プジョーが2.6Lツインターボと200kWのモーターを組み合わせたハイブリッドマシン「PEUGEOT 9X8」を公開

■2022年のFIA世界耐久選手権を目指し、投入される「LMH」クラスの耐久マシン

プジョーは、2021年7月6日に最新世代のハイパーカー「PEUGEOT 9X8」を発表しました。同モデルは、2022年の「FIA世界耐久選手権(FIA WEC)」でのデビューを目指しているそうです。

「PEUGEOT 9X8」は1992年と1993年に「ル・マン24時間レース」で勝利を飾った「プジョー905」と、2009年にフランスのクラシックレースで優勝した「プジョー908」の後継モデルで、同ブランド最新の耐久レース向けモデル。

PEUGEOT 9X8
公開された「PEUGEOT 9X8」のエクステリア

ボディサイズは、全長5000×全幅2,080×全高1180mmで、ホイールベースは3045mm。プジョー9X8は、ブランド主導のプロジェクトで、「ネオ・パフォーマンス」というビジョンに基づいています。ネオ・パフォーマンスのビジョンは、プレミアムスポーツの血統と卓越したスタイリング、効率性、そして将来のロードカーに引き継ぐことのできる、技術的な知見を組み合わせたものとしています。

PEUGEOT 9X8
「PEUGEOT 9X8」のリヤビュー

プジョー9X8のフォルムとエアロダイナミクスは、プジョー・スポールのテクニカル・ダイレクターであるオリビエ・ジャンソニ(Olivier JANSONNIE)氏の下で働く開発エンジニアと、プジョー・デザイン・ダイレクター、マティアス・ホッサン(Matthias HOSSANN)が率いるデザインチームの協力により生まれています。

FIA とACO (Automobile Club de l’Ouest) が策定した、耐久レースの主要カテゴリーである「LMP1」の後継となる「LMH(ル・マン・ハイパーカー)」のレギュレーションに基づいて開発されています。

同クラスでは、エアロダイナミクスに関する新しい技術規則が適用され、自由度が増しています。そのため、革新的なマシンを生み出すことができるようになり、デザインチームの貢献度もより高まったそう。プジョーのエンジニアとデザイナーは、この機会を活かし、創造的なプロセスのもと既成概念からの脱却を果たし、新しいジャンルのハイパーカーを生み出しています。

PEUGEOT 9X8
正面から見た「PEUGEOT 9X8」

エクステリアで目を惹くのは、前後のライティングシグネチャー。「3本の爪」のようなストロークで構成され、プジョーのロードカー同様のトレードマークになっています。

また、新しい同ブランドのライオンヘッドのロゴは、マシンのフロントとサイドにバックライトで表示。ボディとコックピット内の「セレニウム・グレー」と「クリプトナイト・アシッド・グリーン/イエロー」のコントラストは、508と508 SWで導入された「PEUGEOT SPORT ENGINEERED(508 PSE/508 SW PSE)」のカラースキームが反映されているとのことです。

さらに、足元では彫刻的なホイールが、すっきりとしたシャープな構造のサイドの面とバランスのとれたラインに貢献しています。ウィングベントによってタイヤの上部は露出し、インテグレートされたサイドミラーによって空気の流れが妨げられることなく、マシンの上を通過することがイメージされるようになっています。

PEUGEOT 9X8
「PEUGEOT 9X8」のコクピット

リヤビューで特徴的なのが、ブランドの特徴であるクローエフェクト・ライティングが施されている点で、テールランプは、ワイドなディフューザーを挟むように配置され、その上には「We didn’t want a rear wing」と刻まれています。この革新的なリヤエンドは、プジョー・スポールのエンジニアリングチームの研究から生まれたものだそう。

また、「コックピットは、これまでのレーシングカーは機能的なだけで、ブランドのアイデンティティを持たないものでした。我々は、特別なアプローチを取りたかったのです」とデザインナーのマティアス・ホッサン(Matthias HOSSANN)がコメントしています。

「カラースキームとプジョーのインテリア・スタイリング・シグネチャーであるi-Cockpitを組み合わせることで、9X8のコックピットは、独自の雰囲気を醸し出し、車載カメラで撮影しても、それがプジョーのマシンであることがひと目でわかるようになっています」と続けています。

搭載されるパワートレインは、ハイブリッド化されています。「PEUGEOT HYBRID4 500KWパワートレイン」を構成する2.6Lのツインターボがリヤに搭載され、500kW(680PS)を誇る90度V6エンジンは、4月からベンチでマイレージを重ねているとのことです。

PEUGEOT 9X8
リヤウイングが備わらないのも特徴

フロントには、200kWのモーター・ジェネレーター・ユニットを搭載。組み合わされるトランスミッションは、7速シーケンシャル・ギヤボックス。バッテリーは、ベンチテストの検証スケジュールに沿って組み立てられています。このパワフルで技術的に洗練された高電圧(900V)の高密度バッテリーは、プジョー・スポールとトタルエナジーズの子会社であるサフト(Saft)による共同開発によるものです。

2022年のル・マン24時間レースを含めたFIA WECで同モデルが強さを発揮できるのか、いまから目が離せないプロトタイプになっています。

塚田 勝弘

この記事の著者

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塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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