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■自動車税とは異なる仕組みや役割を持っている、軽自動車税
クルマを持っている人が、毎年5月に支払うのが自動車税や軽自動車税です。同じ時期に徴収され、クルマの保有に対する税金であることは同じですが、その仕組みや役割は自動車税と全く同じというわけではありません。今回は軽自動車税について詳しく解説していきます。
●軽自動車税の税区分
自動車税は総排気量によって税額が変わります。総排気量が「1L以下」「1L〜6L」「6L以上」に大きく分けられており、1~6Lの間は0.5L刻みで税額が設定されており、排気量が大きくなるほど、税金は高くなっていきます。
軽自動車税も同様に様々な区分があるのをご存知でしょうか。軽自動車というと、4輪でエンジン排気量が660㏄以下、ボディサイズが軽自動車規格の中に収まっているものをイメージしますが、軽自動車税がかかるクルマには、ほかにも種類があります。
原動機付自転車(50㏄以下、50CC超90cc以下、90㏄超125㏄以下)、ミニカー(三輪以上で排気量20㏄超50㏄以下)、小型特殊自動車(トラクタ・コンバイン、フォークリフト)、専ら雪上を走行するもの、二輪の軽自動車(側車付を含む125㏄超250㏄以下)、二輪の小型自動車(250㏄超)、三輪軽自動車(660㏄以下)です。
自動車税を課されているクルマを除いた、原動機(エンジン)を積み込んだモノの多くには、軽自動車税がかかります。
それぞれの税額は以下の通りです。
- 原動機付自転車(50㏄以下、50CC超90cc以下):2,000円
- 原動機付自転車(90㏄超125㏄以下):2,400円
- ミニカー(三輪以上で排気量20㏄超50㏄以下):3,700円
- 小型特殊自動車(農耕作業用トラクタ・コンバイン等):2,400円
- 小型特殊自動車(そのほか、フォークリフト等):5,900円
- 専ら雪上を走行するもの:3,600円
- 二輪の軽自動車(側車付を含む125㏄超250㏄以下):3,600円
- 二輪の小型自動車(250㏄超):6,000円
- 三輪軽自動車(660㏄以下):3,100円(平成27年3月31日以前にナンバーの指定を受けた)
また、4輪で660㏄以下、黄色いナンバーを付けたいわゆる軽自動車も営業用や自家用、貨物用などで税額が異なります。平成27年3月31日以前に初めてナンバーの指定を受けた車両では以下の通りです。
乗用営業用:5,500円
乗用自家用:7,200円
貨物用営業用:3,000円
貨物用自家用:4,000円
平成27年4月1日以降に初めてナンバーの指定を受けた車両では以下の通りです。
乗用営業用:6,900円
乗用自家用:10,800円
貨物用営業用:3,800円
貨物用自家用:5,000円
一口に軽自動車税といっても、バイクや小型特殊自動車など、様々な種類のクルマに適用されます。軽自動車税を負担する人は、結構多いということですね。
●還付されない軽自動車税
自動車税は新車や中古車を購入したときに、月割りで納税します。逆に、年度の途中でクルマを廃車にした場合には、自動車税が月割りで還付される制度です。都道府県税である自動車税には、月ごとに支払う仕組みが備わっています。
対する軽自動車税では、月割りでの納税や還付は行われません。当該年の4月1日に所有登録されている人(個人・法人)が1年分を納めます。納付先は市町村です。
軽自動車税は年税という特性があり、クルマを購入する時期や手放す時期を考えないと、ほとんど所有していないのに税金が1年分発生するという事態が発生します。
年度末にバイクのCMで、「3月31日までに売却しないと、翌年の税金がかかります」と訴えているのは、この軽自動車税の特性があるためです。自動車税とは納める先が異なり、仕組みも違うことをしっかりと理解しておきましょう。
●そもそもは自転車に対する税金?
自動車税を支払うクルマを総称して「登録車」といいます。いわゆる白ナンバーのクルマです。登録車は国(管轄の陸運局)に登録することが求められます。
この登録が行われると、所有権を第三者に主張でき、自動車抵当法が利用できるなど、土地や建物などの不動産に近い取り扱いをすることになります(民法では不動産としての規定はされていませんが、登録制度や抵当権の設定ができるため、移転登録などの実務は不動産に限りなく近いです)。登録事項が容易に変更できないように、後ろのナンバープレートには封印が行われます。
対する軽自動車は「届出車」といいます。いわゆる黄色ナンバーのクルマやバイクは、国に登録は行わず、軽自動車検査協会に届け出を行い、ナンバープレートには封印を行いません。登録制度がなく、軽自動車やバイクは動産です。
歴史をさかのぼると、税金の変遷が見えてきます。軽自動車税の前身は昭和33年に廃止された自転車荷車税です。もともとは自転車やオートバイに課せられていた税金が、名前を変えて軽自動車税となります。
軽自動車は、4輪の車体にバイクのエンジンを積み込んだモノと考えられていたのかもしれません。
自動車税と同じく5月に納付書が届く軽自動車税ですが、その成り立ちや仕組みは、自動車税と異なる点が多いです。双方の税制度を正しく理解することは、よりよいカーライフを送るために重要なポイントとなるのではないでしょうか。
(文:佐々木 亘)