■足を硬めながら、ベース車譲りの快適性も確保
2021年秋に発売される予定の新型「ノート・オーラ・ニスモ」は、「NISMO」モードに代表される専用セッティングのパワートレーン(スペックは同値)や専用の内外装だけではなく、シャーシにも専用セッティングが施されています。
足まわりは、ほぼニスモ専用のセッティングになっていて、4輪の接地感を重視したそう。
高いグリップを誇るタイヤの性能を活かすため、熟練の評価ドライバーの徹底的な走り込みを実施。走り込みの検証やチューニングが施され、専用部品の開発も新たに行われています。
フロントサスペンションのフロントストラットは、外筒板厚がアップされ、専用減衰力チューニングが盛り込まれています。併せて前後バンプラバーもニスモの専用形状に、フロントスプリングは、36%硬くなっています。
シャーシ制御の「VDC」は、あまり介入せず、限界時にサポートする制御に。さらに、電動パワーステアリングの「EPS」もアシスト制御がニスモ専用化されています。
一方のリヤサスペンションは、バネ定数を25%硬め、ダンパーはモノチューブ化され、専用減衰力チューニングが施されています。
ホイールは、6.5Jから7Jにワイドリム化されています。タイヤは、ミシュランの「パイロットスポーツ4」を装着。
注目は、モノチューブ式のリヤショックアブソーバーで、日本向けのニスモでは初採用になります。リヤの減衰力をできるだけ高め、リヤの安定性を高めるため採用したそう。
ベースの「オーラ」よりも引き締まっているのは間違いなく、段差が設けられた区間では、少し揺すぶられるような乗り味。それでも、路面のいいテストコースでは乗り心地とのバランスは、十分に成り立っています。
こうしたスポーティ仕様であることを考えれば、限られた条件ではありますが、許容範囲内の硬めの足といえそう。最新のプラットフォームをはじめ、ベース車の乗り心地の良さや、静粛性の高さも伺えます。
さらに、ハンドリングの良さやロールを抑えたボディコントロールは、専用セッティングの足まわりの恩恵は大きく、ワインディングを模したコーナーやパイロンスラロームでもロールや揺り戻しが抑えられています。
(文/塚田勝弘 写真/井上 誠)