スーパーバイク世界選手権とは?市販車ベースの高性能バイクで最速を争うレース【バイク用語辞典:バイクレース編】

■現在、カワサキ(ZX-10RR)が圧倒的な強さでタイトル5連覇中

●規定範囲内のチューニングを行った市販のロードバイクでスピードを競う

スーパーバイク世界選手権(SBK)は、FIM(国際モーターサイクリズム連盟)が統括する市販車バイクレースの最高峰です。市販車をチューニングして競うので、メーカーの技術力をかけて激しいバトルが繰り広げられる、MotoGPに次ぐ人気のレースです。

市販車ベースの高性能バイクで競うスーパーバイク世界選手権について解説します。

●スーパーバイク世界選手権とは

FIMが主催する世界三大レースは、ロードレース世界選手権(MotoGP)とスーパーバイク選手権(SBK)、FIM世界耐久選手権(EWC)です。この中でスーパーバイク世界選手権は、レースに特化した車両ではなく、高性能の市販車バイクに規定範囲内のチューニングを加えたロードバイクで世界最速を決めるレースです。

ロードレースの分類(SBK)
ロードレースの分類(SBK)

世界各地(2019年は13箇所)のサーキットを転戦し、規定の周回数をもっとも速く走行したライダーとマシンが勝者となります。また、大会ごとの順位に応じてポイントを加算して年間チャンピオンが決定します。残念ながら、日本の開催はありません。

日本、米国、英国などでは、国内ロードレース選手権の最上位クラスはスーパーバイクによって行われています。その最高峰の国際的なレースシリーズが、FIM主催のスーパーバイク選手権なのです。

2017年カワサキZX-10RR(Ninja)
2017年カワサキZX-10RR(Ninja)

ベースとなる市販バイクに対して改造できる項目は限られていますが、それでも最新のスーパーバイクの性能は非常に優れており、MotoGPにそれほど劣らないスピードで走行します。

●レギュレーション

レギュレーション(技術規則)にはエンジン、トランスミッションやシャシー、ボディ形状などの車両仕様が詳細に規定されています。ベースとする市販バイクにチューニングを加えることができる項目は限られており、車体フレームについてもベース車両に多少の補強ができる程度です。車体最低重量(燃料タンク含む)は、168kgに規定されています。

例えば、エンジンについては、2気筒、3気筒、4気筒の4ストロークエンジンで、排気量とボア/ストロークは公認時のサイズを維持しなければいけません。排気量の制限は、以下の通りです。

・3気筒および4気筒エンジンは、排気量750cc~1000cc

・2気筒エンジンは850cc~1200cc

ただし毎年見直しがあるため、それに応じて参戦チームが戦略を立てます。

2018年から性能調整を行う規則ができたため、モデルごとにエンジン回転数の上限制限(レブリミット)が設定されるようになりました。従来は、市販車のベースマシンよりも3%高いレブリミットが設定できましたが、異なるメーカーのマシン性能を同等にするためにモデルごとにレブリミットが設定されるのです。設定値は、ライダーのパフォーマンス、バイクの実績をベースに決定されます。

●日本メーカーの実績

2019年の参戦チームは、カワサキ、ホンダ、ヤマハ、ドゥカティ、BMW、MVアグスタの6マニュファクチャラーです。

この数年は、カワサキ・レーシングチームの独壇場になっています。ジョナサン・レイをライダーとして、ZX-10RRマシンで2015年からライダー、マニュファクチャラーズともタイトル5連覇を達成中です。


スーパーバイク選手権に参戦するためには、150台から500台の市場での販売実績で必要。言い換えるとレース結果がメーカーの技術アピールだけでなく、販売にも直結します。そのため、メーカーはこのレースに勝つために高性能バイクを開発して市場に出すので、これまでに多くの憧れの名車が誕生しています。

(Mr.ソラン)

この記事の著者

Mr. ソラン 近影

Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
続きを見る
閉じる