■タイヤの故障状態を画像で事前にコールセンターに送信できることが可能
日本ミシュランタイヤ、富士運輸と子会社のドコマップジャパンは、タイヤ業界初の大型トラック向けレスキューサービスアプリケーションを2021年11月1日から提供すると発表しました。
今回開発されたデジタルアプリケーションの「MRN GO(エムアールエヌ ゴー)」は、大型トラック向けレスキューサービス。「MRN GO」は、2004年4月からすでに展開されている従来の「MRN」をさらに一歩進めたアプリです。
「MRN」は、ミシュランのトラックバスタイヤを使用する運送事業者に提供される有料レスキューサービス。2021年9月現在、約1300店のサービス拠点を有し、約2000社・4万台の車両が登録され、同サービスが活用されています。
サービスの開始以来、登録車両の業務運行中にタイヤトラブルが発生した際、コールセンターに連絡することで、確実なレスキューサービスが提供されてきたそうです。
しかし、増え続ける物流需要に対して、少子高齢化や人手不足(ドライバー不足)の影響を受ける労働環境の中、さらなる効率化というニーズがあったそう。
今回の「MRN GO」はスマホにアプリをダウンロードし、緊急時にSOSボタンを押すだけで必要な情報を送信できます。レスキューサービスを受ける前にタイヤの故障状態を画像でコールセンターへ事前に送信できることが可能で、TPMS搭載車両は、Bluetooth経由でタイヤ内温度や空気圧情報を送信することができます。
なお、同サービスの実用化にあたり、ミシュランとドコマップジャパンは、2020年10月から協業体制を構築し、富士運輸は、物流業界での幅広い活用を目指してGPSによる車両位置情報管理システムを自社開発。そして、2017年8月に子会社のドコマップジャパンを設立しています。
ミシュランは、車両のダウンタイム削減のために「MRN」のDX(デジタルトランスフォーメーション)化が必須と判断し、ドコマップジャパンが提供する 「docomap GO」をプラットフォームとし、両社の共同開発が実現。
当該車両のドライバーがコールセンターへレスキューを要請すると、コールセンターから出動依頼を受けた「MRN」登録作業店が、迅速に現場に駆け付けて故障に対応してくれます。
「MRN GO」により必要な情報を事前に送信することで、情報の精度が向上し、コールセンターは作業店にドライバーの位置情報、トラブルの正確な情報を伝えることができるという便利なサービス。作業店は効率的に出動準備をすることが可能で、結果的に故障車両のダウンタイム(トラブルによる車両の稼働停止時間)削減につながるとしています。
ドライバーは、トラブル発生時に自車位置を正確に伝えるのが困難な場合もあるでしょう。ドライバー側、作業側共に大きなメリットがあります。
「MRN GO」は無料アプリで、アプリストアより無料でダウンロードが可能。さらに、ドコマップジャパンで取り扱っているアプリ「docomap GO」を併用することで、1台550円(税込み)で、対応できるTPMSが装着されている車両であれば、TPMSのトラッキングを含めた動態管理システムが利用できます。
先述したように、物流業界はドライバーをはじめとして慢性的な人手不足状態で、大きな社会問題になっています。こうした状況にも関わらず、コロナ禍もあり、EC市場は拡大。物流業務のノーズは、ますます大幅増加していることから、ダウンタイムの削減は、輸送効率を高めるうえでより重要になっています。
ミシュランなどによるこうした最新デジタルテクノロジーの活用で、運輸業界の高効率化が今後さらに期待されます。
(塚田 勝弘)