新型シビックに公道試乗。1.5Lターボ+6速MTはタイプRの走りを予感させる【週刊クルマのミライ】

■ナチュラルなハンドリングを生むガッチリしたボディ

●6速MTはタイプRテクノロジーを先行採用

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ボディサイズは全長4550mm・全幅1800mm・全高1415mm。MTの前後軸重は810kg・530kgとなる

フルモデルチェンジを果たした新型シビックに公道試乗することができました。

ご存知のようにシビックといえば、ホンダの主力モデルとして1972年に誕生した長く続いているモデル。グローバルでは2700万台以上を販売したという大ヒットモデルです。

とはいえ、かつてのようなエントリーモデルからミドルクラスへと成長を遂げたこともあって、日本では主力というイメージではなく、タイプRの印象が強いかもしれません。

そんなシビックが11代目へとなって目指したのは一服の清涼剤のようなクルマ、キーワードは「爽快シビック」です。

ジェネレーションZ(20~30歳前後)をメインターゲットとした新型シビックは、親しみやすい存在感と充実・凝縮された特別感を目指して開発されてきました。現時点で発売されているのは1.5L VTECターボを積んだグレードだけですが、将来的にはハイブリッドやハイパワー版のタイプRの登場もアナウンスされています。

さて、ミドルクラスに成長したシビックは価格もそれなりです。エントリーグレードのLXで319万円、装備の充実したEXでは353万9800円となっています。特徴的なのは、それぞれにCVTと6速MTが用意されていること。ジェネレーションZはMTを求めているとホンダは判断したというわけです。

実際、初期受注では4割近くがMTになっているといいますし、受注自体も月販目標の倍近くと好調だといいます。シビックにMTを求めるユーザーは実際に多く存在しているのです。

●新型シビック、人気の6速MTの実力を試す!

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新型シビックにも予定されているタイプRの技術を先行して採用したという6速MTは節度感のあるフィーリングだ

ということで、新型シビックの6速MT車(EXグレード)に公道試乗してみましょう。はたして、新しいシビックのMT車はどんな走りを見せてくれるのでしょうか。

まずパワートレインについていえば、フラットトルクであることが最大の特徴という印象です。MTとターボエンジンの組み合わせではターボラグ(過給遅れ)が気になるはずなのですが、まったくターボラグは感じません。むしろ2.5LクラスのNAエンジンのような自然な印象です。

クラッチも軽く仕上がっていますから、発進時にもたつくようなこともありません。渋滞以外ではストレスを感じないであろうターボ&6速MTのパワートレインに仕上がっています。

さらにハンドリングは素晴らしく好印象でした。ステアリング操作にクイックにクルマは向きを変えていきますが、適度にロールをするので電子制御で曲がっているような不自然な感じもありません。爽快シビックというグランドコンセプトは間違いなく、そのハンドリングで表現されていると実感できるものでした。

前後のサスペンションがきれいにリンクして曲がっていく様子はFFだのFRだのといった駆動方式に関係なく、シビックだけの特別な体験ができると感じるものといえます。

唯一気になるのは、荒れた路面ではリヤの突き上げを感じること。ダンピングを締め上げているせいという印象ですが、コーナリング中や高速道路では見事にリヤタイヤを路面にトレースさせる様を考えれば、この欠点も許せてしまうのではないでしょうか。生産方法から見直したという高剛性ボディも、新型シビックのハンドリングを支える要素として見逃せないものです。

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IHI製の斜流タービンを採用するなどレスポンスを高めた1.5L VTECターボエンジン。最高出力134kW(182PS)、最大トルク240Nm

そして、この突き上げ感がダンパー由来だとすれば、タイプRが登場すれば、その唯一の欠点も解消されるであろうと予想できます。なぜなら、先代シビックをベースとしたタイプRには減衰力を可変させる電子制御サスペンションが与えられていたからです。

同様のダンパーが採用されれば、乗り心地とハンドリングを高次元で両立したシャシーになることは容易に想像できます。

新型シビックの6速MTは本当にキビキビと変速できるものでした。しっかりとクランク状にシフトレバーが動くという節度感が高いもので、ストロークは短く、それでいて力はさほど必要ないというバランスのいい仕上がりでした。

聞けば、この6速MTには次期タイプRで採用する予定の技術を先行採用しているのだとか。つまり、次期タイプRもMTを採用するモデルになるというわけです。

ハンドリングとMTの気持ちよさがレベルアップしているであろう、次期タイプRがますます楽しみになってきます。

(自動車コラムニスト・山本 晋也

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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