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■一定条件を満たせば猶予される場合も!
例年、ゴールデンウィーク明けに送られてくる「自動車税種別割」や「軽自動車税種別割」の納税通知書(2019年10月から自動車税や軽自動車税から名称変更)。クルマを所有する人にとって毎年大きな出費ですが、特に今は新型コロナ禍の影響による収入減などで、支払いができないとか、できれば納税時期を遅らせたいという人もいると思います。
2020年度には、新型コロナ禍の影響を受けた人たちに対する猶予措置などがありましたが、さて2021年度ではどうなのでしょか?
●クルマを購入後に毎年納税する地方税
自動車税種別割や軽自動車税種別割は、クルマを購入後に毎年納税する地方税。自動車税種別割は都道府県に収める税、軽自動車税種別割は市町村に収める税になります。
納税義務は、4月1日時点でクルマを所有している人にあります。3月31日までに車両を登録抹消しているか、売却などで名義変更をしていれば、翌年度の税金は発生しません。ただし、売却したのが3月31日以前でも名義変更が4月1日以降といったケースは、旧所有者に納税通知書が来るので、支払う必要があります。
自動車税種別割の税額は、総排気量で細かく10段階に分かれています。軽自動車税種別割も含めた乗用車の税額は以下の通りです。
【自動車税種別割】
1000cc以下…2万9500円(2万5000円)
1001cc〜1500cc…3万4500円(3万500円)
1501cc〜2000cc…3万9500円(3万6000円)
2001cc〜2500cc…4万5000円(4万3500円)
2501cc〜3000cc…5万1000円(5万円)
3001cc〜3500cc…5万8000円(5万7000円)
3501cc〜4000cc…6万6500円(6万5500円)
4001cc〜4500cc…7万6500円(7万5500円)
4501cc〜6000cc…8万8000円(8万7000円)
6000cc以上…11万1000円(11万円)
*( )内は2019年10月以降に新車購入・登録した場合の減税された後の税額
【軽自動車税種別割】
一律1万800円
●電気自動車などは税額が軽減
さらに、電気自動車や燃料電池車、プラグインハイブリッド車、天然ガス自動車については、初回新規登録した年度の、翌年度分の自動車税種別割が軽減されるグリーン化特例が適用されます。
たとえば、東京都の場合は自家用の電気自動車(燃料電池車を含む)が2019年10月1日以降の初回新規登録車で2万5000円、2019年9月30日以前の初回新規登録車が2万9500円。ただし、この軽減は1年分だけの適用ですから、翌年からは通常の税額になります(電気自動車の場合は1000cc以下と同じ2万9500円になる)。
また、逆に、初回新規登録から13年を超えたガソリン車、11年を超えたディーゼル車は、環境負荷が大きいということで、概ね15%税額が増えることになっています。グリーン化特例の適用車や税額は、都道府県によって変わる場合があります。
たとえば、神奈川県では、2020年4月1日から2021年3月31日までに新車新規登録した
・電気自動車
・燃料電池自動車
・プラグインハイブリッド車
・クリーンディーゼル車(平成30年排出ガス規制適合または平成21年排出ガス規制適合)
・天然ガス自動車(平成30年排出ガス規制適合で3.5t以下の自動車、および平成21年排出ガス規制からNOx10%以上低減)
については、前述の軽減額からさらに概ね75%の軽減を実施。
自家用の電気自動車の場合で6500円になるなど、より細かな税額を設定しています(同じく翌年度からは通常の税額に戻ります)。詳しくは自宅に届いた納税通知書、または在住する都道府県に問い合わせて下さい。
納付期限は、2021年度の場合、ほとんどの地域が5月31日(月)まで。ただし、青森県などは6月30日までにするなど、こちらも都道府県で多少違いがあります。なお、納付方法には、ゆうちょ銀行を除く金融機関のほか、コンビニ払いやインターネットからのクレジット払いなどを利用できます。
●期限までに払わないとどうなる?
ところで、自動車税種別割や軽自動車税種別割を、納付期限までに支払わないとどうなるのでしょうか?
まず、納付期限から1か月以内は年2.6%、1か月を超えた場合は年8.9%の延滞金が発生します。
期限を過ぎるとコンビニ払いができなくなりますから、支払いは各地自体の自動車税事務所や税事務所、指定金融機関に自動車税納税通知書兼納付書を持参して支払うことになります。なお、自治体によって変わりますが、インターネット経由での納付に対応しているところもあります。
さらに、納付をしないと次の車検が受けられなくなるばかりか、最悪の場合はクルマや財産を差し押さえられることもあります。
●1年間猶予されるケースは?
では、新型コロナ禍の影響がある人に対して自動車税種別割や軽自動車税種別割の支払いへの対応についてはどうでしょうか?
たとえば、東京都の場合は、2020年度と同様に一定の要件を満たし、申請して認められれば全ての都税の支払いを1年間猶予することを公表しています。都税には自動車税種別割も含まれます。滞納金は全額免除され担保も不要、猶予期間内での分割納付、または猶予期限となる1年後までに一括納付することができます。
東京都では、たとえば以下のようなケースに該当する人が対象になるとしています。
・令和2年2月以降の任意の期間(1か月以上)において、事業などに係る収入(給与や売上など)が前年同期(または前々年同期)に比べて概ね20%以上減少している場合
・納税者本人または生計を同じにする家族がり患し、入院などで多額の費用を要した場合
・消毒作業などで、備品や棚卸資産を廃棄したなど、財産に相当な損失が生じた場合
・納税者の人が営む事業について、事業を廃止し、又は休止した場合
さらに、2020年度に都税の徴収猶予制度を利用した人が、その猶予期間内での納税が困難な場合も対象になるそうです。
こうした猶予措置は、基本的には、ほかの各自治体でも行っています。ただし、多少内容が変わる場合もありますので、詳しくは居住する都道府県や市町村などに問い合わせてみて下さい。
なお、猶予措置の要件などに該当しない場合も、自動車税種別割をクレジットカード払いで分割にすれば、一度に大きな金額を払わずにすむため、多少の時間的猶予はできます。
ともあれ、新型コロナ禍の影響で自動車税種別割や軽自動車税種別割が払えない場合は、各自治体の窓口に相談することが最善策です。
申請して受理されるまでには時間がかかる場合もあるので、早めに行動することをおすすめします。
(文:平塚直樹 *写真はイメージです)