構造変更申請とは?改造時などに保安基準適合を検査する制度【バイク用語辞典:点検・検査編】

■カスタムしたバイクで公道を走るには、保安基準の検査が必要

●申請が必要なのは、車両の大幅なサイズ変更や乗車定員の変更、エンジン換装など

バイク好きの人にとって、ドレスアップや性能向上のためにカスタムすることは、大きな楽しみのひとつです。改造の基本は保安基準を守ることであり、基準を超える大きな改造の場合は、構造変更の申請(構造変更等変更検査)が必要です。

構造変更申請が必要な改造内容や手続き方法について、解説していきます。

●構造変更とは

ドレスアップや改造の際に、保安基準に適合した部品や用品などを正しく装着する場合は問題なく公道を走行できます。また、軽微な変更も同様に問題ありませんが、変更が登録内容と大きく異なる場合は、構造変更申請によって保安基準に適合することを検査する必要があります。

構造変更の申請は、車検を受けることと同等なので申請日から起算して2年後が車検満了日となるため、次の車検まで期間が残っていても残りの日数が消失してしまいます。したがって構造変更は、車検と同時に申請するのが理想です。構造変更は改造後15日以内に申請を出すように規定されているので、結果として車検の15日前を目安にすれば車検を有効に使えます。

●構造変更申請が必要な改造

構造変更が必要なのは、車体の長さ、幅、高さ、乗車定員、最大積載量、車体の形状、原動機の型式、燃料の種類、用途などに変更があった場合です。変更届は、運輸支局にバイクを持ち込んで構造変更の申請をした上で検査をします。

具体的な事例としては、次のような変更が対象になります。

・ハンドル交換やロングフォーク、エアロパーツ装着などで、車体の長さが3cm以上、幅が2cm以上、高さが4cm以上、車重が50kg以上変わった場合

・乗車定員の変更(2人乗り ↔ 1人乗り)

・エンジンの載せ替え、エンジンのボアアップ
※同じ型式のエンジン載せ替えは申請不要

・フレームの変更や加工によって強度が変更

ハンドルやシートの変更のような構造変更は、比較的簡単なのでユーザー自身が手続きをすることも可能ですし、バイクショップでも引き受けてくれます。しかし、エンジンやフレームに関わる変更には、強度計算書などの改造に関わる説明書が要求されハードルは高くなります。この場合は、専門知識や実績のあるバイクショップに依頼した方が確かです。

●構造変更の手続き

構造変更のために必要な書類
構造変更のために必要な書類

構造変更申請書は、車検証や自賠責照明者など通常の車検で用意する書類に加えて、改造した部品の構造変更申請書や説明書などを運輸支局に提出します。

書類審査に合格すると、バイクを車検場に持ち込み、車検ととともに改造内容の検査を行います。検査によって保安基準に適合していることが認められれば、車検証が公布されて構造変更は完了です。費用は、通常の車検に比べて300円高いだけです。

なお以上の構造変更申請は、車検の必要な250cc超バイクの場合ですが、車検が不要な排気量250cc以下のバイクでも、「改造申請」という名称の申請を行う必要があります。車検証はありませんが、登録書類には車体番号や排気量、原動機の型式、乗車定員などの記載があります。

これらの記載内容と異なる変更がある場合は、250cc以下は運輸支局、125cc以下は市町村役場に申請します。この場合は、検査はなく書類申請(自己申請)のみです。

いずれにせよ、すべてのバイクは登録時の仕様に変更がある場合は、申請が必要ということです。


自分で好きなようにカスタマイズしたバイクで公道を走行するためには、バイクの種類や排気量に関わらずすべてのバイクは改造のための申請が必要です。これを、実施しないと違法改造バイクとして取り締まりの対象になります。

法規に関わる事項なので、個人での対応に自信がない人は専門のバイクショップや業者に依頼するのが安心です。

(Mr.ソラン)

この記事の著者

Mr. ソラン 近影

Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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