■一気にデジタル化が進んだ印象のインパネにも注目
2021年6月15日、8代目となる新型フォルクスワーゲン・ゴルフが正式発表されました。
Cセグメントのベンチマークとして自他ともに認めるモデルであることだけでなく、ワンクラス上のDセグメントからも意識される存在です。また、Cセグメントはいまや日本ではコンパクトカーとはいえないサイズ感ですが、ビートルから受け継ぐ実用車の指標でもあります。
日本でも絶大な支持を受けてきたゴルフだけに、まず気になるのはボディサイズ。新型ゴルフは、全長4295×全幅1790×全高1475mmで、全長は30mm長くなり、全幅は10mm狭く、全高は5mm低くなっています。
全長は30mm長くなっているものの、全幅は10mm狭くなっているので、狭い道でのすれ違いなどは心配なさそう。また、ホイールベースが15mm短くなっていますので、後席フットスペースなど、居住性もチェックポイント。
後席はホイールベースが短縮されても足元の狭さはほとんど抱かせず、先代と同等程度に近い空間が確保されている印象です。身長171cmの筆者が運転姿勢を決めた後方には、膝前にこぶしが縦に2つ程度、頭上にこぶしが縦に1つと手の平1枚程度の余裕が残ります。
また、前席座面下に足が入るため、姿勢の自由度も担保されています。後席は驚くほど広くはないものの、現在の平均的なサイズ感は確保されています。
さて、全長の延長は、Cd値が0.3から0.275に低減しているのにも貢献していそう。一般的には、全長が長いボディほど空力面では有利といわれています。
ほかにも、エアロダイナミクスをさらに考慮したというエクステリアデザイン、Cd値が最適化されたドアミラー、リヤルーフまわりの空力デザインとスポイラー、アンダーボディを完全に覆うパネル、空力性能が考慮されたホイールハウジング・ライナーなどによって総合的にエアロダイナミクスの向上が図られているそう。
ラゲッジ容量は380Lで、後席をたたむと最大で1237Lまで拡大。先代が380L〜1270Lでしたので、最大時は少し減っていますが、通常時は同値で、ラゲッジも同等レベルとなっています。Cセグメントでは広い方といえます。
低く構えたエクステリアは、初代ゴルフからイメージを受け継ぐCピラーをはじめ、スリムになったラジエターグリル、ドアハンドルからリヤにつながるシャープなラインが特徴。また、ヘッドライトはLED化され、前後ライトの鋭いライトのデザインもあって、先進性を抱かせる見た目になっています。
エクステリア以上に新しさを感じさせるのがインテリア。エアコンパネルがデジタル化されたのをはじめ、10インチディスプレイを備えるデジタルメーカークラスターの「Digital Cockpit Pro」、同じく10インチのタッチスクリーン・インフォテインメントシステムが目を惹きます。ハードキーを極力減らし、ディスプレイで操作させる方式になっています。また、ステアリングにスイッチ類を集中配置しています。
純正ナビゲーションは「MIB3(モジュラー・インフォテイメント・マトリックス)」に統合され、「eSIM」を備えた「OCU(オンライン・コネクティビティ・ユニット)」と接続されていて、常時接続機能によりスマホ連携を含めた多彩なサービスを享受できます。
そのほか、インテリアには新しいインテリアアンビエントライトが用意され、「Active Basic」と「Active」では10種類、「Style」、「R-Line」では30種類のカラーから選択できるなど華やかさも増しています。
オーディオでは、オプションで「Harman Kardon(ハーマン カードン」サウンドシステムが設定されています。
ボディカラーは新色4色を含めた計8色展開。新色は、「ライムイエローメタリック(有償色)」、「ドルフィングレーメタリック」、「ムーンストーングレー」、「キングズレッドメタリック(有償色)」。ほかにも「ピュアホワイト」、「アトランティックブルーメタリック」、「ディープブラックパールエフェクト」、「オリックスホワイトマザーオブパールエフェクト(有償色)」を設定。
価格は、「1.0eTSI」エンジンを積むエントリーグレードの「eTSI Active Basic」が291万6000円、「eTSI Active」が312万5000円。「1.5eTSI」を積む「eTSI Style」が370万5000円。「1.5eTSI」を搭載するスポーティグレードの「eTSI R-Line」が375万5000円です。
(文:塚田 勝弘/写真:井上 誠)