■新たに乗用車に加えて軽貨物車も対象に
2021年4月9日、日産自動車の9モデルが国土交通省の「先進安全技術の性能認定制度」に新たに認定されたと発表しました。いずれのモデルにも日産の「インテリジェント エマージェンシーブレーキ」「踏み間違い衝突防止アシスト」が搭載されています。
同制度は、高齢ドライバーなどによるペダルの踏み間違いによる悲惨な事故が社会問題化している中、設けられた性能認定制度です。
高齢ドライバーによる交通事故防止対策の一環として、自動車メーカーなどの求めに応じて乗用車の先進安全技術が一定の性能を有していることを国が認定する制度。衝突被害軽減ブレーキ、ペダル踏み間違い急発進抑制装置について認定が行われています。
今回、国土交通省が2020年4月に拡充した性能認定制度により、8社255型式の対歩行者衝突被害軽減ブレーキ、8社256型式のペダル踏み間違い急発進抑制装置が認定されています。
先述したように、国土交通省が2020年4月に拡充していて、今回の「先進安全技術の性能認定制度」は、高齢運転者による交通事故防止対策をより強化すべく、乗用車に加えて軽貨物車も対象になっています。
また、装置についても「衝突被害軽減ブレーキ」は、前方の車両に対応する機能だけでなく、前方の歩行者にも対応する機能が必要に。さらに、「ペダル踏み間違い急発進抑制装置(前進時、後退時)」も追加されています。
「先進安全技術の性能認定制度」の対象になるのは、乗車定員10人未満の乗用車および軽貨物車(自動車メーカー等から申請があったもの)。「衝突被害軽減ブレーキの性能」は、下記の4つの性能を有していることが必要になります。
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静止している前方車両に対して50km/hで接近した際に、衝突被害軽減ブレーキによる制動制御により、衝突しない、または衝突時の速度が20km/h以下となること。
20km/hで同一方向に走行する前方車両に対して50km/hで接近した際に、衝突被害軽減ブレーキによる制動制御によって衝突しないこと。
進路の前方を歩行速度5km/hで横断する歩行者(大人ダミー)に対して、20km/hを超える速度で接近した際に、衝突被害軽減ブレーキによる制動制御により、衝突しないこと。
1.および2.は衝突被害軽減ブレーキによる制動制御の少なくとも0.8秒前までに、3.は衝突被害軽減ブレーキによる制動制御が開始されるまでに、衝突のおそれがある前方車両や横断歩行者の存在を運転者に知らせるための警報が作動すること
「ペダル踏み間違い急発進抑制装置(障害物検知機能付)」の性能評価は、仮想衝突位置に障害物を設置した状態で、仮想衝突位置に向かって試験自動車を前進/後退させ、試験走行開始位置(1m/0.9m手前)に停止させた後、ブレーキペダルからアクセルペダルに速やかに踏み替え、車両が停止または仮想衝突位置を超えるまでアクセルペダルを全開に保持するようにした時、衝突しない、または加速抑制(速度変化率が0.3以上)すること。また、加速抑制開始から終了まで警報が作動すること、となっています。
なお、上記の認定を受けたクルマに関する情報については、国土交通省HPで公表するほか、自動車メーカーなどが衝突被害軽減ブレーキやペダル踏み間違い急発進抑制装置の普及促進のための広報活動などにおいて当該情報を活用することができます。
日産は、2018年度より開始された「先進安全技術の性能認定制度(衝突被害軽減ブレーキの性能認定制度)」において、「インテリジェント エマージェンシーブレーキ」を装備した延べ15車種で認定を獲得しています。
また、2020年度に拡充された「先進安全技術の性能認定制度」では、「インテリジェント エマージェンシーブレーキ」および「踏み間違い衝突防止アシスト」を搭載した9車種25型式(リーフ、ノート、マーチ、セレナ、デイズ、ルークス、NV100クリッパーリオ、NT100クリッパー、NV100クリッパー)を新たに申請し、そのすべてにおいて認定を取得しています。
日産の9モデルを含めて、今回、8社255型式の対歩行者衝突被害軽減ブレーキ、8社256型式が認定されていますので、クルマ選びの参考にしたいものです。
(塚田 勝弘)