ディテールを廃し、よりピュアな個性を目指す。デザインイベントでわかったMINIのあるべき姿とは?

■伝統と個性を併せ持つMINIブランドだからこそのチャレンジ

6月22日(火)、ビー・エム・ダブリュー株式会社は、BMW GROUP Tokyo Bay(東京都江東区)にて「新型MINIデザイン・ワークショップ」を開催しました。

ミニ・メイン
新型となったMINIラインナップ

本イベントは、会場とドイツをオンラインで繋ぎ、今年5月にマイナーチェンジされた新型MINIのデザインについて、デザイン責任者から直接話を聞くという催しです。

ミニ・イベント1
イベントではドイツとオンラインで繋がれた

当日の対応は、BMW AG(BMWグループ本社)MINIデザイン部門責任者のオリバー・ハイルマー氏。

ドイツのプフォルツ・ハイム大学の輸送機器デザイン専攻を卒業後、長くBMWのデザイン部門に携わり、2017年から現職に就任しています。

5月のマイナーチェンジでは、3ドア、5ドア、コンバーチブルのランプやグリルなどフロント回り、ルーフ、ホイールなどが刷新。会場ではこうした変更について、あらためて氏による詳細なプレゼンテ―ションが行われました。

ミニ・フロント
ボディ同色グリルとエアカーテンを新設

「目指したのはよりピュアで個性的なスタイルです。そのために、ニーズ、必要性に合わせてコンポーネンツを減らすことを考えました。たとえば、フロントランプでは高機能化によりポジショニングランプとフォグランプを一体化、統合しています。また、従来フォグランプのあったバンパー下部にはエアカーテンを新設し、デザイン性とともに空力性能を向上。さらに、グリルはボディ同色のパーツを用いることで、全体的な統一感を得ています」

新型ではフロントがかなりスッキリしましたが、そこにはよりクリーンなスタイルを目指すという意図が明快だったようです。

では、サイドとリアビューはどうでしょうか?

ミニ・サイド
サイドスカットルにはグリル同様六角形をあしらう

「サイドスカットルにはターン・インジケーターを組み込み、全体的な形状を非常にモダンにしています。ホイールデザインは基本的にクラシックな表情ですが、表面処理の工夫で、止まっていてもダイナミックさを感じるものとしました。また、リアはエキゾースト周辺のバンパーを立体的に強調することで、よりスポーティなイメージを得ています」

個性化という点では、こうして強調するべきところは強調するという方針が貫かれているといいます。

一方、今回話題となったのが「マルチ・トーン・ルーフ」ですが、1台1台で表情の異なるこの特徴的な仕掛けについては「やはりMINIのルーフはスペシャルであるべき」とし、その経緯をこう紹介しました。

ミニ・ルーフ
偶然性をとり入れた斬新なルーフの塗装

「そもそもは、塗料が乾く前に次の色を塗装したらどうなるか?というチーム内の疑問がきっかけでした。実際に試してみたところ非常にユニークな結果が得られ、採用することになったのです。ロボットによる塗装作業は困難でしたが、最終的には満足できる仕上げになりました」

当日は後半の質疑応答を含め、ワークショップ全般で「MINIらしいデザインとは?」「MINIのデザイナーの醍醐味」「将来のMINIデザイン」など、伝統と個性を併せ持つMINIブランドだからこその話が展開されました。

ミニ・イベント2
プレゼンをするオリバー・ハイルマー氏

輸入車は強い個性的を持ちながら、本国のデザイナーから直接話を聞ける機会はそう多くありません。その意味で、デザインに特化したこのようなイベントは貴重だと言えるでしょう。

(すぎもと たかよし)

ミニ・フロントビュー
5月には3ドア、5ドア、コンバーチブルが更新された
ミニ・リアビュー
立体的なバンパー形状が特徴的に

この記事の著者

すぎもと たかよし 近影

すぎもと たかよし

東京都下の某大学に勤務する「サラリーマン自動車ライター」。大学では美術科で日本画を専攻、車も最初から興味を持ったのは中身よりもとにかくデザイン。自動車メディアではデザインの記事が少ない、じゃあ自分で書いてしまおうと、いつの間にかライターに。
現役サラリーマンとして、ユーザー目線のニュートラルな視点が身上。「デザインは好き嫌いの前に質の問題がある」がモットー。空いた時間は社会人バンドでドラムを叩き、そして美味しい珈琲を探して旅に。愛車は真っ赤ないすゞFFジェミニ・イルムシャー。
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