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■自転車で安全に走るための実践テクニック
最近、道路の左端に自転車のマークや、白か青の矢印が入っているのをよく見かけますよね。白い自転車マークと矢印が入ったものが「自転車ナビマーク」、交差点に入れられた青い矢印が「自転車ナビライン」といいます。
自転車で公道を走る場合、基本的にはクルマと同様、車道を走る必要があります。これらは、自転車で道路を安全に走行するために通行すべき部分や進行すべき方向を示したものです。
ところが、実際の道路では、自転車ナビマークがある車道の路肩に駐停車しているクルマがあったり、道幅が狭く渋滞時などにはマークに沿っては安全な走行がしづらい場所などもあります。
そういった場合でも、こういった矢印やマークに沿って走行すべきなのでしょうか? ここでは、実際に自転車で街を走りながら、より安全な通行方法について検証します。
●駐停車のクルマがいる場合
今回の取材では、2021年4月に発売されたスポーティな26型の電動アシスト自転車、ヤマハ「PAS Brace(パス ブレイス)」を駆り、東京都内の道路を走ってみました。
夏の猛暑日でしたが、坂道などで抜群のアシスト力を発揮するパス ブレイスのおかげで、汗だくにならず快適な走行を楽しめました。
では、出発。自転車ナビマークに沿って、パス ブレイスを軽快に走らせます。
すると、前方の自転車ナビマーク上にある路肩に停車しているクルマを発見。なにやら荷物の積み卸しをするために、一時停車しているようです。通行している道路は路肩に黄色の破線があるので駐車は禁止ですが、荷物の積み卸しや人の乗り降りで、短時間(5分程度)の停車は可能な場所です。
また、自転車ナビマークや自転車ナビラインは、法令の定めのない表示であるため、この表示自体に新たな交通方法を指定する意味はありません。よって、駐停車禁止区域でない限り、クルマを停めることは違反ではありません。
道路によっては、自転車ナビマーク上に駐車スペースが設けられた場所さえあります。
停車車両がいるため、このまま自転車ナビマークに沿って走行することはできません。こんな時はどうするべきか?
答えは、後方を見て、クルマなどが近づいていないかなど安全を確認してから、車道側に進路変更をして停車車両の右側を走ります。
ここで注意したいのは、停車車両の橫を走る際に、車内にいるドライバーや乗員が、急にドアを開けて外に出ようとすると、ドアや人に衝突する危険性があること。あまりスピードを出し過ぎていると、大きな事故に繫がる可能性もありますから、安全を確認しながら、できるだけゆっくりと走行しましょう。
また、進路変更する際に後方からクルマが来ているとか、渋滞などで停車車両の橫にほかのクルマが停まり、停車車両の右側を安全に通れない場合もあります。
こういった時は、停まっているクルマの後方に一度停車し、安全を確認してから進路変更するといいでしょう。無理な進路変更は、ほかのクルマと衝突する可能性があり危険です。
●車道が狭くて安全に走行できない
自転車ナビマークがあっても、それに沿って安全に走れない場合もあります。たとえば、クルマが道幅一杯を使って走るほど車道が狭く、朝など交通量が多い時間帯は自転車で走ると怖い場所など。また、事故などで車道が通行止めになっていることもあります。
自転車は、安全に走行できない場合は、例外的に歩道を走ることも可能です。法律では、
・規制標識「普通自転車歩道通行可」が設置された歩道
・13歳未満または70歳以上の人
・身体の不自由な人
・安全のため歩道通行がやむを得ないとき
は、自転車も歩道を走ることができると規定しています。
ただし、歩道は歩行者優先です。自転車は「ゆっくり」と「車道寄り」を進行する必要があります。
また、安全に車道を走れる場所まで行ったら、歩道から車道に戻りましょう。この時も、後方から来るクルマや歩行者などに十分注意しながら車道に合流する必要があります。
●こんな場所にこんなマーク!
ちなみに、今回の取材では、一方通行の車道で左右に自転車ナビマークや自転車ナビラインがある場所も発見しました。前述の通り、自転車は基本的にはクルマと同じ車両扱い。ですがこの道路は、クルマは一方通行ですが、自転車は左端を走れば、反対方向でも通行できるのです。
どうも生活道路のようで、地域の人が自転車でよく通るため、安全確保のために左右にマークやラインを設置したんでしょうね。
自転車の通行に関しては、自転車ナビマークや自転車ナビラインのほかに、青いラインに白地で「自転車専用」と書かれている「自転車専用通行帯」というものもあります。これは法規で定められた通行帯で、自転車は必ずそこを走行しなければなりません。
自転車専用通行帯は道幅が比較的広い道路に多いようです。自動車やバイクなどは通行禁止で、自転車が安全に走行できる場所となっています。
また、クルマは基本的に駐車禁止ですが、やはり、駐停車禁止区域でない限り荷物の積み卸しや人の乗り降りなどで5分程度の短時間停車は可能です。
自転車専用通行帯にクルマが停車している場合は、前述の通り、後方を確認して、安全なら進路変更して車両の右横を通行するのがルールです。
ちなみに、これも今回の取材で発見したのですが、片側2車線の左側に駐車スペースがあり、その更に左側(歩道側)に自転車専用通行帯がある道路もありました。
しかも、自転車専用通行帯の中は駐車禁止。自転車は広い専用通行帯をクルマを気にすることなく、安全に走行することができます。
自転車は、最近、都市部などにおける手軽でエコな移動手段のひとつとして注目されています。一方で、利用者が増えると事故も多くなる傾向がありますので、こういった自転車の「安心・安全」な道路はもっと増やして欲しいですよね。
●パス ブレイスの乗り味は?
最後に、今回の相棒、パス ブレイスについて、ちょっとだけ紹介します。大きな特徴は、自然でパワフルなアシストフィーリングを実現する「スマートパワーアシスト」を搭載していること。高回転領域の高出力化により、特に低速〜中速ギアを使った登坂がすこぶる快適です。
走行モードには、パワフルにアシストしてくれる「強モード」、かしこく節電し走行距離を伸ばす「オートエコモードプラス」、そして新搭載された「スマートパワーモード」から選べます。
特に、スマートパワーモードは秀逸で、ペダルを漕ぐ力やペダルを回す速さ、路面の状況などから、最適なアシストパワーを自動で制御してくれます。坂道や平坦路などで常に最適なアシスト力を自動で発揮するため、モード切り替えの手間が不要で、気軽に走りを楽しめました。
搭載バッテリーは大容量15.4Ahリチウムイオン式で、長距離走行にも対応。ほかにも、内装8段変速ラピッドファイヤーシフト、26型セミスリックタイヤなどで優れた走行性能を発揮します。
フロントディスクブレーキ、リヤVブレーキによって制動力も抜群ですし、プリロード調整付きフロントサスペンションで、路肩の段差を乗り越えるときなども、高い走行安定性も実現してくれます。なお、価格(税込)は17万3800円です。
以上、自転車の公道走行に関して、より安全な走り方をいくつか紹介しました。特に、通勤や通学や、日常の移動用に自転車を最近購入し、久々に乗るといった人などは、ぜひ参考にしてみて下さい。
(文:平塚 直樹/写真:clicccar編集部)