デビュー後3年連続SUV1位の販売台数を記録した人気モデル・ヴェゼルが初のフルモデルチェンジ【ホンダ・ヴェゼル紹介/基本編】

■先代同様のボディサイズを維持しつつハイブリッド方式を一新し、新たに2モーターハイブリッドシステムのe:HEVを採用

すでに2021年2月18日にオンラインでワールドプレミアが行われている、ホンダのコンパクトSUV「ヴェゼル」が正式に日本で発表となりました。初代ヴェゼルはフィットとプラットフォームを共有したモデルで、2013年にデビュー。今回フルモデルチェンジを受けて2代目になったという経緯です。

e:HEVプレイ フロント
e:HEVプレイのフロントスタイル

初代ヴェゼルの人気は非常に高く、2013年のデビュー以来、国内で45万台を販売。デビュー翌年となる2014年から2016年まで、3年連続でSUV販売台数1位を獲得。2019年にも販売台数1位となっています。

高張力鋼板使用部位
色が塗られている部分が高張力鋼板使用部位

初代ヴェゼルはフィットをベースに開発されたSUVです。フィットがフルモデルチェンジを果たしているので、それに呼応するようにヴェゼルもフルモデルチェンジになったという流れです。

フィットが先代からプラットフォームをキャリーオーバーしているのと同様に、新型ヴェゼルもプラットフォームを先代からキャリーオーバーしています。

キャリーオーバーといっても、もちろんそのまま使われているわけではなく、モノコックを構成する鋼板のうち、従来は9%だった980Mpa級以上の高張力鋼板の適用率を15%にアップ。サスペンション取り付け部分の剛性向上するなど、各所にしっかりと手が入れられています。

e:HEV Z三面図
e:HEV Zの三面図

ボディサイズは、全長が4330mm・全幅が1790mm・全高が1590mm(18インチタイヤモデル装着車の値、16インチタイヤ装着車は1580mm)、ホイールベースが2610mmです。全長・全幅はグレード間の差はあるものの、先代と同様、先代の全高は1605mmであったのが新型では1600mmを切りました。ホイールベースは先代と同数値となっています。

ハイブリッド PU
ハイブリッド車のパワーユニット
1.5リットルエンジン
1.5リットルピュアエンジン

搭載されるエンジンはL系なので、基本的な部分は先代と同じですが、細かい仕様が異なります。

パワートレインはピュアエンジンとハイブリッドの2種で、ピュアエンジンは87kW(118馬力)/142Nmのスペック。ハイブリッドはエンジンが78kW(106馬力)/127Nmのスペックで、そこに96kW(131馬力)/253Nmのモーターが組み合わせられます。

新旧モーター比較
一番左が先代モデルのモーター、その右が新型のモーターとなる

先代ヴェゼルのハイブリッドモデルは、エンジンと7速のATユニットの間に薄型モーターを組み合わせるという方式でしたが、新型では発電用モーター(つまりジェネレーター)と走行用モーターを独立させたシステムを採用。ホンダではこれを2モーターハイブリッドシステム e:HEVと呼んでいます。

走行モードはバッテリーのみで走る「EVモード」、バッテリーの電力にエンジンの力で発電用モーターを駆動して発生させた電力で走る「ハイブリッドモード」、エンジンの力を直接駆動に伝える「エンジンモード」の3種となります。

メカニカルな変速機は存在せず、モーターシステムを利用した電気式CVTとなっています。つまりヴェゼルのハイブリッドはシリーズハイブリッド式です。日産のeパワーも同じようにシリーズハイブリッド式ですが、大きな違いはエンジン走行モードの有無で、ヴェゼルはあり、日産は無し、となります。エンジン車は一般的なトルクコンバーター付きCVTが組み合わされます。

4WDデモ
4輪独立で駆動力制御を行うので片輪が浮いても残り3輪に駆動力を配分しスタック時も脱出が可能

駆動方式はFFと4WDが用意されます。ハイブリッドなどの電動系モデルで4WDモデルを設定する場合、リヤにもモーターを装着することが多いのですが、センタータンクレイアウトを採用するヴェゼルは、プロペラシャフトを介してリヤアクスルに動力を伝える機械式のスタンバイ4WDを採用。モーター4WDは速度が上がるとリヤの駆動が抜けがちになりますが、機械式の4WD は高い速度まで4WD状態が続くとのことで、この方式が選ばれています。

サスペンションはフロントがストラット、リヤはFFがトーションビーム式、4WDがド・ディオンアクスルとなります。フロントサスペンションは各所のフリクションを低減。総合的に従来モデル比で55%の低減が図られています。

前後サスペンションのバネレートは約10%柔らかくされ、乗り心地を向上。サスペンションの動きがよくなることに対応して、リヤのショックアブソーバーはストロークを延長。バンプストップラバーの特性を見直して、フルバンプ時の当たりをしなやかにしてショックをいなしています。

(文・写真:諸星 陽一

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この記事の著者

諸星陽一 近影

諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
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