■110よりも全長とホイールベースが435mmも短い90の取り回しの良さ
新型ランドローバー・ディフェンダーは、2020年4月にカタログモデルが発売され、好調な受注・セールスが続いているそうです。
7月上旬時点で注文をしても年明けになるそうで、半年以上の納車待ちになっていています。メルセデス・ベンツのGクラスなどの本格オフローダーもグレードによっては、1年以上という納車の列が続いている模様です。
そんな人気の3ドアのディフェンダー90、2.0Lの直列4気筒ガソリンターボを積む「S」に、2021年7月に行われたプレス試乗会で試乗しました。
ボディサイズは、全長4510×全幅1995×全高1970mm。ショートボディ版といっても2mに迫る全幅と背の高さにより、小山のような存在感があります。それでも全長もホイールベースも5ドアの110(ワンテン)よりも435mmも短く、最小回転半径は110の6.1mに対して、90は5.3mと大幅に短くなっています。
取り回しのしやすさも気になる人は、よりスタイリッシュでスマートな印象の90を選択する手もありそう。もちろん、後席の乗降性、後席に置いた荷物の出し入れなどに制約があるのを織り込み済みで指名する必要はあります。
利点は取り回しのしやすさだけではありません。90は、3ドアのショートボディを活かして車両重量は2100kg(それでもヘビー級ですが)に収まっています。一方の110は、2420kg(P300 AT)で、300kg以上も軽くなっています。
試乗車の「S」は、2.0L直列4気筒ガソリンターボを積むこともあり、鼻先が軽く、全体的なフットワークも軽快感に満ちています。とはいっても、本格オフローダーらしい重厚感も兼ね備えていて、都市型SUVとはひと味違った良い意味での重さもあります。
300PS/400Nmというエンジンスペックになる2.0Lガソリンターボは、分厚いトルクを活かして、低速域から扱いやすく、オンロードの山道でもスムーズに加速を乗せていきます。驚くほどパワフルではありませんが、アクセルを深く踏む込めば巨体を物ともせずに豪快な加速も可能です。
また、8速ATによる滑らかな変速フィールも好印象。今回の試乗会では、オフロードコースも用意されていましたが、悪天候などの条件により、少ししか走行できませんでした。それでも水の中も難なく走破できました。
ショートボディ版の90は独身の方やディンクスなど、ある程度ユーザーを選ぶのは間違いないでしょう。5ドアの110よりもスタイリングの面での主張が強く、外観に惚れれば指名買いする価値があります。
(文:塚田 勝弘/写真:小林 和久)