驚きは水素ガス3分でフル充填!燃料電池のハイエース出ないかな?by柏秀樹【水素満タンMIRAIで1000kmチャレンジ】

「日本を代表する自動車メーカーであるトヨタの水素燃料電池車MIRAIで、水素満タンでの航続距離最長記録1003kmをフランスチームが打ち立てたのは日本人としてクヤシイ!」という自動車ジャーナリスト国沢光宏さんの声がけにより、結成された世界記録に挑む日本チーム。結果は見事1040.5kmと世界記録を更新し、豊田章男さんからも感謝状もいただきましたが、およそ1000kmを走るため各人100kmほどを担当した10人からなるドライバーによる、後日談エッセイ。今回は、松下宏さんから受け取ったバトンをアンカー菰田潔さんへと繋げる、第9スティント担当の柏秀樹さんです。

■バイク・コントロールの達人によるMIRAIのエコランの極意

●トヨタ2000GTも好きだった少年時代

真剣な眼差しでスタートする柏秀樹さんドライブのMIRAI
真剣な眼差しでスタートする柏秀樹さんドライブのMIRAI

今回のMIRAI・エコラン世界記録達成に協力できたことを誇りに思っています。が、実を言うと水素ステーションに立ち寄ったことがない。トリを務めた菰田潔先生のゴールを見届けたらガス充填作業をやらせてもらえたかもしれないことが唯一の心残りでした!?

柏秀樹さんドライブで首都高都心環状線C1を走るMIRAI
柏秀樹さんドライブで首都高都心環状線C1を走るMIRAI

経産省は2025年までに全国で320カ所、2030年に900カ所の水素ステーション設置のロードマップを公表しています。今回は水素で走るクルマの可能性を大いに感じたので、水素ステーションの普及が進んで欲しいと願うようになりました。このプロジェクトに参加しなかったら、きっとこんな感情は湧いてこなかったと思います。

トンネル内などはまだ水しぶきを上げる箇所もあるほどだった
トンネル内などはまだ燃費に良くない水しぶきを上げる箇所もあるほどだった

トヨタ2000GTの時代からカタログを集めるのが大好きだった少年時の習性が残っているのか、MIRAIの電子カタログをチェック。サイズはクラウンよりちょっと長くて幅広いかな。私のミニのようなコンパクトサイズの取り回し感覚というと大げさだけど、大きさの割に馴染みやすい特性と見切りが良い感じです。

驚きは、約3分で水素ガス・フル充填できるから忙しい方にも朗報かな。コストは1000円/kg。一般走行なら満タンで600kmから750kmは走れそうだし、市街地などでもバイクを積んでリッター11km前後走る私の23万km走行のハイエース・ディーゼル(満タン70L)なみの経済性と実用性となる。

エンジン音や振動は一切なくてクラウン以上か。水素ガスで走るハイエースが登場するなら思い切って購入して、今以上に全国あちこち移動しながらのバイクレッスンをやってみたい。これほど快適ならあと2年ちょっとで70歳になる私はますます元気でバイクレッスン活動に励めるかもしれない。クルマの運転も好きだし、地方出張は人と出会えて、綺麗な景色を眺めて、美味しいもん食べて幸せなのよね。

●バイクではハンドルを握るのでなく触れる感覚をアドバイス

ドライバー交代地点へと無事戻ってきたMIRAI
ドライバー交代地点へと無事戻ってきたMIRAI

記録挑戦中に緊張したかと言うと実はその逆でした。後席で温かく(電費向上のためエアコンオフ!)見守ってくださったMIRAIのエンジニア野正斉さんへ一方的にペラペラ喋っていたのは私です。なので終始リラックスした状態だったのですが、彼が気づいてくれたとしたら嬉しいことがひとつあります。

ハンドルを握る強さです。

バイクレッスンでは、FG:フローティング・グリップという造語を作って受講生にアドバイスしています。
ハンドルを握る強さは脳の活性化を邪魔するだけ。効率よく上手くなるにはハンドルを握るのではなく触れる状態でレッスンを続けると脳にいち早く吸収すべきデータが蓄積される。手のひらは第2の頭脳という定義です。圧迫はNG。心拍数や血圧と同等に手のひらの圧力計が数値として出てくると面白いけど、そんな「近MIRAI」への期待を込めつつ、FGをMIRAIの運転中も終始実行していました。

柏さんのテクニックで燃費は197km/kgとアップさせアンカー菰田さんへ
柏さんのテクニックで燃費は197km/kgとアップさせアンカー菰田さんへ

運転中にハンドルを押さえることは右足の操作の緊張にも影響を与え、余計な車体のフレ(ピッチとロールからヨー方向に悪影響)を起こすだけ。揺れ最小運転はエネルギーロス最小化に繋がり、走行燃費に好影響を及ぼすかも、という仮説です。

バイクの場合はスロットルレスポンスとリニアリティ=ドライバビリティが車体バランスや「安全と楽しさ」に大きく影響しますが、そのために早め早めの優しいスロットル作業(オンオフ)が不可欠。それには遠近の視点だけはなくミクロとマクロ(地域、地形、季節、天候、曜日、時間など)の視点で自分の立ち位置を常に把握すること。

柏秀樹さんからアンカーの菰田潔さんへ記録を託しました
柏秀樹さんからアンカーの菰田潔さんへ記録を託しました

でもね、MIRAIはその大半の作業を賢くやってくれている知能犯ならぬ知能車なわけで、私としたら可愛くない存在とも言えます。だから私に残された仕事はバイクレッスンの先生なのかもしれないな。

ps:エンジニアに注文です。ミライから捨てられている水を「美味しい水」に変換して走行中の乗員の喉を潤して欲しい。バイクではできない世界をクルマで。ないものねだりかな、これは。

(柏 秀樹)

●柏 秀樹
バイクジャーナリスト/1954年山口県生まれ。大学院博士課程で作家片岡義男と出会い、バイクサウンドのLPレコードを製作。大学講師の道を外れてバイクジャーナリストへ。バイクでダカールラリー4回参戦ほか国際ラリーを楽しみながら新型車インプレなどの雑誌記事や単行本執筆。ライディングテクニックの原稿依頼が多く、DVD5本他2003年からライディングスクールを開催。関西や東北・北海道への出張も多く、クルマの安全を含めた一般企業などの安全講習も精力的に行っている。