元祖プラグインハイブリッドSUV「三菱アウトランダーPHEV」が初のフルモデルチェンジの姿を公開。発売は12月中旬

■三菱のアイデンティティ「ダイナミックシールド」を進化させたフロントマスク。ワイドボディを強調するテールレンズにも注目

●世界初の量産SUVプラグインハイブリッドがモデルチェンジ

2022OutlanderPHEV
スタイリングのコンセプトは「BOLD STRIDE(ボールド・ストライド)」、堂々とした存在感のある佇まいとしている

三菱自動車アウトランダーPHEVといえば、世界初の量産SUVプラグインハイブリッドとして知られていますが、ついに2代目へとモデルチェンジを果たします。

日本での発売は2022年初頭、オンライン発表会は2021年10月28日を予定していますが、それに先行して内外装のオフィシャルフォトが公開されました。

存在感のあるフロントグリルとバンパーに埋め込まれたヘッドライトで構成されるフロントマスクは、まさに三菱自動車のSUVといえる顔つき。ファンにとっては期待通りのエクステリアに仕上がっているといえるのではないでしょうか。

ただし残念ながら、このフロントマスクの奥に積まれているであろうプラグインハイブリッドのパワートレインについては、まったく情報が公開されていません。

現行型アウトランダーPHEVは2.4Lエンジンと発電用モーターを組み合わせ、床下に大容量バッテリーを積んだ上で、その電力を前後2つのモーターに伝えることでタイヤを駆動するという仕組みです。

ツインモーター4WDであることはティザーサイトにおいて公表されていますから間違いないわけですが、どのようなエンジンを積んでくるのかは気になります。

2022OutlanderPHEV
六角形のテールゲート、水平基調のテールランプがワイドでスタンスの効いた様を表現する

なぜなら、現行型アウトランダーPHEVはエンジンの性能がライバルに対してけっして優秀とはいえるものではなく、それによってハイブリッド駆動時の燃費性能が満足できない結果になっていたからです。もはや電気で走るだけでは不十分で、リアルワールドでのCO2排出量を減らすためにはエンジンの進化は非常に重要で、その部分の詳細が隠されているというのは、かえって期待を高めます。

●ハンドリングについては十分に期待できる

ツインモーター4WDの特徴は、モーターならではの高い応答性や駆動力制御の自在さを生かしたハンドリングや走破性にあります。その肝となるテクノロジーが、三菱自動車独自の車両運動統合制御システムS-AWC(スーパーオールホイールコントロール)です。

2022OutlanderPHEV
ボディカラーは全10色を用意。ホワイトダイヤモンド、レッドダイヤモンド、そして新色のブラックダイヤモンドが並ぶ

駆動力制御にブレーキ制御を組み合わせたS-AWCが、「走る」「曲がる」「止まる」という三大要素を高次元に引き上げることは、ランサーエボリューション、アウトランダーPHEV、エクリプスクロスPHEVなどに搭載されてきた同システムが証明しています。

新型アウトランダーPHEVの進化したS-AWCでは、従来は前輪のみであった左右輪のブレーキ制御を後輪にも追加することで、四輪のタイヤ性能を最大限に引き出すことに成功しているといいます。プラグインハイブリッドは重量級モデルとなりがちですが、重さを感じさせないハンドリングを新型アウトランダーPHEVは実現しているはずです。

さらに、路面状況や運転スタイルに合わせて7つのドライブモードからチョイスできるということも発表されています。具体的には、NORMAL(ノーマル)モード、GRAVEL(グラベル)モード、SNOW(スノー)モードのほか、POWER(パワー)モードやECO(エコ)モードなどが設定されるということです。

2022OutlanderPHEV
水平基調のインストルメントパネルは車体の姿勢変化を把握しやすくするため。ソフトパッドを多用したキャビンは高級に感じられる

●インテリアの画像も公開された

横いっぱいに広がるオレンジ色の加飾は、広さを感じさせます。また、インパネ中央には大きなインフォメーションディスプレイも確認でき、コネクティッド領域への期待を高めます。

シフトレバーのデザインが従来のジョイスティック形状から新しい形状へ変わっていることも確認できます。そして、4本スポークタイプのステアリングホイールが、三菱のSUVらしい重厚感を演出しているところも見逃せません。

なにより、水平基調のインパネとした狙いは、走行時の車体姿勢の変化を掴みやすくするためというデザインコンセプトは、アウトランダーPHEVが走り重視のプラグインハイブリッドSUVであることの証左といえましょう。

気になる価格、ボディサイズ、燃費性能などは、まだまだシークレットな新型アウトランダーPHEV。20インチタイヤを履いた、重厚なスタイリングからは価格が上昇している印象も受けますが、現行型同様に400万円~500万円のプライスゾーンを維持してもらいたいものです。

山本 晋也

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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