより誕生した新型「S-CROSS」は、SUVらしいスタイリング、高い快適性を備えているほか、様々な情報を表示するディスプレイオーディオ、同社独自の四輪制御システム「ALLGRIP(オールグリップ)」による走りと安全性を実現したとしています。
「Bold(堂々とした)」としたコンセプトを掲げるスタイリングは、大型フロントグリルや特徴的な3灯式LEDポジションランプが採用され、ボンネットと共に高く配置されたことで、SUVらしいタフさが強調されています。サイドビューでアイキャッチになっているのは、タイヤハウスのスクエア形状のモールディングで、屈強さを表現。
また、ボディサイドは流れるようなショルダーラインが描かれると共に、滑らかに走る力がイメージされています。リヤもフロントと同様、テールランプとバンパー位置が高く配置されたことで、躍動感を抱かせる造形になっています。
インテリアも力強いSUVに合う立体的なデザインを基調として、中央に多機能な9インチの大型HDディスプレイオーディオを配置。スマホ連携はもちろん、車両情報やカメラ映像表示といった運転支援機能も備えています。
技術面のコンセプトは、洗練されたという意味の「Sophisticated」が掲げられています。燃費優先や雪道走行など、運転環境に合わせて走行モードをダイヤルで簡単に選択できる「ALLGRIP」を採用。
欧州向けには、全車に48Vマイルドハイブリッドが用意され、燃費抑制はもちろん、アクセル操作に応じてエンジントルクにモータートルクを上乗せするという加勢も可能になっています。
また、先進安全装備も充実していて、衝突被害軽減ブレーキをはじめ、標識認識機能や車線逸脱抑制機能、全車速追従機能付アダプティブクルーズコントロール(ACC)などの運転支援機能に加えて、全方位モニターや後退時車両検知警報などの駐車支援機能も用意。
パッケージングや使い勝手では、ロングドライブも快適にこなせる設計になっています。コンパクトボディでありながら、大人5人がゆったり座れる快適性をはじめ、荷室容量430Lのラゲッジスペースが確保されています。ほかにも、開放感のある大開口サンルーフが採用されています。
スズキの鈴木俊宏社長は、2022年よりストロングハイブリッドモデルのラインアップを強化すると発表しています。この新型「S-CROSS」も、2022年後半にはストロングハイブリッドモデルが導入される予定。
ストロングハイブリッドモデルには、駆動用モーターとオートギヤシフト(AGS)を組み合わせたスズキ独自のシステムが搭載され、2022年初めより欧州向け「ビターラ」に採用され、続いて同年後半より新型「S-CROSS」にも搭載する計画としています。さらに、コネクテッドサービスも導入され、より快適で便利な使い勝手が実現するはず。
新型「S-CROSS」やストロングハイブリッド採用モデルの日本導入については、現時点ではアナウンスされていません。
【主要諸元】
・ボディサイズ:全長4300mm×全幅1785mm×全高1585mm
・ホイールベース:2600mm
・エンジン:1.4L直噴ターボエンジン(マイルドハイブリッド)
・最高出力:95kW/5,500rpm(モーター:10.0kW)
・最大トルク:235Nm/2,000-3,000rpm(モーター:50Nm)
(塚田 勝弘)