■デザインだけでない、空力面からの模様の違いとは?
ついに発表されたGR 86とスバルBRZ、外観上の大きな違いはフロントまわりのデザインです。
まあ、兄弟車って同じクルマなんだけど顔だけちょっと変えてるヤツでしょ、と思いがちですが、このGR 86とスバルBRZは違うといいます。
とはいえ、どちらもスポーツカー。走って楽しいクルマに仕上げるのが共通しているはず。とすると、どんな風に楽しいのか、その楽しさの違いってなんだろう、と思ったら、とても細かな部分からそれを推測することができそうです。
その部分とは、フロントバンパーサイドの空力パーツです。
デザイン上でも兄弟車としては大きく違っているこの黒いパーツ。バンパーからサイドに流れる空気を整流するのに重要な役割を果たすであろうことは、直感的にも明らかです。
そして、そのパーツをよ〜く見ると、なんだか縞模様のようなものが入っています。
手触りを良くするわけではないでしょうし、お札のようにニセモノを作りにくくするための透かしのようなものでもないはずです。
実はこれ自体が空力のための模様なんだそうです。
両車ともに同じ模様が入っていますが、よく見るとその模様は、GR 86が空気が流れるであろうスリットが横方向に水平に入っているのに対し、BRZはやや傾いて刻まれているのがわかります。
この水平か、傾いているかの違いが両車のキャラの違いだというのです。
GR 86は水平方向に入って直進安定性に貢献し、斜めに入っているBRZはコーナリング中に効果を発揮するといいます。
逆に言えば、コーナリング中はGR 86の水平模様は影響を与えず、直進時に斜め模様のBRZは効果をそれほど発揮しないというわけです。
つまり、足まわりのセッティングそのものは、GR 86がハンドリング重視、BRZが直進安定性重視となっているのです。それらを補うためにバンパーの模様は付けられたのだそうです。
こんな小さな模様がそんなに影響あるの?という疑問はみなさん浮かぶと思いますが、バンパー裏に貼って空力に影響を与えていたトヨタの銀色テープよりは、(実際の効果のお話じゃなくて)ビジュアル的に説得力あります。
開発陣はその走りの違いをGR 86が「赤い走り」、BRZが「青い走り」、と表現していたそうです。それを聞くと、先程述べた足まわりセッティングの味わいの違いがわかる気がします。
個人的にはピリリと辛い熱い走りのGR 86と、スーッと胸のすくような雑味のないBRZを想像していますが、果たして正しいのでしょうか? 早く食べ比べ(乗り比べ)して味わってみたいものですね。
(文:クリッカー編集長 小林 和久/写真:小林 和久)
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