■着実に進化する「プロパイロット」も大きな魅力
人気コンパクトカーの日産ノートに上級仕様として追加されたのが、ノート・オーラです。日本車、輸入車共に高級コンパクトカーの成功例はそれほど多いとはいえないものの、MINIが一定の支持を得ていることからもニーズはあるはず。
ノート・オーラのエクステリアは、精緻なデザインが与えられたフロントグリルをはじめ、ボリューム感のあるリヤフェンダーがワイドボディであることを主張し、写真のボディカラーである「ガーネットレッド/スーパーブラック」を選択すると、華やかで存在感がより際立つ印象。
ボディサイズは、全長4045×全幅1735×全高1525mmで、ワイドボディ化により3ナンバーサイズに突入しています。ベース車のノートは5ナンバー枠に収まる全幅1695mmですので、道路環境や駐車場事情などに応じてノート・シリーズから選択できるのはうれしいところ。
オーラのパワートレーンは、ノートと同様に、シリーズハイブリッドの「e-POWER」のみで、FFは100kW(136PS)/300Nmというフロントモーターを搭載。4WDもこのフロントモーターを搭載し、さらに50kW(68PS)/100Nmのリヤモーターが加わります。
ベース車のノートは、FF(フロントモーター)が85kW(116PS)/280Nm。4WDはこのフロントモーターに加えて、50kW(68PS)/100Nmが搭載されています。オーラは、ノートよりもフロントモーターが15kW(20PS)/20Nm強化されていることになります。
試乗したのはオーラの4WDモデル。ノートとの差は、低速域から十分に体感できるものの、驚くほどの差とまではいえません。というのもベースのノートも100%モーター駆動らしくスムーズな発進、加速が可能であるから。それでも、オーラは、街中の出だしや高速道路の合流、加速時ともに一段上の加速フィールが得られますから、よりストレスフリーな走りを享受できます。
また、静粛性の高さはノートと同様の美点。シティユースで充電量があればエンジンの出番は少なく、エンジンコンパートメントからの音はもちろん、高速走行時のロードノイズや風切り音もよく遮断されています。
もちろん、モーター駆動らしく、アクセルペダルを戻したり、離したりすると強めの減速力が得られ、停止まで可能な「ワンペダル」ドライブはできなくなったものの、慣れるとペダル操作の踏み換え回数を減らせるなどの利点もあります。
さらに、「プロパイロット」の車間と車線維持などの制御も以前よりも洗練されている印象で、ロングドライブではとくにその恩恵を実感できるはず。
一方、気になったのは上質なコンパクトカーを謳う割に、乗り心地が硬めであること。ハンドリングの良さという長所も十分に感じられるオーラですが、前席、後席ともに路面が荒れていると跳ねるようなシーンも散見されます。とくに、リヤシートの突き上げ感は大きめ。
以前お伝えしたように、路面が良好なテストコースではそれほど気になりませんでしたが、多様な路面が連続する一般道では、もう少しソフトな乗り味の方がより上質感を享受できそうです。
それでもスムーズでパワフルな走り、静かな車内、上質なインテリアなど、小さな高級車を名乗る素質は十分。今後も磨き上げることでその才能が伸ばされるはずです。
(文:塚田 勝弘/写真:小林 和久)