シミー現象とは?特に低速域でハンドルが振動する現象【バイク用語辞典:故障・トラブル編】

■走行中にフロントタイヤ、車体の振動につられて、ハンドルがブレて操縦性が悪化

●タイヤの空気圧の低下、ホイールバランスの歪みなどタイヤとホイールに関わる不具合

ハンドルの振動は、通常は車速が上がれば大きくなり、路面の凹凸があればタイヤを介して振動がハンドルに伝わります。それとは異なり、特に低速でハンドルが小刻みに震える「シミー現象」と呼ばれる現象が発生する場合があります。

不快なだけでなく、操縦安定性の悪化につながるシミー現象について、解説していきます。

●シミー現象とは

シミー現象
シミー現象

シミー現象は、走行中に何らかの原因でフロントタイヤと車体が振動して、結果としてハンドルが小刻みに振動する現象です。比較的低速の40~50km/hで発生する頻度が高く、振動も大きく「低速シミー」と呼ばれます。また高速の100~120km/hでも発生する場合もあり、「高速シミー」と呼ばれます。

走行中にハンドルが振動すると不快ですが、何よりも安全走行に支障をきたす恐れがあります。そのまま走行を続けると、徐々に振動が大きくなって操縦が困難になり、重大な事故につながる可能性があります。

●シミー現象はなぜ起こる

さまざまな原因が考えられますが、基本的にはタイヤとホイールに関わる不具合です。

・タイヤの空気圧不足、パンク
タイヤの空気圧が極端に不足すると、路面の凹凸の振動が吸収できなくなってシミー現象が発生しやくなります。

・タイヤの偏摩耗
タイヤの摩耗が偏る偏摩耗の原因としては、いくつかあります。例えば、空気圧が減った状態で走行を続けると摩耗が中央部だけでなく側面に広がり、加減速や旋回運転で偏摩耗が起こります。また、空気圧を入れ過ぎた場合も摩耗が進みやすいので偏摩耗が起こります。偏摩耗が起こると、回転抵抗が増えたり摩耗が激しい方向にハンドルが取られるので、シミー現象が発生します。

・ホイールバランスの狂い
ホイールバランスとは、ホイールにタイヤをはめ込んだ状態で、重心位置がホイールの中心になるような質量のバランスのことです。ホイールバランスが狂っていると、重心がずれてタイヤが真円で回らなくなるので、主として車速90km/h以上の高速で振動が発生します。その他、偏摩耗が発生しやすくタイヤの寿命が短くなります。

・路面との共振
路面の凹凸で発生するタイヤの振動数と車体の固有振動数が一致すると、ボディごと激しく振動する共振が起こります。上記のホイールバランスによる振動が、ボディとの共振によって増幅されてより強い振動が発生する場合もあります。

・リアに重量物を積載
リアボックスへ重い荷物を載せると重心がリアに移動してフロントが軽くなり、特にリアに重心がかかる発進や急加速などシミー現象が発生しやすくなります。

●シミー現象が起きたら

ハンドルの振動は、正常な状態でも路面の凹凸を拾って多少発生しますが、普段とは異なる振動が出始めたら要注意です。走行中に激しいハンドル振動が発生したら、強いブレーキは掛けずにハンドルをしっかり押さえながら、減速して安全な路肩に止めるのが安全です。

走行を続けることはできないので、すぐに専門の整備業者に点検してもらいましょう。


運転中に普段とは異なるハンドル振動やブレなどを感じた場合は、無理せず点検することが重要です。タイヤが原因の場合が多いので自分である程度はチェックできますが、バランスチェックなどは専門業者に点検してもらう必要があります。

Mr.ソラン

この記事の著者

Mr. ソラン 近影

Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
続きを見る
閉じる