第2世代「ISG」を積む48Vマイルドハイブリッドのディーゼルエンジンを搭載したメルセデス・ベンツ「GLE」「GLEクーペ」がデビュー

■トルク・オン・デマンド式の4WDを採用

各自動車メーカーにとって、一足飛びでは到達できない将来の「CASE」対応だけでなく、CAFE規制(企業別平均燃費基準)により高額な罰金を支払う必要があるなど、足元でも燃費向上は欠かせないメニューになっています。

ダイムラー(メルセデス・ベンツ)は、ドイツ本国で大型SUVモデルシリーズのエンジンに最新技術を導入しています。新型「GLE 300 d 4MATIC」「GLE 300 d 4MATIC Coupe」に、最適な動力性能を実現しながら、改良前よりも大幅に燃費を向上。

メルセデス・ベンツ
電動化を進めるメルセデス・ベンツ

上記2モデルには、第2世代のスタータージェネレーター(ISG/Integrated Starter Generator)が組み合わされた4気筒ディーゼルエンジン(OM654M型)が搭載され、200kW(272hp)を発生。どちらのマイルドハイブリッドもドイツなどの欧州ですでに注文を受け付けていて、2021年11月から販売がスタートします。

価格は「GLE 300 d 4MATIC」が75,053.30ユーロ(約994万9500円)から、「GLE 300 d 4MATIC Coupé」が79,182.60ユーロ(約1049万4000円)からとアナウンスされています。

先述したように、現行の「OM654M」エンジンに第2世代のISGが搭載されています。ISGは、48Vの電気システムを含み、ISGは、コースティング(滑走)やブースト(加速)、回生などの機能を確保し、大幅な燃料節約を可能にします。さらに、エンジンを素早く快適に始動させることができるため、スタート&ストップ時の音や振動を感じさせません。エンジンを停止した状態でのコースティングから、エンジン出力による力強い加速時の移行でも同様です。また、スムーズな発進が可能になっています。

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「GLE 300 d 4MATIC 」のエクステリアデザイン

4気筒ディーゼルは、排気ガス後処理の面でも最新技術が搭載されています。「NOx」吸蔵触媒は、とくに冷間時のNOxを貯蔵し、エンジンが温まったときにSCR触媒で還元できるようになっています。特別にコーティングされた「DPF(ディーゼル・パティキュレート・フィルター)」は、PMの排出を低減。AdBlue(アドブルー)を噴射する2つのアクティブなSCR触媒コンバーター(選択的触媒還元)により、すべての運転領域で効果的にNOxの削減が可能です。

これらのコンバーターは、エンジンの近くと車両の床下に配置されています。

また、4WDもアップデートされています。GLEの4気筒エンジン搭載モデルには、駆動トルクを「50:50」の固定比率で伝達するトランスファーケースが採用されていました。

トルク・オン・デマンド式を採用する「GLE 300 d 4MATIC」と「GLE 300 d 4MATIC Coupe」には、電子制御式多板クラッチ付きのトランスファーケースを用意。これにより、前後アクスル間で「0:100」〜「100:0」の駆動トルクを可変的に伝達することが可能に。また、トルク・オン・デマンド式によりネットワーク化されたトランスファーケースは、走行時の安全性と敏捷性、とくにコーナリング時の安全性を高めることができるそう。

日本への導入有無や時期はアナウンスされていませんが、日本でのディーゼルエンジン搭載仕様の人気はSUVでとくに高く、新型GLE、GLEクーペへの期待も高まります。

(塚田 勝弘)

この記事の著者

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塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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