■ドイツプレミアムブランドに匹敵するしなやかな乗り心地を実現
●乗りたくなる4ドアラグジュアリーセダン
国産車のセダンは、新車セールスで苦戦しています。しかし輸入車において人気は下がっていません。これは単にSUVやミニバンにユーザーが流れたというだけでなく、「誰もが乗りたくなるセダン」がないということなのかもしれません。
そんなセダンに逆風が吹く中、プレミアムブランドのキャデラックが新型ラグジュアリーセダンのCT5を日本に導入しました。メルセデス・ベンツEクラスやBMW5シリーズと同じ車格にもかかわらず、車両本体価格は560万~620万円という戦略価格となっています。
今回は車両本体価格560万円のCT5プラチナムに試乗しましたので、インプレッションを紹介します。
キャデラックCT5は、高剛性と軽量化を両立した「アルファーアーキテクチャー」と呼ばれるプラットフォームを採用。全長4925mm×全幅1895mm×全高1445mmというボディサイズながら、車両重量は1680kg(プラチナム)に抑えています。
搭載する新設計のエンジンは、最高出力240ps・最大トルク350Nmを発生する2L直列4気筒ガソリンターボで、直噴システム、アクティブ・サーマル・マネジメント、オートスタート/ストップ機能に加え、ツインスクロールターボや、低負荷時に2気筒を休止し燃費効率とパフォーマンスを最大化する気筒休止システムを採用しています。
組み合わされるトランスミッションは10速ATで、駆動方式は試乗したプラチナムがFR、スポーツがAWDとグレードによって異なるのが特徴です。
安全装備は、エマージェンシーブレーキシステム(フロントオートマチックブレーキ/フロント歩行者対応ブレーキ)や、前方車両をモニターし、加速・減速・完全停止までを自動で行うアダプティブクルーズコントロール、さらにサイドブラインドゾーンアラート、リア歩行者検知など、20以上の最新安全装備を搭載。ドライバーの負担を軽減してくれます。
全長が約5mというボディサイズのCT5。外観デザインは、キャデラックらしいエッジの利いたシグネチャースタイルを採用し、圧倒的な存在感を放ちます。また、トランクリッドの短いファストバックスタイルは、エレガントさとスポーティさを両立しています。
CT5のインテリアは、使用するパーツの素材にこだわりつつ、高解像度10インチのタッチスクリーンなどクラフトマンシップとモダンさを見事に融合させています。
また、車内の空気をきれいに保つイオン発生除菌機能付エアコンを搭載。エアイオナイザーは負に帯電した水酸化物質(O2H)を発生させ、ACダクトを介して空気中に放出することにより、特定の空気中の汚染物質を削減。エアクオリティセンサーが大気汚染を感知するとインレットを閉じて車内へのエア流入を遮断してくれます。
CT5をドライブすると、搭載しているエンジンが2Lターボとは思えない程のパワー感と静粛性の高さを実感します。4気筒エンジンのパンチ力を10速という多段化されたATによってスムーズさを前面に押し出しています。
発進加速そして追い越し加速でも見事に調教されたサラブレッドのように従順で、ドライバーの思い通りの加速性能を発揮します。
乗り味は、どんな路面状況においてもフラットな乗り味を実現しています。サスペンション形式はフロントがマクファーソンストラット式、リアはマルチリンク式を採用。後輪駆動らしいリアのスタビリティの高さがドライバーだけでなく、乗員すべてに安心感を提供します。
この素晴らしい乗り味を実現するために、ZF製のMVSパッシブダンパーを採用。路面状況の変化に対応し、路面からの衝撃を吸収。どのようなシーンにおいてもプレミアムブランドらしい乗り味を実現しています。
ドイツ車をはじめ、輸入車の多くが右ハンドルとなっている中で、キャデラックは左ハンドルのみというこだわりがあります。確かに日本の道路事情では不便な面もあるかもしれませんが、それだけでCT5を選ばない理由にするのはもったいないです。
リーズナブルな価格ながら、高い走行性能&安全性能を備えたキャデラックCT5。これぞプレミアムブランドという極上の乗り味を一度体験してから車種を決めても遅くはないでしょう。
●キャデラックCT5プラチナム (10速AT)
■Specification
全長4925mm×全幅1895mm×全高1445mm、ホイールベース 2935mm、車両重量1680kg、エンジン種類 直列4気筒ターボ、総排気量1997cc、最高出力240ps/5000rpm、最大トルク350Nm/1500-4000rpm
(文・写真:萩原文博)