■静粛性の高さや良好な操作性を実現
ヤマハ発動機は、オートバイ、電動アシスト付自転車、スノーモービル、そしてマリン製品を主に個人ユーザー向けに投入しています。スクーターなどのオートバイの電動化にも注力し、スポーツバイクの電動化の研究開発にも注力しています。
2021年9月15日、ヤマハは、イタリア・ジェノバで開催されるジェノバ国際ボートショー(9月16日~21日)に新しい操船システム「HARMO (ハルモ)」を出展しました。この「ハルモ」の先行受注を欧州で開始し、2022年春に欧州で販売されます。
「次世代操船システムプラットフォーム」であるハルモは、モーターを動力とする推進器ユニットと動作を制御するリモートコントロールボックス、直感的な操作を可能にするジョイスティックなどからなります。メリットは、電動ならではの静かさで、乗船者が快適に過ごすことができるスマートパッケージボートを目指して開発されています。
ハルモは、2016年にオランダ・アムステルダム、2020年1月にドイツ・デュッセルドルフなどでも参考出展され、環境意識の高いヨーロッパで多くの注目を集めてきたそう。また、2020年8月から北海道小樽市の小樽運河クルーズで実証運航を実施するなど、多くの知見を獲得してきたとしています。
「ハルモ」は、モーター駆動にリムドライブ方式(インペラ翼のリム部に搭載されたモーターによりインペラを駆動する)が採用され、高効率な電動推進を実現。とくに、低速において強い推進力が出せる利点があります。
加えて、直感的な操作感を実現するとともに、振動や騒音が圧倒的に小さく、快適に操船することが可能。
また、大舵角のステアリング機構により、その場での回頭を可能にし、ボートとの一体感も楽しめるのも特色です。ジョイスティックによるシンプルな操作で簡単にボートを操船することが可能だそう。さらに、2機掛けでは、ジョイスティックを横に倒すだけで、横方向への移動ができ、難しい離着岸などをサポートします。ハルモの出力は、3.7kW(9.9PS相当)となっています。
ヤマハ発動機は、先述したように電動オートバイや電動アシスト自転車、電動車いす、ドローン、電動のゴルフカーや小型低速車両(ランドカー)などを含めた、多様な製品での電動化を推進しています。電動化を通じてモビリティの可能性を広げ、より良い生活と社会の実現を目指す構えです。
(塚田 勝弘)