マツダとトヨタの合弁工場での生産第一弾!新型モデルCX-50はワイドでワイルドなクロスオーバーSUV

■北米向け新モデル「CX-50」を世界初公開

●ブリブリのフェンダーがワイルド

MAZDA CX-50 Pre-Production
ワイドボディを主張するブリスターフェンダー。樹脂のクラッキングが加わっているのでなおさらだ

日本時間で11月16日の深夜2時半、マツダがアメリカ市場の向けた新モデル「CX-50」を世界初公開しました。

その名前やシルエットからも想像できるように、マツダの基幹モデルであるCX-5のアーキテクチャ(基本設計)をベースにしたオフロード色の強いニューモデルの誕生です。

スタイリングの特徴は、とにかくワイルドなワイドボディとなっていること。ひと目で大きく膨らんでいることがわかるブリスターフェンダーはいかにもマッシブです。さらにアグレッシブな形状の樹脂製クラッキングを加えることで、マツダの魂動デザインとオフロードマシンらしいタフネスを両立した姿になっています。

MAZDA CX-50 Pre-Production
フロントマスクはCX-5と血筋が近いことを感じさせる。ブラックのグリルがオフロードのイメージだ

ブラックのフロントグリルも、そうしたオフロード的な世界観を感じさせるものです。

パッケージのキーワードは機能美。たとえば後席ドアは大きく開き、開口部も広くしていますが、これは乗降性だけでなく、ルーフラックへのアプローチのしやすさも考慮したものだといいます。

CX-50はアウトドアレジャーを本格的に楽しんでいるようなコア層をターゲットとしたSUVという位置づけなのです。

●CX-5のすき間を埋める兄弟的モデル

MAZDA CX-50 Pre-Production
CX-5より後ろのオーバーハングが長く、ラゲッジスペースが拡大されているように見える

そうしたコンセプトは、まさしくCX-5のすき間を埋めるものです。

CX-5はオーソドックスなクロスオーバーSUVで、マツダの魂動デザインともあいまって都市型SUVというイメージが強くなっています。そこでアウトドア志向のユーザー層にヒットするCX-50が必要になったというわけです。つまり、CX-50はCX-5の後継ではなく、同時に存在することでマーケットにおけるマツダの守備範囲を広くするモデルといえます。

そんなオフロードテイストのモデルであるCX-50は、全車が「i-ACTIV AWD」と呼ばれる四輪駆動仕様となり、エンジンはSKYACTIV-G 2.5を積みます。バリエーションは、2.5Lガソリンターボと2.5L自然吸気となり、「MAZDA INTELLIGENT DRIVE SELECT (マツダ インテリジェント ドライブ セレクト)」も採用します。

MAZDA CX-50 Pre-Production
キャビンに陽光を取り込むパノラマサンルーフを設定

MI-DRIVEとも呼ばれる、この機能はスイッチ操作ひとつで様々な制御を統合的に切り替え、シチュエーションに合った走りを楽しめるというものですが、公開されているイメージムービーからは、オフロードやスポーツのほかトーイング(けん引)というモードがあることも確認できます。

北米でのレジャーシーンでは、キャンピングトレーラーなどをけん引することは日常ですから、それも当然の機能というわけでしょう。

非常に開口部が大きく、室内を明るくしてくれそうなパノラマサンルーフが用意されていることも発表されました。

●生産はトヨタ合弁の米国工場

MAZDA CX-50 Pre-Production
北米向けモデルとして誕生したCX-50。2.5LガソリンエンジンでターボとNAを設定。全車、四輪駆動となる

走りについては、かなりオフロード性能を意識しているようです。詳細は発表されていませんが、タイヤについてもオールテレーンのようなオフ志向の銘柄を履いている風にイメージムービーからは見て取れます。

最低地上高は、これまでのマツダSUVシリーズよりもグッと高くされ、十分なロードクリアランスを確保しているように見えます。前後バンパーに備わるアンダーガード的な造形についても、単なる飾りではなく、機能として与えられていると捉えるべきではないでしょうか。

一方、インテリアについてはワイルド一辺倒というわけではありません。

公開されたプロトタイプのキャビンは、シートや内張りなどがブラウン調でまとめられ、アウトドア・ブランドのアパレルと非常に似合いそうな雰囲気になっています。

MAZDA CX-50 Pre-Production
ブラウン調のインテリアはコアなアウトドアファンに似合いそうだ

とはいえ、その骨格はCX-5譲りといえ、ダッシュボード部に配されたマツダコネクトのディスプレイサイズは、最新モデルとしては少々物足りない印象かもしれません。メーターにしてもフル液晶タイプではないようで、この辺りはアーキテクチャの世代が最新ではないことを示しているようです。

CX-50は、アラバマ州に新設されたマツダとトヨタの合弁会社「Mazda Toyota Manufacturing, U.S.A., Inc. (MTMUS)」にて生産される最初のモデルということです。

MAZDA CX-50 Pre-Production
アナログ基調のメーターデザインは、アーキテクチャ(基本設計)の世代を感じさせるところだ

トヨタとの合弁による生産工場であることに関係しているのかは不明ですが、CX-50には今後ストロングハイブリッドが用意されることも発表されました。

過去にマツダは、トヨタのハイブリッドシステム(THS)に自社エンジンを組み合わせたモデルを発売したこともあります。

はたして、CX-50のハイブリッドシステムがどのようなものになるのか現時点では不明ですが、CX-50にハイブリッドが用意できるとなれば、同じアーキテクチャのCX-5にもストロングハイブリッドが用意されることが期待されます。

それはそれで楽しみといえるのではないでしょうか。

自動車コラムニスト・山本晋也

【関連記事】

  • 600キロ走ってわかった!グッドイヤー・アイスナビ8は冬のあらゆる路面で安定した性能を発揮【GOOD YEAR ICE NAVI8試乗】
    https://clicccar.com/2021/10/29/1119849/
  • トーヨータイヤの最新SUV/CCV専用スタッドレス「オブザーブGSi-6」は、スノーもドライもウェットも、冬のさまざまな路面で高性能だった【TOYO TIRES OBSERVE GSi-6】
    https://clicccar.com/2021/10/07/1100219/

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
続きを見る
閉じる