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■若者のクルマに関する意識や必要性を全国調査
長引くコロナ禍による生活様式の変化などから、近年、「密」を避ける移動手段としてクルマの重要性が見直されています。
一方、以前から「若者のクルマ離れ」が続いているといわれていて、そもそも運転免許を持っていなかったり、クルマに興味がない層が増えているといわれています。
では、実際、コロナ禍の影響が続く今、若者のクルマへの意識や所有に関する状況はどんな感じなのでしょう? また、何か変化はあるのでしょうか?
定額カーリース「おトクにマイカー 定額カルモくん」を運営するナイルでは、全国の若者1476名を対象に、「生活にクルマは必要か」「なぜクルマが必要なのにクルマを持っていないのか」などについて調査を実施。
その結果、全国の若者の62.6%はクルマが必要と回答していることや、東京在住と地方では必要の度合いに違いがあること、持っていない人は金銭面が大きな理由であることなどが分かりました。
●過半数を超える若者はクルマが必要
今回の調査は、2021年8月25日〜9月7日の期間、インターネットによるアンケート形式で行われました。なお、内閣府の統計では若者を15歳から29歳と定義していることから、今回の調査では、クルマの免許が取得できる18歳から29歳までを対象としたそうです。
調査では、まず「生活にクルマが必要かどうか」を質問。結果は
「必要」 62.6%(924人)
「必要でない」 37.4%(522人)
と、半数以上が「必要」と回答。
2020年に同社が行った同じ調査では、「必要」と答えた人は67.3%だったそうですから、結果的にはやや減少しています。ですが、依然として、過半数を超える若者がクルマが必要な生活をしていることは間違いないようです。
興味深いのは、同じ質問に対する東京都在住の若者212人の回答です。
「必要でない」 59.4%(126人)
「必要」 40.6%(86人)
と、全国とは反対の結果となっています。つまり、東京在住の若者は半数以上がクルマを必要だと感じない環境で生活していることになります。
確かに、東京は電車やバスなどの公共交通機関が発達しているため、移動手段としてクルマが必ずしも必要でないでしょう。一方、地方では、学校や買い物などに行く場合にも、クルマがないと移動できない地域もあります。
この結果は、そういった居住地における交通環境の違いが関係しているのかもしれませんね。
●クルマを持っている人は72.3%
アンケートでは、次に、全国の若者1476名中、上の質問でクルマが必要と答えた924名に、「クルマを持っているかどうか」も聞いています。結果は、以下の通りです。
「持っている」 72.3%(668人)
「持っていない」 27.7%(256人)
持っている人がかなり多い一方で、生活にクルマが必要なのにも関わらず、所有していない人も一定数いるということが分かります。
前述の通り、公共交通機関が発達している東京などの地域ではクルマ以外の移動方法もあるでしょう。でも、それ以外の地域ではどのようにして移動しているのでしょうか?
そこで、調査では、生活にクルマが必要だが、クルマを持っていないと回答した(東京以外の)若者に、「移動はどのようにして行っているか」も質問。結果は、次ようになりました。
1位:「自転車」 29.7%
2位:「徒歩」 24.5%
3位:「電車」 16.8%
4位:「他者のクルマ」 13.6%
5位:「バス」 9.9%
6位:「原付」 3.3%
7位:「公共交通機関」 2.2%
この結果を見る限り、おそらく近場であれば自転車や徒歩、遠いところであれば電車やバスを使って移動しているようです。
なお、「他者のクルマ」の14.9%には、「家族の送迎によって移動している」という回答が多くあったそうです。
●クルマを持っていない理由は?
アンケートでは、さらに、生活にクルマが必要だが、クルマを持っていないと回答した(東京以外の)若者に、「なぜクルマが必要なのに持っていないのか」と理由を聞いています。結果は以下の通りです。
1位:「お金がかかるから」 39.2%
2位:「免許がないから」 28.4%
3位:「家族などの車があるから」 14.2%
4位:「そのほか」 18.2%
1位の「お金がかかるから」には、「維持費がかかるから」「経済的に難しいから」などの回答があったといいます。
また、最近は軽自動車でも新車で200万円を超えるモデルもありますから、若者は比較的お金に余裕がない人も多く、なかなか手が出ないのは確かでしょう。
ちなみに、「そのほか」の中には、「健康のため」「まだ学生だから」などがあったそうです。
●自動車教習所に通う若者が急増!?
ちなみに、警察庁が発表した「運転免許統計 令和2年版」によると、2020年に新規交付した運転免許証は合計118万6873件で、2019年度の117万6579件と比べ、1万件以上も増加しています。
新規の免許証交付数、つまり新しく免許を取る人の数は、ここ数年は減少傾向だったそうですが、2020年は久々に増加に転じたといいます。
また、一般の人が多く取得する4輪車の「普通運転免許」の保有者数は、2020年では429万431名となり、2019年の318万2168名と比べ、34.8%の増加となっています。
こういった結果は、コロナ禍により、「密」を避けるためにクルマで移動する人が多くなったことが関係しているかもしれませんね。
ただし、これらデータには、年齢別の割合は公表されていませんので、若者の新規免許取得者が増えたかどうかは分かりません。ですが、2020年には自動車教習所に通う若者が急増したともいわれており、中には予約すら取れない教習所もあるといいます。
いずれしろ、今回の調査により、若者でも「生活にクルマが必要」な人は多いことだけは確かなようです。
特に、興味深いのは、東京在住の若者は半数以上が「必要でない」といっていますが、全国的には62.6%が「必要」といっている点です。
よく「今の若者はクルマに興味がない」といわれますが、興味がないのに必要だとはいわないでしょう。今回のデータをみる限りでは、必ずしもこの「興味がない」というワードが、すべての若者に当てはまるとはいえないようです。
特に、地方に住む若者には、依然としてクルマの必要性を感じている人も多いようです。
(文:平塚直樹 *写真はイメージです)