任意点検とは?定期点検でなくユーザーの判断で走行状況に応じて任意に行う点検【バイク用語辞典:点検・検査編】

■走行実態に応じて走行距離を目安にユーザーが自主的に行う点検

●走行実態がシビアコンディション(過酷な走り方)の場合は、点検の頻度を上げる

バイクの点検には、道路運送車両法で実施が義務付けられている法定12ヶ月および24ヶ月点検の他に、法的な制約のない任意点検があります。これは走行実態に応じて、ユーザー判断で走行距離を目安に実施する点検です。

定期でなく距離ベースで点検を実施する任意点検について、解説していきます。

●任意点検とは

道路運送車両法に規定された法定12ヶ月および24ヶ月点検は、バイクがトラブルなく安全かつ快適に走行できるように定期的に行う点検です。実施しなくても罰則はありませんが、実施してないと何か問題が発生してもメーカー保証が受けられないリスクが発生します。

法定点検が定期的に実施するのに対して、任意点検はユーザーのバイクの使い方に応じて距離ベースで点検を行います。例えば、3000kmごと5000kmごとなど、頻繁にバイクに乗り走行距離が長い場合は、トラブルが発生しないように点検のインターバルを短縮するのです。

メーカーが推奨する任意点検ですが、点検時期を教えてくれるわけでないのでユーザー自身が自分で判断して実施しなければいけません。

●点検内容

バイクを構成するシステムや部品の中で、特にタイヤや足回り部品は走行距離とともに消耗、劣化するので適切な距離での点検が必要です。

任意点検項目
任意点検項目

以下は、代表的なエンジンと足回り部品の点検、交換の目安です。

(エンジン関連)

・エンジンオイル
新車の初回は1,000km、それ以降は6ヶ月あるいは3000~5000kmごとに交換

・オイルフィルター
エンジンオイルの交換2~3回に1回の頻度で交換

・プラグ
点火プラグは、3000~5000kmごとに交換

(足回り関連)

・タイヤ
ひび割れやスリップサインが出たらすぐに交換、空気圧点検は月に1回

・ブレーキパッド
ブレーキパッドは、摩擦材の厚みが2~3mmになれば交換

・チェーン
走行距離2万km程度がチェックの目安、ノンシールチェーンは5000km程度で交換

●シビアコンディションの対応

ユーザーの中には、極端に走行距離が長い、あるいは荒れた未舗装路を日常的に走行するなど、バイクを厳しい条件に晒す人もいます。こうした使い方をシビアコンディションと呼び、特別な対応をします。

シビアコンディション
シビアコンディション

シビアコンディションの条件は、次の通りです。

・6ヶ月間の走行距離が3000km以上(標準的な走行距離は、年間3000km)

・未舗装路、砂利道など悪路走行の比率が、走行距離の30%以上

・山道や登坂・降坂走行の比率が、走行距離の30%以上

・エンジン冷却水温度が低い低速走行やアイドル運転の頻度が高い

シビアコンディションの場合は、点検の頻度を上げて一般的には法定12ヶ月点の中間の6ヶ月ごとに実施することがメーカーから推奨されています。

点検項目は、法定12ヶ月点検の中で特に消耗や劣化しやすい部品に限定して行います。

・ステアリングステムの軸受けのガタ

・ブレーキパッドの摩耗、ブレーキシューの摺動部分、ライニングの摩耗

・チェーンの緩み

・スプロケットの取り付け状態、摩耗

・ドライブベルトの摩耗、損傷

・エアエレメントの汚れ


バイクの使用は、1年で3000km程度の走行が標準的とされています。自分のバイクの使い方が標準的なのか、シビアコンディションに該当するのかに留意して適正なタイミングで任意点検をしなければいけません。

点検は自分で実施する自信がなければ、バイクショップや整備業者に依頼するのが安心です。

(Mr.ソラン)

この記事の著者

Mr. ソラン 近影

Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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