■課題は解消しきれず。来シーズンへ向け、さらなる熟成を目指す
11月20日・21日の週末、2021年D1GPシリーズ最後の2連戦となる第5戦と第6戦が開催されました。本来は夏に開催される予定だったものが、緊急事態宣言の影響で秋に延期されたものです。
前戦エンジンブローで2戦ともリタイヤとなってしまった藤野選手は、きっちりエンジンを修復して臨みました。
ただ、前戦とのインターバルが短かったため、足まわり等のアップデートはできないままです。練習日には逆関節(ハンドルがフルロックからもどりにくくなる症状)も起こり、完全には解消できない状況ながら、DOSS(機械審査システム)の得点はまずまず出ていました。
いっぽう川畑選手は、いい点が出るときもあればそうもいかないときもあり、なかなか走りが安定しません。ハンドリングの特性に苦労しているようでした。
時田エグゼクティブアドバイザーの話では「角度があるていどを超えるとコントロールが効かなくなる。思いっきり角度をつけきってしまえば、そこから旋回していけるけれど、エビスのように微妙な角度でストレートをつなげていくコースだとむずかしい」とのことです。
ホイールベースが短いGRスープラならではの難しさかもしれません。
そして迎えた第5戦。川畑選手は1本目の走行でピットウォールにテールをヒット。足まわりを破損させて、競技続行不可能になってしまいます。2本目はリタイヤで、単走敗退となりました。
いっぽう藤野選手は最終コーナーの振りや1コーナーでの姿勢がいまひとつ決まらないまでも、7位で単走を通過して追走トーナメントに進出しました。
第5戦追走トーナメント。藤野選手の対戦相手は、気鋭の新人・目桑選手です。
藤野選手も単走や先行時の走りは目桑選手にまったく引けを取らないのですが、まだハンドリングの熟成が不十分なせいで、後追いになったとき、相手に合わせるドリフトを自由自在にできるところまではいっていません。
後追いで接近ポイントを大きく稼ぐことはできず、ベスト16敗退となってしまいました。
■両選手揃って追走進出
翌日曜日は2021年最終戦となる第6戦です。藤野選手のマシンはクラッチトラブルに見舞われましたが、なんとかメカニックのがんばりで単走に出走することができました。川畑選手の足まわりももちろん修復されています。
まず藤野選手は、高い車速と後半での振りや角度で点をかせぎ98.7点の高得点を獲得し、6位通過。川畑選手もやや抑えた走りに見えましたが、ドライバーとマシンのポテンシャルが高いおかげか97.7点で10位通過となりました。
そして追走トーナメント。川畑選手のベスト16の対戦相手は、前日藤野選手が敗れている目桑選手です。
川畑選手は後追い時に2コーナーの手前でオーバーランしてしまうと、2本目の先行時にはすごい飛び込みを見せましたが、やはり2コーナー手前でオーバーラン。ベスト16敗退となってしまいました。
「この大会は最初に乗ったときから苦しかった。いろいろ試したけど、あまり冒険もできないし、なんとか単走を通過しただけでした。それでもこのスタート地点に立たせてくれたチームには感謝しています」とのことでした。
いっぽうの藤野選手は、ベスト16でGRスープラに乗る畑中選手を倒すと、ベスト8では、前日にシリーズチャンピオンを決めている中村選手と対戦。スピードが高い中村選手を相手に、いまひとつ入りきれず敗れてしまいました。
「後追いではまだ自在にはいかないですね。クルマをもっと煮詰めて、まだちょっとトラブルが多いので、そこをなくすことをまず考えて、集中して走れるようにクルマを作りたいと思います」と藤野選手は語っています。
最終戦は藤野選手が6位。川畑選手が11位で、両選手ともポイントを獲得してシーズンを終えました。藤野選手のシリーズ順位は11位。川畑選手のシリーズ順位は18位でした。
(まめ蔵)