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元F1レーサーで、クリッカーではハイパワー系テストドライバーをお願いしている井出有治さんから、なにやら深刻な顔で連絡が来ました。
「ピ~ンチ(泣)」(井出)
「なに? どーしたんですか??」(クリッカー永光)
ということで、人生最大のピンチ(?)に襲われているというそのお話を、まずは井出有治さんから伺いました。
■鈴鹿の予選で初のポールポジション獲得! シリーズ優勝へ向けての大事な一戦!!
●スーパー耐久レース第5戦鈴鹿は9月18日(土)~19日(日)
ようやく秋めいてきた今日この頃。ちょっと…いろいろあって心が病み気味の元F1レーサー・井出有治です(涙)。
新型コロナウイルスはまだまだ収まり知らず…。皆さん、手洗い&マスクで完全防御をお願いしますね!
●今は前を向いてS耐に大集中!
ボクが参戦している2021スーパー耐久レース、ST-Xクラス「Floral Racing with ABSSA/#290 Floral UEMATSU FG 720S GT3(マクラーレン 720S GT3)」の次戦は、9月18日(土)~19日(日)に行われる『スーパー耐久シリーズ2021 Powered by Hankook 第5戦 SUZUKA S耐(5h×1レース)』です。
前回の第4戦オートポリスは、2位でチェッカーフラッグを受けた後、正式結果で繰り上げ優勝(※文末にFloralレーシングチャンネルのYouTube動画がありますので視てくださいね!)。もちろんポイント的には嬉しいんですけど、気持ちとしては…複雑。トップでゴールした#81 DAISHIN GT3 GT-Rが車検落ちで失格になったとはいえ、レースでは負けたわけですし。
そして18日(土)に行われた予選では、マクラーレン720S GT3が初のポールポジションを獲得! このままポールtoウィンでトップチェッカーを受けたいと思います。
コロナ禍でのレースとなりますが、ご来場される皆さん、S耐TVで観戦される皆さん、応援お願いいたします!
●ボクの夢に賛同してくれていたハズなのに…新東京サーキット・共同経営者との間で起こったこと
ボクが代表取締役を務めていた、千葉県市原市のカート専用コース「新東京サーキット」ですが、2021年8月28日に代表取締役を解任、というカタチになった…らしいです(!?)。
8月28日、新東京サーキット・オフィシャルWebサイト上にお知らせとして掲載されていたものが、具体的な内容もなく、まるでボクが何か悪いことをしたかのような印象を与える文面で、思わず笑ってしまいました。
が、クリッカー読者の皆様や関係各所にご心配、ご迷惑をおかけしてしまったので、就任以降に起きていた「真実」をお話させてください。
●新代表取締役になってからのいろいろ
2020年9月10日より、先代の新東京サーキット・オーナーから次を託され、新代表取締役になったボク。カートはレーシングドライバーとしてのボクの原点でもあり、子どもたちにモータースポーツへの興味を持ってもらうきっかけに、そしてレーシングドライバーへの夢を持っている子どもたちへのアドバイザーとして、レーシングカートで頑張っている方たちを応援しています。
代表取締役になったのも、そのための大きな一歩。ボクの夢の場でもありました。
●全日本カート選手権の開催復帰へ向け誘致
就任してすぐにとりかかったのは、途絶えていた新東京サーキットでの「全日本カート選手権」開催へ向けて動くことでした。
施設、コース、実績、体制…などが、オーガナイザーに認定されないと開催できない全日本カート選手権。新東京サーキットでは2015年に行われたのを最後に、開催できていませんでした。
なぜ全日本戦の開催をしたかったのか? それは…。関東近郊でカートが走れるコースはたくさんありますが、いつ行ってもカートで走れる「カート専用」のコースって少ないんです。
そんな全日本戦も行われるコースで日々走り込み、レーシングドライバーとして世界へ羽ばたく子どもたちへの出発点として、新東京サーキットが位置できれば…。そんなボクの想いもありました。
ちなみに2015年の全日本カート選手権in新東京サーキットには、現在F1やスーパーフォーミュラ、スーパーGTで大活躍している若手レーサーが多数、名を連ねていました。やっぱりカートって夢、ありますよね!
ボクは全日本戦開催へ向け、傷んでいたコースの改修、ピットや施設などの化粧直しに取り掛かりました。また、関係各社に企画書、依頼書等を作成し各所を飛び回ったり。「井出、今までの中で一番仕事してるな!」と言われたほど、ホント、全日本戦開催へ向け汗して仕事をしていました!
そして2021年5月4日、全日本カート選手権 第2戦(FS-125・FP-3/ジュニア東地域)を開催できることに。「井出が代表取締役として頑張っているから…」と認めてもらえたことで、開催復帰が実現できました。関係各社には大変感謝しております。
●新スポンサーさんとのコラボ企画として協賛、応援を得て
ボクの夢に共感してくれた数々のメーカーさんが、コラボ企画として協力、協賛をしてくれました。設備のお色直しもしたことで、コース内も以前に比べ華やかになってきた、そんな矢先…。
●千葉県市原市を襲った豪雨でコースサイドに崖崩れ発生!!
7月2日、千葉県市原市を襲った豪雨の影響で、ピットロード出口~1コーナー手前で崖崩れが発生…。急遽現地へ行き、復旧作業に全力で取り掛かりました。ボクやスタッフだけでの復旧は困難でしたが、地元の方のご協力により重機とダンプを持ち込んでいただけて、土砂の処理を終えることができました。ホント、地元の方々に感謝です。
●レンタルカートの大整備、そして新車導入へ
新東京サーキットの楽しみのひとつ、手ぶらで来てもカートが楽しめるレンタルカート。その車両をよりシステム化しコンディションを整えることも、就任直後から行っていました。
レンタルカートの整備はシャシー、エンジンなど、プロの手も借りて大々的に行い、乗っていただいた方はお分かりなのですが、大分まともに走れるようになりました。
先代の時代から使用し、経年劣化していたその旧レンタルカートを7月中旬、新車に入れ替え! もちろん、この新車も安全に、安心して走れるよう整備もしっかりと行っていました。
そして、いよいよ皆さんに乗ってもらおう!と思っていた矢先…。
●スタッフのコロナ感染でレンタルカート営業をストップ
8月上旬、スタッフの中でコロナ感染が広がり、クラスターに…。その時ボクは1回のワクチン接種を終えていたためか、幸いにも陰性でした。
ボクはこのクラスター発生前から、スタッフにも来場されるお客様に対しても、アルコール消毒やマスク、手洗いなどのコロナ感染対策を徹底するように促していました。が、共同経営者が「ワクチン接種・マスク不要派」という主義のようで、その主義主張は個人の自由なのですが、常駐スタッフがマスクをしづらい空気を共同経営者が作ってしまいました。それがクラスター発生の原因になったとしたら、彼を諫めるべき経営者のひとりである自分としても申し訳ない思いがあります。
自宅待機、自宅療養、そして入院となっていた全スタッフに代わり、保健所の指示に従い徹底した消毒を施し、ボクひとりで営業をしていました。ボクは東京在住のため、近隣ホテルにずっと泊まり込みをしながらです。
毎日の開店準備、走行券の販売、電話対応、コース上でスピンをしたマシンがいたら黄旗を振り、チェッカーも振り、お客様が帰ったらピットの掃き掃除、レジ締め、その他…。お客様にはなんとか現状を理解していただけ、バタバタの中の不手際などは許してもらいながら協力もしていただけました。
だからボクはこのままじゃいけないと思い、共同経営者と決別する意思を固めました。
しかし、スタッフ全員の復帰を果たす前に、この騒動に至ってしまいました。
●株主総会招集通知書を受け取れず
ボクが代表取締役を解任になることは、だいぶ前から計画されていたのかもしれません。
ボクがコロナ対応で、2週間くらい東京の自宅に帰れずに千葉に泊まり込んでいたことは、共同経営者も重々承知していたので、ボク宛ての郵便物等は宿泊先のホテルに送ってもらうよう依頼をしていました。
にもかかわらず、『株主名簿に記載・記録された株主の届出住所や通知先に発送』となる臨時株主総会招集通知書を誰もいないボクの自宅に普通郵便で送り、当然、ポストに入ったままの通知書を受け取れないままに期日を迎え、ボクの知らないまま臨時株主総会「なるもの」が開催され、増資し、そこでボクは解任されたようです。
会計に関して、ボクは共同経営者に対しお金の流れが分かる通帳提示を何度も依頼したにもかかわらず、ボクは一度も把握させてもらうことができず、ボクが金銭管理をするのは難しい状況でした。
こういった部分もあり、ボクは共同経営者に対して不信感を持ち始めてもいたうえに、コロナ対策で決定的な意思の対立が生まれたのです。
これが、ボクと共同経営者の間で起こった「真実」です。
「オマエが頑張ってやっていたのは知っているし、井出が変なことするなんて思っていない。こんなことになってしまい残念でしょうがない!」と、レース業界でお世話になっている方々が心配してくれ、連絡をくださいました。
今回、この件でのゴタゴタがあっても、みんながボクのことを信用、信頼してくれていることはありがたいことであり、ボクの誇りです。
とにかく今は、残りあと2戦(鈴鹿/岡山国際)のスーパー耐久レースに全集中します。
下の動画は、スーパー耐久レース第4戦オートポリスで優勝したときのもの。ぜひ見てくださいね!
●第一報は聞いた! 確かに大ピンチ(汗)
上記のお話を、井出有治さんからうかがいました。たしかに、これは一大事!
なにがどうなったらこ~いうことになるのか…。井出さんがカートにかける想いに共感し、応援してきた私としては、放っておけない内容に血圧が上がってしまい、そしてこの真相を知りたいと思い記事にしました。
今後この件はどうなるのか?
相手側はどうしてこのような行動に出たのか…の話は正直、聞けていません。が、まずは井出さんからの第一報としてお伝えします。
今後、なにかしらのことが分かり次第、再度お伝えしたいと思います。(クリッカー・永光やすの)
(文:井出 有治/画像:折原 弘之・井出 有治/編集:永光 やすの)
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【関連リンク】
井出有治オフィシャルwebサイト
https://www.yuji-ide.com/
Floral Racing channel
https://www.youtube.com/channel/UCQqPHs5ia7ehJ2Pg4udHt7Q