S-GTもいよいよ最終戦!ポイントで見るチャンピオンの行方は?【SUPER GT 2021】

■第7戦もてぎの順位で大きく動いたGT500のシーズンランキング

11月7日(日)に栃木県 ツインリンクもてぎで開催された2021 AUTOBACS SUPER GT第7戦『MOTEGI GT 300km RACE』の決勝レース。

WedsSport ADVAN GR Supra
WedsSport ADVAN GR Supra
リアライズコーポレーション ADVAN GT-R
リアライズコーポレーション ADVAN GT-R

ポールポジションに19号車 WedsSport ADVAN GR Supra、セカンドグリッドに24号車 リアライズコーポレーション ADVAN GT-Rと、フロントローにはヨコハマタイヤ勢が並ぶというレアなスターティンググリッドとなります。

第7戦もてぎのスタートラップ
第7戦もてぎのスタートラップ

また見事にスタートを決めた予選4番手の12号車 カルソニック IMPUL GT-Rがオープニングラップに2位まで上り詰めます。

ARTA NSX-GT
第7戦もてぎ優勝のARTA NSX-GT

しかしその後、トップをつかみ取りつつもラストラップでガス欠症状のために、8号車 ARTA NSX-GTに優勝を持っていかれる…という波乱な展開となりました。

第7戦もてぎ優勝のARTA NSX-GT
第7戦もてぎ優勝のARTA NSX-GTのレースクイーン

この第7戦もてぎの結果、ARTA NSX-GTの優勝によりポイント差はトップと5点差となって、ランキングトップとしてその地位が安泰と思われた、1号車 STANLEY NSX-GTのチャンピオンの行方に黄色信号が灯り、ランキングは壮絶な波乱含みとなってきています。

そのポイントから予想される展開を考え、チャンピオンとなるための条件を見ていきましょう。なおポイントは、GT500で翌年のゼッケンが1番、GT300で0番をつける権利が発生するドライバーズランキングのみで見ていきます。

●GT500のポイント動向。STANLEY NSX-GT以外のチャンプの可能性は?

現在の2012シーズンのGT500ドライバーズランキングでトップはSTANLEY NSX-GTの山本尚貴選手60点。2位は同チームながら開幕戦欠場のため山本選手とポイント差がついてしまっている牧野任祐選手の57点となります。

STANLEY NSX-GT
STANLEY NSX-GT

そこにドライバーズランキング3位で食らいついてきたのが第7戦もてぎ優勝のARTA NSX-GTで55点となります。

そしてランキング4位となるのが、第6戦オートポリスまで3位につけていた17号車 ASTEMO NSX-GT。第7戦もてぎでARTA NSX-GTに優勝を許してしまい、4位でチェッカーを受けたことにより52点でランキング4位となってしまいました。

ランキング5位は36号車 au TOM’S GR Supraで、ランキング6位はカルソニック IMPUL GT-Rとなります。

トップの60点から20点差の40点、上位陣が全てリタイヤした上で優勝した場合に限り優勝回数でチャンピオンとなる可能性が14号車 ENEOS X PRIME GR Supraに残されています。自力でも他力本願でも優勝の可能性が残されているのはこの6チームとなります。

最終戦の富士はノーウェイト戦なのでサクセスウェイトや燃料流量リストリクターは装着されません。第6戦オートポリスと第7戦もてぎでサクセスウェイトや燃料流量リストリクターに悩まされてきたSTANLEY NSX-GTがいよいよ本領発揮をするということになるのでしょうか?

STANLEY NSX-GTが最終戦富士で優勝をすれば文句なくチャンピオンとなります。

問題は2位以降となった場合のポイントの動向です。

ARTA NSX-GTが優勝した場合、STANLEY NSX-GTが2位であれば75点同士で同点となり、優勝回数2回となるARTA NSX-GTがチャンピオンとなります。

しかしSTANLEY NSX-GTがポールポジションを獲ったうえで2位の場合は76点、ポールポジションを獲っていない場合のARTA NSX-GTは75点でSTANLEY NSX-GTがチャンピオンとなります。

ARTA NSX-GTがポールtoウィンで優勝した場合は76点となるのでこちらがチャンピオンとなります。つまり、どちらのチームもポールポジションがチャンピオンへの道!ということになります。

ASTEMO NSX-GTが優勝した場合はSTANLEY NSX-GTが2位であれば72点対75点でSTANLEY NSX-GTがチャンピオンとなります。STANLEY NSX-GTが3位となってしまうとポールポジションを獲っていても優勝回数で負けてしまいASTEMO NSX-GTがチャンピオンとなります。

またASTEMO NSX-GTが優勝でARTA NSX-GTが2位の場合は72点対70点でASTEMO NSX-GTがチャンピオンとなります。

上位3チームのホンダ勢が自力チャンピオンの可能性を残しています。またau TOM’S GR Supra、カルソニック IMPUL GT-R、ENEOS X PRIME GR Supraは優勝した上で自分よりも上位勢が全滅して初めてチャンピオンが達成されるという他力本願な状態となります。

先述しましたが、最終戦富士はノーウェイト戦の300kmレースとなり各チームとも相当なタイム向上が見込まれます。その中でどう戦うのかという戦略が重要となってくることは間違いありません。

GT500の場合は昨年の最終戦や前戦のもてぎなどを見てみると、トップ争いでNSX-GTと絡むとトヨタや日産はガス欠で苦しむという結末を迎えています。このあたりをどう克服するかも大きな見どころと言えるかもしれません。

●予想外の健闘を見せるSUBARU BRZ R&D SPORT

GT300のシーズンランキングもまた熾烈と言えそうです。

SUBARU BRZ R&D SPORT
SUBARU BRZ R&D SPORT

シーズンランキングトップのSUBARU BRZ R&D SPORTはSUGOでポールtoウィンでの優勝、オートポリスでは100kgのウェイトでのコースレコードで予選2位からの決勝3位となります。

SUBARU BRZ R&D SPORT
SUBARU BRZ R&D SPORT

そしてハーフウェイトとなった第7戦もてぎでは、それでもサクセスウェイト最重量の75kgという状態で獲得した、予選2位からピットのタイミングで後退したものの、6位でチェッカーを受けます。ウェイト満載でも上位に食い込んでいく強さはまさに予想外と言え、トータルポイント55点でランキングトップに君臨します。

ランキング2位は56号車 リアライズ日産自動車大学校 GT-Rで49点となります。

この6点差はこの時点でかなり大きく響いてきます。

SUBARU BRZ R&D SPORTの優勝を許してしまえば、仮にリアライズ日産自動車大学校 GT-Rがポールポジションを獲ったとしても、チャンピオンはSUBARU BRZ R&D SPORTとなってしまいます。

リアライズ日産自動車大学校 GT-Rが優勝した場合でも、ポールtoウィンでなければSUBARU BRZ R&D SPORTが2位に入った場合は、チャンピオンをゆずってしまうことになります。

また第7戦もてぎで55号車 ARTA NSX GT3が2位に入ったことで、ランキングの3位と4位が入れ替わっています。

ランキング3位に45点でARTA NSX GT3が入ります。そしてランキング4位に40点で244号車 たかのこの湯 GR Supra GTが入ります。

ARTA NSX GT3が優勝した場合は65点、ポールtoウィンで66点ですので、2位がSUBARU BRZ R&D SPORTなら70点でSUBARU BRZ R&D SPORTのチャンピオン。

SUBARU BRZ R&D SPORTが3位の場合では66点で、ARTA NSX GT3がポールポジションでなければSUBARUの勝ち、そしてその場合の2位にリアライズ日産自動車大学校GT-Rが入れば74点で、リアライズ日産自動車大学校GT-Rがチャンピオンということになります。

ARTA NSX GT3が優勝した場合に、なんの障害もなくチャンピオンになるには、2位にたかのこの湯 GR Supra GTか11号車 GAINER TANAX GT-Rが入り、3位にリアライズ日産自動車大学校GT-Rよりもポイントが少ないチームが入る必要があります。

自力チャンピオンの可能性はSUBARU BRZ R&D SPORTとリアライズ日産自動車大学校 GT-Rの2チーム、条件がそろってARTA NSX GT3がギリギリチャンピオンの可能性といったところです。また、たかのこの湯 GR Supra GTは優勝した上で上位陣が全滅、GAINER TANAX GT-Rはポールtoウィンで上位陣が全滅すればチャンピオンの可能性があるといったところです。

最終戦富士はGT300もノーウェイト戦であるため、これまでウェイトを積みながらも上位に食い込んできたSUBARU BRZ R&D SPORTが、どれだけの速さを見せるのかが注目のポイントと言えます。また、路面温度が低いほど有利とされるダンロップタイヤが、冬の寒さを見せるであろう11月終盤の富士スピードウェイでどんなタイムを見せるのかも注目です。

そうなると、少なくとも予選はダンロップ勢の活躍が見れるのでしょうか。それともブリヂストンやヨコハマ、ミシュランの巻き返しがあるのでしょうか。

GT300もGT500も見どころ満載なSUPER GT最終戦富士は11月27日(土)、28日(日)に開催です。

(写真・文:松永 和浩

この記事の著者

松永 和浩 近影

松永 和浩

1966年丙午生まれ。東京都出身。大学では教育学部なのに電機関連会社で電気工事の現場監督や電気自動車用充電インフラの開発などを担当する会社員から紆余曲折を経て、自動車メディアでライターやフォトグラファーとして活動することになって現在に至ります。
3年に2台のペースで中古車を買い替える中古車マニア。中古車をいかに安く手に入れ、手間をかけずに長く乗るかということばかり考えています。
続きを見る
閉じる